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あらゆる選択肢を提案するのが支えるものの務め

 小泉進次郎大臣が、菅首相退陣に関する会見の時に出てきた一言。取材の最中に時折涙を見せていましたが、父が小泉純一郎元首相なのでパフォーマンスなのでは?と勘ぐってしまう自分もいました。まあ小泉大臣の会見について、ヤフコメ欄はいつも通りの地獄(皆さん、親でも殺されました?)でしたが、タイトルの一言は、最近の政治家の発言の中で一番心に響いたので、その理由をここで述べていきたいと思います。

 1つ目は現在、NPO法人自治経営が主催する公務員養成講座に参加しているのですが、その場で部長や課長など所謂、監督職・管理職されている方々が部下からどんな企画の提案仕方をされたら通すか?という話の中で「上司も不安」ということを聞きました。
 というのも、企画通すのは良いけど自分の決定は果たして間違っていないのか?、間違っていた時にどうするか?、市長など理事者にどう説明するかなど決定権が自分にあるだけに不安を抱えているけど、そんな不安がっている姿を部下に見せることができないとのこと。
 まあ確かに上司が「不安だー」と言っていたらこちらも部下であるこちらも不安になりますからね・・・。

 2つ目はこの前、読書感想を書いた『PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本』の中に書かれていた下記の文章

中津元次氏が言われていた「行政職員の顧客は市民ではなく市長。市長が誤った経営判断を行わないように支え、手を動かすのが職員の役割」だということ。この意味が理解できれば、現場レベルで実践的に動くことができるだろう。(P.214)

 個人的には、市長からの指示は従って仕事を遂行しつつも、自分が間違っていると思えば、市長に進言して政策の方向を変えることも時には必要と解釈しています。

 そして、最後に3つ目、自分の学生時代の経験の話を。学生時代によく色んな団体でリーダーポジションを務めることがありましたが、まあみんな好き勝手に色んなことを言ってくる訳ですよ。いや、リーダーポジションになることが少なくなった今でもみんな好き勝手に色んなことを言ってきますね(笑)。いやー本当にふざけんなという話ですよ。そんな全てできる訳ないだろう。(こんなに言っていただけるなんて自分は周囲の人に恵まれている!周囲の皆様ありがとうございます!)
 酷かったのが、なし崩し的にリーダーやっていた団体でメンバーがまとまらなかった時に周りから「お前がしっかりしないからまとまらない!」となぜかやることはやっていたのにリーダーだから怒られる謎。あの頃はストレスしかありませんでしたねー。電車で一緒になった友達によく愚痴っていたものです。今になって思うといつも愚痴っていた友達には申し訳ありませんが。
 結果的にその団体は、僕が自分なりに積極的に動いて地域でイベント開こうという企画が持ち上がり、このままでは大学時代に何もやっていないことになると危機感を持った一部のメンバーの主体的な参加もあり、団体はまあ・・・少しはまとまるようになって、イベントは無事に成功したという話です。これを通じて、個人的な反省としては自分が全部正しいと思ってメンバーの話を聞かずに自分の価値観を押し付けていたり、メンバーに本音を話していなかったのはリーダーとしては失敗だったし、自分はやっぱりプレイヤー側で動き回りたいことに気付いたことが学びですかね(それでも腹立つもの腹が立つ笑)。

 少し話は脱線しましたが、何が言いたいのかというと、公務員力養成講座の「上司は不安」、本の中の「市長が誤った経営判断を行わないように支え、手を動かすのが職員の役割」、そして僕のリーダーやっていたエピソードから、リーダーは常に【孤独】と戦っているということ。
 完璧な人なんていないし、ましてや働けば働くほど右肩上がりに成長していることが分かる時代ではなく、VUCAとも呼ばれる予測不能な社会で、自分の決定で組織や地域、国を動かしていくなんてどれほど勇気がいることか。でもリーダーが不安になると、その不安が組織全体を不安にさせるから中々不安を口に出すことはできず、何とか前を向いてやっていくしかない。そういう分からないだらけの【孤独】の中で首相や市長、社長、監督職や管理職などリーダーを務めている方は戦っているんじゃないかと想像しています。

 そう考えた時に、僕ら下っ端は「上司がまた勝手なことを言ってるよ~」となることが多いと思いますが(本当に勝手なことを言っている場合もあり)、【孤独】や【不安】の中で上司などが僕らを引っ張ってくれていると考えたら、僕は「支えるもの」として、上司をちゃんと支えないといけないと思います。
 結局、好き勝手に上司の愚痴など色んなことを裏で言ったりすることは一番楽ですが、その仕事の態度は将来自分が上司と同じ立ち位置になった時に絶対に返ってくるので今のうちに断ち切っておきたいところです。

 安倍政権という長期政権を官房長官ポジションで支え続けきた菅首相も恐らくは「支えるもの」としてあらゆる選択肢を安倍元首相に提示していたのではないかと思います。まあ自分がリーダーになってから国民とのコミュニケーションが中々上手く取れていなかったり、ダブルスタンダードな政策を展開してしまったと個人的には思いますが、小泉大臣の発言をそのまま受け取ると、仕事はできた人だったのかなと思います。でも「支えるもの」として頑張ってきた人が国民どころから組織すらからも見放されて、総裁選出馬断念となると間近で見てきた小泉大臣も涙しますね。

 政治の世界は複雑奇怪なので、何が真実はよく分かりませんが、少なくとも僕には小泉大臣の言葉は響きましたし、今の自分の立場「支えるもの」として、組織のリーダーの【孤独】や【不安】を少しでも解消できるように働いていきたいと思いました。

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