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DOGMAN ドッグマン

神は弱いものに犬を与えた。その者はダグラス、またの名を"ドッグマン"。

こう書くと、宣伝文句のように『規格外のダークヒーロー爆誕』に聞こえるかもしれませんが、全然ダークヒーローではありませんでした。ですが、期待を越えて面白かったです。

魅力① ダグラスの物語

冒頭、朽ちた化粧に血を流したドラァグクイーンのドッグマンの姿は、ヒース版ジョーカーそのもので、ドッグマンというダークヒーローのパニッシュメントが始まる!と思いました。予告の時点でもそう思っていました。
しかし実際のメインストーリーは、ドッグマンことダグラスの幼少期から冒頭にいたるまでの物語。
家族から犬同然に扱われ、犬との信頼によって得た解放、その後も不自由な身体でも、犬と恋と演劇で紡いできた再起の人生。
ダグラスの口から過去を語られるにつれ、ダグラスの愛情の深さを理解し、先入観が拭い取られ、徐々に彼の人生に一喜一憂していきました。エディット・ピアフのシーンは素晴らしかった。
(パンフレットを読むと、このミスリードは故意な演出だったようです)

魅力② ベイブ?ホームアローン?犬たちの大活躍

ジョン・ウィックトラウマの人に朗報です。ダークヒーロー×犬なのに、犬が一匹も死にません!!!
劇中にとにかくたくさんの犬が登場して活躍します。その犬たちの健気で可愛い奮闘っぷりに、シリアスなシーンでもついつい心が緩んでしましました。
その姿はなんというか『ベイブ』や『101』を思わせるような、ご主人のために果敢にがんばる犬たちのドラマがあります。
また、これをさらに面白くさせるのが、終盤ドンパチの『ホームアローン』感。
どんどん人が死ぬんですが、その仕掛けがもう、既視感で、、、ケビンクオリティのトラップなんです(笑)

魅力③ リュック・ベッソンの鉄板演出

これは人によってはネガティブかもしれませんが(笑)、リュック・ベッソン監督の大好きな鉄板演出が健在でした。
女神のように人生に喜びを与えてくれるヒロインの存在、順風満帆になってきた人生に突如襲い掛かる不条理な展開とドンパチ(これがなければ捕まることなかったのに、、、)、神に中指を立てるような主人公の生きる原動力。神が与えた犬とともに、ここまで強くなったんだぞ、と言わんばかりのダグラスのアピールなんてまさにでした。
今回はシンセサウンドほぼなしですが、エリック・セラ楽曲起用も鉄板ですね。

魅力(おまけ)ダグラスの兄

最後に、最も魅力的だったキャラクターは誰かと思い返すと、やっぱりダグラスのお兄ちゃんでしょう。
本当に憎たらしいほど嫌なやつでした。気持ちが悪いほどの言いつけファザコン野郎、信仰の強さを臭わせまくるトンスラ風ヘア、変態っ気溢れすぎな露出多めなオーバーオールファッション、そして記憶に残りすぎる不吉な笑顔。フェイス/オフの聖者ニコラス・ケイジ級の衝撃キャラでしたね。死に際は呆気なかったですが、あんなやつ、そんな終わり方でいいのかも(笑)
演じたのはアレクサンダー・セッティネーリ。まだキャリアが浅いですが、今後の活躍に期待しちゃいます!

ということで、公開劇場も本数も少ない作品でしたが、当たりなリュック・ベッソン作品でした。

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