筋の良いリサーチのための3つの視点:リサーチトライアングル
こんにちは、マネーフォワード Xの佐々木です。
デザインの活動の中でリサーチをすることがありますが、筋の良いリサーチをするにはどうすれば良いのでしょうか。
今回は『社会調査の考え方』という本に書かれている、リサーチトライアングル(理論、データ、方法の3つの視点の関係性)についての内容を要約して、筋の良いリサーチの視点について書きます。
本の中では一部、料理に喩えながら書かれていてわかりやすいので、同じように料理で言うとどんなイメージなのかを書いていきます。🍳
リサーチをする人にとってのヒントになれば幸いです。
筋の良いリサーチとは?
筋の良いリサーチとは、本質的な問いに対して答えを出すことです。
本質的な問いを設定するためには、以下の2点を確認します。
1. 現時点でどこまでが分かっていることなのか
2. どこからが答えを出すことで意義のある問題なのか
そのためにはまず、「巨人の肩の上に乗る」ことが重要です。
デスクリサーチや過去の調査結果で参考となる情報を集めることで、どこまでが分かっていて、どこからが明らかにする必要があるのかが見えてきます。
料理に喩えると、美味しい料理を作ろうと思ったとき、まずは作り方を調べるようなイメージでしょうか。
筋の良いリサーチのための3つの視点:理論/データ/方法
デスクリサーチや過去の調査結果を参考にして問いを設定したら、3つの視点を考慮しながら調査をしていきます。
【理論】
明確な理論的根拠に基づいて、問題に対する答えを求めます。
理論は現実の特定の部分に一定の角度から光をあてることで、鮮明に見せてくれるスポットライトのような役割を果たします。
理論的枠組みが明確になっていないと、手当たり次第にデータを集めてしまうことになりかねません。
例えば、少子化をリサーチテーマとした場合、過去の調査結果を参照したり、家族社会学、人口統計学や経済学などの理論を参考にします。
料理で言うと、料理人の知識を使って料理していくイメージでしょうか。
【データ】
良質なデータを実証的根拠として示します。
どれだけ緻密な理論に基づいて問題が設定され、どれだけ高度な方法で分析しても、集めたデータが使い物にならなければ、調査の意味がなくなってしまいます。
料理で言うと、良い食材を使うイメージでしょうか。
【方法】
的確な調査技法を用いてデータを集め、適切な推論技法によってそれらのデータと理論、問題と仮説との対応関係を明らかにします。
方法には2つの観点があります。
1つは、データを集めるための方法。もう一つは、集めたデータを理論に基づいて答えを出すための方法です。
料理で言うと、レシピを使うイメージでしょうか。
筋の良いリサーチのためには、これら3つの視点が必要ですが、最初から完全に3つの視点を考慮するのは簡単なことではありません。
欠陥調査の6パターン
3つの視点のどれかが欠けていることで、欠陥調査となってしまう6つのパターンがあります。
①荒削りの実態調査型
良い食材はあるので、料理人の知識を使い、レシピに沿って調理方法を洗練させていけば、さらに美味しい料理になる可能性があります。
②書斎派・方法論こだわり型
料理人の知識とレシピがあっても、使うべきではない食材を使ってしまったり、重要な食材を入れ忘れてしまうと美味しい料理になりません。
③分離エラー型
料理人の知識があっても、とりあえず集めた食材を使って強引に料理してしまうと、謎の料理ができ上がるかもしれません。
④書斎派・机上の空論型
料理人の知識をふまえて良い食材を集めても、レシピに沿って調理しないと美味しい料理を作れません。
⑤データ偏重型
良い食材があっても、料理人の知識がなく、レシピに沿って調理しなかったら美味しい料理になりません。
⑥方法論偏重型
とりあえずレシピ通りに調理しても、料理人の知識がなく、食材も適当に選んでしまったら、美味しい料理を作れません。
筋の良いリサーチができるようになるために
筋の良いリサーチのためには、リサーチトライアングルのバランスが取れている必要がありますが、『社会調査の考え方』の本の中でも最初から理想的なバランスが取れている必要は必ずしもないと書かれています。
料理も経験を積んでいくとできるようになるように、実際に調査をしていく中でリサーチトライアングルのバランスを取る経験を積むことが重要ですね。
『社会調査の考え方』は、リサーチや研究をするときにとても参考になる本なので、これからも読み込んでいきたい本です。
下巻も含めておすすめなので、気になる方はチェックしてみてください。
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