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ナボコフ 詩抄 (40) Translated by Toshiya Kawamitsu

ナボコフ 詩抄 (40) Translated by Toshiya Kawamitsu

  一夜

記憶に 一夜 なにがある
きっと 昨夜は 雪 ふって
なんて 静寂 この 心
忘却研究 役立たず
問題 ほどける 睡眠中
なんて 簡単 優雅な 解
(あたま なやませてきたのかと
 なんねん なやんできたのかと)
こんなに のぞむ 朝 起床
ベッドも 体も なくなって

What Happened Overnight
Translated by Toshiya Kawamitsu

ナボコフ 詩抄 (39) Translated by Toshiya Kawamitsu

ナボコフ 詩抄 (39) Translated by Toshiya Kawamitsu

  かたく信じて

かたく 信じて 生命の
循環 信じて わたしたち
おどろきとともに ふりかえる
どんなに あなたの現実の
色にそまっていないかと
まるで かすみ か 波紋 かと
わたしとあなた 水面 底
電信柱と あなた 見て
夕日のなかで 背中 見て
半血種にのる あなた 見て
あなたは ずっと わたしじゃない
あなたは 輪郭 英雄で
第一章の 英雄で
ずっと ずうっと 信じてる
山の高みと

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トランストロンメル 詩抄 (13) Translated by Toshiya Kawamitsu

トランストロンメル 詩抄 (13) Translated by Toshiya Kawamitsu

  午後三時のイズミル

通りは 閑散 まっすぐに
ふたりの物ごい 歩いてる
ひとりは 片足 おぶさって
別のひとりに 運ばれて

ふたりは まるで 真夜中の
ヘッドライトに おどろいて
立ちすくんでる 動物で
ほんの一瞬 わたる前

ふたりは しずむ 炎天下
無数の時計が ちく たく と
きざむ 空間 校庭で

青は またたく 水の上
黒は かくれる 石のかげ
こっそり 見つめる 身をちぢめ

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ラテン女流詩人 詩抄 (3) Translated by Toshiya Kawamitsu

ラテン女流詩人 詩抄 (3) Translated by Toshiya Kawamitsu

  ピニャータの準備に

ケツァルコアトル かわきはて
バヤドリッドの太陽たち
竜の体は 新聞紙
ちいさなポーチに 横たわる
テラスハウスはオレンジで
天井 吊るす ロバとクマ
紙のリボンで 人魚姫
薄明 またたく ウサギ 鶏
となりの肉屋の檻のなか

The Piñata Maker by Desirée Alvarez

Translated by Toshiya Kawamitsu

トランストロンメル 詩抄 (12) Translated by Toshiya Kawamitsu

トランストロンメル 詩抄 (12) Translated by Toshiya Kawamitsu

  午睡

石の精霊降臨祭
火花 ちらして 光る 舌
街は 白昼 無重力
ぐつ ぐつ 光のなかの墓地
太鼓の音は おぼれてる
とじこめられた 永遠に
ノックの音は 鳴りつづけ

ワシは 飛ぶ 飛ぶ きみの上
風車は まわる がら がら と
足どり 重く 目かくしの
馬から はなれ とぼ とぼ と
とじこめられた 永遠に
ノックの音は 鳴りつづけ

きみは 眠って つるされて
カリギュラの時計 その

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フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (20) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (20) Translated by Toshiya Kawamitsu

  20

天国に 柱 投げ 王は
ぬかづく 宮殿 ひとりきり
ジュズカケバトを わたし 見て
くう くう くう と くりかえし

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (19) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (19) Translated by Toshiya Kawamitsu

  19

ライオン とかげ 城 守る
栄光 泥酔 ジャムシッド
偉大な狩人 バーラムの
頭上 踏んでも 起きはせず

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (18) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (18) Translated by Toshiya Kawamitsu

  18

思いうかべて こわれはて
キャラバンサライ 昼と夜
はなやか スルタン 継承し
運命のとき すぎてゆく

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (17) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (17) Translated by Toshiya Kawamitsu

  17

人のねがいは 灰となり
また 咲きほこり 砂の上
粉雪のよう ひとときか
ふたとき かがやき 消えていく

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (16) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (16) Translated by Toshiya Kawamitsu

  16

こがねの種を 植えるもの
雨のよう また 風のよう
まいて 埋めては また 掘って
それでも かがやく 土はなく

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (15) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (15) Translated by Toshiya Kawamitsu

  15

見よ 咲きみだれ 見よ バラを
笑う 咲いている この世界
シルクのかざり 財布 裂く
なかの金貨は 花壇へと

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (14) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (14) Translated by Toshiya Kawamitsu

  14

おろかなことだ クモのよう
うたかたの日々 つむぐとは
なにを勝ちえた この息を
いま 吸う 息を 吐けるのか

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (13) Translated by Toshiya Kawamitsu

フィッツジェラルド ルバイヤート抄 (13) Translated by Toshiya Kawamitsu

  13

世界の栄光 求め また
来るべき楽園 ねがう ただ
約束 いらない 現金を
聞くな はるかな太鼓など