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僕と○○へ。これまでとこれからの君と○○へ。#3

第一話「#1」はこちらからご覧下さい。

第二話「#2」はこちらからご覧下さい。


■#3
僕が働いているライブハウスには姉妹店があり、そこは創立20年を超える程、というか日本のライブハウスシーンや、特に下北沢という町を音楽の町にした程の影響力もあり、沢山の素晴らしいインディー・メジャーバンドが出ている国内でも非常に優れた伝説のライブハウスであった。
一方自分が働く店はまだまだ新人ライブハウスで、かつ、その姉妹店に比べればまだまだだった。
人気も知名度も、そしてなにより店としての売り上げも芳しい物であった。
この2店舗を経営する大元の本社からも多分、腫れ物扱いされていたんだと思う。
『あの店はもう駄目だ』
毎日聞いた気がしたし、影で言われていた気がした。

実際自分がこの店に来た当時、店としては壊滅状態で、機能していなかった。
ここでいう機能というのは
・毎日ライブハウスにバンドが出演していたりイベントが行われている
・従業員のチームワークが良い
・上記2点が伴わずとも、しっかり店の売り上げが潤っている
というもの。
それらが全く機能していなかったのだ。

自分はもともとは「優れた伝説」のライブハウスに居たが3ヶ月でこの姉妹店に異動になった。
その理由はさっき挙げた点もあるし、この店も状況が悪くなっていくし、何よりも従業員がどんどん辞めていくからだ。
そんな店に異動の話を持ちかけた「優れた伝説」のライブハウスの店長からは『左遷じゃないからな。君にあの店を救って欲しい』と言われたからだ。
後に副店長になる僕だったけど、まだバイトだった自分はそれを言われ、ある種の使命感を感じた。
だから悩んだフリをして異動を決めた。

その頃からかな、大きな出世欲はないけれど、この店に関わる人、「優れた伝説」も、誰もが憧れる大元の会社の人達をも、驚かせるというか、なんというか、ひと泡吹かせてやろうと思ってたんだと思う。

壊滅的なこの店を、僕が盛り上げる。
僕ならやれる。
やれなかったらクビになろう。

その頃から自分の中でひとつルールが出来た。

いつでもクビなっても良いように覚悟を持って仕事をしよう。
クビになっても良いから勝負し続けよう。

そんな重い事ばかり考えていたものだから、○○は僕の傍にどんどんと寄り添うようになっていった。

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イラスト:目黒しおり


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