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社会人のデザインと研究の楽しさ:Xデザイン学校2021 アドバンスコース

Xデザイン学校のアドバンスコースでの学びを振り返りながら、デザインと研究の楽しさについて考えてみる。

「研究」と聞くと、少し難しそうな印象があったかもしれない。
実際、学生時代の卒業研究や修士研究はけっこう苦労した思い出がある。

でも、研究はデザインのように探索的に活動する楽しさがある。
社会人になってから、その楽しさを感じられるようになってきた。
デザインを楽しめる人は、きっと研究も楽しめると思う。

研究は、実践したことを振り返って学びを自分ごと化したり、社会に知見を残すことにつながる。
そう考えると、研究は役割が広がるデザインの活動をするために、大事なスキルの一つになると思える。

問題を見つけて解決したり、創造的に提案するアプローチは、研究もデザインも共通している。

紆余曲折しながら学びの資産を積み上げていく楽しさ

研究は、まずは小さなテーマを設定するところから始める。
これが意外とむずかしい。
つい、大きなテーマを設定してしまう。

自分の場合は、最初に「IT企業における構想力の育成方法の研究」というテーマを設定した。
以前研究していた「IT企業におけるデザインスキルの設定/評価方法」の次のステップとして、デザインスキルの育成方法について研究したいと思った。

整理したデザインスキルの中で、構想力の育成方法は確立されていないのではないかと考えてテーマを設定したが、「構想力の育成」といってもざっくりしている。
そこで、どんなときに構想力を活用できると良いのかという視点でスコープを絞り、「IT企業におけるコンセプトデザインのための構想力の育成方法の研究」というテーマで進めてみることにした。

研究テーマは、いま自分が活動している環境で起こっている問題自分が関心のあることは何かを考えてみる。
一旦テーマを決めたら、先行研究を調べながら、まだ整理されていない部分を見つけてテーマを絞っていく。
テーマは途中で変わっても良いし、プロセスに絶対的な正解はないから、あせらずに小石を積み上げていく感覚で楽しむ。

日々の仕事をしながらも、月に1回は研究の進捗を発表する機会があることで、1年やって振り返ってみると何かしら学びを得られる。
毎回、少しだけ研究したことをまとめて発表して、フィードバックをもらうことを繰り返して、学びの資産が積み上がっていく。

多様な学びがつながる楽しさ

多様な研究テーマを持った人たちが、同じ場で学ぶ中で学びがつながるのも楽しい。
2021年度のアドバンスコースでも、一緒に学ぶ人たちのそれぞれが研究テーマを設定して、興味深い研究が集まっていた。

  • 企業におけるUXデザイン導入

  • クリエイティブ領域でのプロジェクトマネジメント

  • コンテンツファーストと情報アーキテクチャ

  • サービスへの愛着を高める方法

  • 持続可能なEコマース

  • 環境問題の自分事化

  • 相対的貧困問題の要因

  • パラレルキャリアの形成

  • 親子の共創

  • 法を社会に広める活動

それぞれの研究で見えてきたことを概念化して、他の研究にも活用できそうとか、関連する部分を一緒にまとめられそうという気づきがあったりする。

学びを共有する仲間がいると、学びを続けられる。
自分なりに進めた研究の進捗を発表して、先生や同じ場で学ぶ人たちからコメントをもらうことで、軌道修正ができたり、自分では気づかなかった気づきが得られる。

そして、なんとかまとめた研究を学会やイベントで発表することを目指す。
別の場で発表してみることで、また違う角度から質問や意見をいただいて、さらに研究テーマについての気づきが得られる。
今年は、デザイン学会での発表に向けて、アドバンスコースの人たちで原稿をレビューし合っていた。

社会をよくするデザインの学びの楽しさ

実践してみた経験を概念化したり、自分が探求したいことに気づいたり、多様な研究テーマを持った人たちがつながることで、社会をよくするためのアクションを起こしていく、そんな場をつくることもデザインの役割なのかもしれない。

今後もデザインと研究を続けていきたいし、デザインと研究の楽しさに気づく人が増えると、よりよい社会になっていくのかもしれないな。

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