トランストロンメル 詩抄 (13) Translated by Toshiya Kawamitsu
午後三時のイズミル
通りは 閑散 まっすぐに
ふたりの物ごい 歩いてる
ひとりは 片足 おぶさって
別のひとりに 運ばれて
ふたりは まるで 真夜中の
ヘッドライトに おどろいて
立ちすくんでる 動物で
ほんの一瞬 わたる前
ふたりは しずむ 炎天下
無数の時計が ちく たく と
きざむ 空間 校庭で
青は またたく 水の上
黒は かくれる 石のかげ
こっそり 見つめる 身をちぢめ
白は 吹かれる 目のあらし
三時を ひずめで 踏みにじり
光の壁を たたく 闇
海のとびらに 寝そべって
街は かさ かさ 這い寄って
ハゲワシの目は きら きら と
光って まるで 望遠鏡
Izmir at Three O'Clock
Translated by Toshiya Kawamitsu
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