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【読書感想】PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本

 元流山市役所の職員で、現在は合同会社まちみらいの代表社員として、全国でPPP/PFIの取り組みを支援している寺沢弘樹さんの著作。

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PFI(プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ)とは、公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方です。

公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)と呼ぶ。PFIは、PPPの代表的な手法の一つ。
PPPの中には、PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公設民営(DBO)方式、さらに包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシング等も含まれる。

特定非営利活動法人PFI・PPP協会より(https://www.pfikyokai.or.jp/about/)
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岩手県紫波町のオガールの事例や、東京の南池袋公園の事例など、いわゆる公民連携が全国で展開されていて、木下斉さんなどの実践者が都市経営プロフェッショナルスクールを開講されているなど、何かと話題なPPP/PFI。

施設整備などハードに使われる手法なのかなと思っていましたが、この本を読んだら、公共施設関係のマネジメントの実務経験がないのでPPP/PFIの手法はピンと来なかったのですが、今までの自分の市役所の働き方に違和感がとても出てきたのと、やっぱり地域に飛び出すことが必要だと思いました。
また、やはり社会保障費増大に加えて笹子トンネル崩落などに代表されるインフラの老朽化に対応するためのインフラの更新経費の増大、そして新型コロナと自治体財政に暗雲しか立ち込めていない状態だからこそ、民間と組むことの必要性も理解ができました。

印象に残ったことは下記の通り

数十年スパンを志したはずの公共施設等総合管理計画がいかに脆かったのか、総合管理計画だけでなく昨日と同じ今日・明日が来ることを前提とした計画行政にリアリティがなかったのか、今、自治体は現実を突きつけられている。(P.26)

PPP/PFIを、現場で発生している個々の問題に対して、ノウハウのある人たちと手を組んで(≒PPP)、必要なコストはビジネスベースで調達(≒PFI)し、リスクとリターンを明確にして解決していく「自治体が生き残るための手段」として積極的に捉えれば、その可能性は無限に広がるはずである。(P.30)

困難な環境のなかで必死にもがくからこそ、クリエイティブでリアルな解決策がはじめて創出されるのである。うまくいかないこと≒経営課題だと捉えれば、行政がすべきことは「まちの経営課題を解決していくこと」である。だから、「うまくいかないこと=失敗」として、更に失敗を恐れ躊躇して立ち止まっていると、まちの経営課題に向き合っていないことと同義になってしまう。(P.57)

まずは、担当者が前を向き、「こんなまちにしたい!」と笑顔で未来を語り、まちに出て散財しながら地域を知り、様々な地域のプレーヤーやコンテンツと結びついていくこと、これが第一歩になるのではないか。(P.63)

「みんな」も同様に「みんな」という人はいないし、全ての人が望むような場などそもそもありえない。表面的な合意を取るためになんとなく共通項をつくることが、質の低い事業に陥る原因になっており、それは自治体が自ら引き起こしている問題である。(P.71)

今、この瞬間に100万円のプロジェクトが動かせない・動かしたことのない人・まちが今後、何十億~何千億円というオーダーの自治体経営改革を主体的にできるわけがない。(P.129)

今、担当者個人、そしてそれぞれのまちにおいて自分の守備範囲でできることは無限にあるはずだ。国の通知・報告書やセミナー等の机上のインプットばかりして、お城庁舎に籠城している人・まちは、「計画=アウトプット」だと思っていないだろうか。そんなものを住民は望んでいない。大事なのは多少不細工であっても、小さな不具合や不十分なところがあっても、心のこもった「そのまちらしい」プロジェクトの数々であり、プロジェクトの総体がまちを作っていく。(P.132)

随意契約を保証しない民間提案制度も未だに多数存在するが、民間事業者にとって最も重要な知的財産を行政が古臭い既成概念・しきたり・自己都合により「お上意識でむしり取る」ようでは、対等と信頼の関係など得られるはずもない。(P.171)

失敗しない、しようともしない人とまちに未来はないし、現実から目を背けて二次元の世界に閉じこもっているだけでは、三次元の世界は見えない。(P.182)

困難で、自治体経営上の重要なミッションを与えられていることは間違いないが、庁内全体を敵に回して正論を振りかざし続けても、結果が出なければ価値がない。(P.213)

中津元次氏が言われていた「行政職員の顧客は市民ではなく市長。市長が誤った経営判断を行わないように支え、手を動かすのが職員の役割」だということ。この意味が理解できれば、現場レベルで実践的に動くことができるだろう。(P.214)

プライベートとパブリックの境界を曖昧にしていくことで、はじめてまちとリンクできるようになるし、これは今すぐできることである。(P.215)

プロ意識が欠如し、浮世離れしたお城庁舎で世の中の現実を直視することもせず、臨時交付金を一部の既得権益・行政に群がるコンサルタントにバラ撒き、無理やりの理屈で活用するまちにミライはない。(P.261)

「ビジョン×地域コンテンツ×PPP/PFI×やる気と覚悟=アカルイミライ」(P.283)

 耳が痛くなる内容ばかりですが、民間企業の知的財産権も意識したことなかったし、現場感覚や現実直視はしないといけません。そこで、自分自身も経済とまちと向き合うことは意識したいと思い、まずはできることからの取り組みとして、「フクユメ~福知の人の夢語り~」でオンラインですが、まちで頑張っている人と知り合う、見える化する活動を再開しました。


 後、やっぱり「まちをどうしたいか?」「自分はどうありたいか?」という【ビジョン】がこの本において一番大事なキーワードじゃないかと思っています。【ビジョン】があるからこそ、どんなコンテンツが必要かを自分ごと化して考えた上で、PPP/PFIの手法を使って民間から資金調達の流れになるのではないかと思ったので、オンラインでだいぶ色んな人つながりやすくなったので、オンラインも活用した対話をしながら自分のまち(福知山)をどうしたいかを考えていきます。

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