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朝イチは簡単なタスクから手をつけると集中力が加速する

大事な勉強をしなければならないのに、なんとなく不要なメールの返信に集中したり、YouTubeを見続けたりしてしまう・・・。

誰にでも起こりえるこのような現象を、心理学の世界では「達成バイアス」と呼びます。

長期的で重要なタスクよりも、短期的で重要度が低いタスクに意識を集中させてしまう現象のことです。

「達成バイアス」が集中力におよぼす悪影響は言うまでもありません。

アメリカの病院から約4万件におよぶ治療データを集めた研究では、一日の患者数が増えるごとに石たちの達成バイアスが激増。バイアスにとりつかれた医師は、症状が軽い患者を優先し、重病な患者を後回しにしたそうです。

身に覚えのある人は多いでしょう。仕事は山積みなのについ部屋の掃除を始めたりマンガを読みふけったりと、手近なタスクに集中力を使ってしまうのはよくある話。私たちのなかには、忙しくなるほど大事な仕事から目をそむけたくなる心理システムが備わっているのです。


そのため、昔からビジネス書の世界では「難しい作業から先にやるべし!」といったアドバイスがなされてきました。難易度が高いタスクをはじめに終えてしまえば、あとはリラックスして残りの作業に取り組めるからです。「まず、朝一番にカエルを食べろ!(=難しくて大変な仕事から手をつけよ)」と主張するブライアン・トレーシーの著作などが代表的な例でしょう。

感覚的には説得力があるアドバイスですが、実はここ数年は、「達成バイアス」を正しく使った方が集中力が高まるとの報告が増えてきました。
難しい作業から手をつけるのではなく、メール返信のようなタスクを先にしたほうが、最終的な成果は上がりやすくなる、というのです。

ハーバード・ビジネス・スクールの研究を見てみましょう。研究チームは、さまざまな業種から500人のビジネスパーソンを集め、3つのグループに分けました。

朝に1日のタスクを全て書き出し、重要で大変なタスクから作業をこなしていく
朝に1日のタスクをすべて書き出してリストの順番どおりにこなしていき、ひとつの作業を終えたらチェックを入れる
朝に1日のタスクをすべて書き出し、簡単なタスクをリストの先頭にまとめ、その順番通りに作業を進める

その後、すべての被験者の仕事ぶりを記録したところ、タスクの達成量がもっとも多かったのは3番目の「達成バイアス」を使ったグループでした。1日の最初に簡単なタスクをこなした被験者はみんな集中力が上がり、最後には塩とへの満足感も改善したというから、素晴らしい成果です。


「達成バイアス」で集中力が上がるのは、脳内ホルモンの分泌が大きな原因です。

第一に、簡単なタスクをこなすとその時点で獣(本能)は大きな達成感を覚え、脳内にドーパミンという神経伝達物質が大量に放出されます。

ドーパミンには注意力やモチベーションを引き出す働きがあるため、タスクを終えた直後からあなたの集中力は一気に増加。その勢いが次のタスクにも影響を与えた、最終的な成果も上がりやすくなります。「達成バイアス」のおかげで、集中力がキャリーオーバーされたわけです。


1日の初めに行うタスクはなんでも構いませんが、メール返信や請求書の作成のように、5分前後で片が付くようなものを選んでください。それに加えて、日常の業務が少しだけでも前に進むようなタスクならベストです。
すぐに達成できそうなものをピックアップし、1日のはじめにもってくるのもいいでしょう。それだけで、「達成バイアス」は獣(本能)のパワーブースターとして働いてくれます。

ヤバい集中力(鈴木裕)P128ページからの抜粋

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