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僕と○○へ。これまでとこれからの君と○○へ。#2

(前回の投稿はこちらからご覧下さい。)

■#2
僕にとって仕事は全てだった。
僕にとって音楽は全てだった。
本気だった。
女の子とデートしたりセックスしたりする事よりも何よりも大切だった。
無論、彼女よりも大事だった。

その頃付き合っていた女性が居た。
僕がまだ大学生の頃から付き合っていた人で、遠距離恋愛をして6年程経っていた。
凄く相性も良かった。凄く好きだった。
東京に出てきて音楽の仕事を始めた。そして仕事で結果を出し始めた。仕事に本気になってきた。
と同時に、彼女の事を二の次三の次に考えてる自分が居た。

正直邪魔だなと思っていた。

彼女の事を思うと、彼女から連絡が来ると、自分と○○がざわついて心をかきむしっていたんだと今だったら気付けたんだろうな。

ある日の夜ひとりでラーメンを食べていた。食べながらその彼女の事を考えていた。
学生時代の彼女との日々。生活。彼女の顔や声や体や性格。笑顔。
沢山考えながらスープを飲み干すと、彼女に電話をした。
別れようと、告げた。
一方的に別れた。

彼女が嫌いになった訳じゃない。今でもずっと好きだ。愛している。
でも彼女よりも好きになれる事が東京にはあった。
この判断により沢山の人から僕は批判された。
沢山の人が僕から離れていった。
それでも沢山の人が東京で、僕を必要としてくれていた。

僕は涙が出なかった。
泣ける身分でもなかっただろうし。
心がすっきりとした。
これから新しい僕が始まるなと思った。

変わる事と変わっちゃう事。
僕は駄目な変わり方をしたのかな。
どうだろう。わからない。

頭の中は音楽だけで満たされていた。
仕事が凄く好きだったから。
早く明日にならないかなと思っていた。

あのラーメン屋はまだやっているだろうか。

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イラスト:目黒しおり

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