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バローチとの出会い

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2019年から始まったパキスタンへの旅行記
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旅はいよいよバロチスタンへ

旅はいよいよバロチスタンへ

シンド州の旅を終え、明日にはバロチスタンに入るという夜、ハイデラバードの街に宿をとった。毎日の出会いに興奮していたこともあるが、一晩中続く騒音が僕の眠りを浅くしていた。日の出前にベッドを抜け出し部屋の窓から街を見下ろしてみる。空気はかすみ、遠くでコーランが聞こえてくる。

パキスタンへの入国ビザは持っているとはいえ、州を超えるにも特別な許可が必要だった。ここからは州警察の同行が必要なエリアで、僕ら

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シンド州の奥地へと

シンド州の奥地へと

ハイウェイを外れて車は山岳地帯へと向かい始めた。時折現れる集落のようなものも徐々に規模が小さくなり、人影もまばらになっていく。バザールのようなものも通過するが、これまでの人通りと比べれば静かなものだ。途中、ラクダをトラックに乗せている人々に出会った。どうやらラクダ市が開かれていたようで、買い取られたラクダを町へと運ぶのだという。ラクダも自分の運命を感じているのだろうか、必死に抵抗してトラックに乗ろ

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バローチの集落へ

バローチの集落へ

車はナショナルハイウェイを離れ、インダスハイウェイへと入っていった。この辺りから風景は農村地帯へと変わっていく。綿花畑や麦畑が広がり、遠くには遊牧民と思われる集落も見られるようになった。きっとあれはバローチ族だよ、とガイドが教えてくれる。車を停めハイウェイから徒歩で集落へと近づいていくと、集落の長と思わしき男性が近づいてきた。バローチ族はとても保守的な民族であり、外国人が近づくことはおろか、写真撮

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メガシティ・カラチ

メガシティ・カラチ

カラチの空港に到着したのは夜も更けたころだった。成田からバンコクを経由し15時間ほどのフライトで到着したカラチの空気は、日本のそれとは全く異なっているように感じた。それは空気感といった抽象的な話ではなく「匂い」という物理的な意味で。

カラチはパキスタン最大の都市でもあり、イスラマバードに首都が移される前はこのカラチがパキスタンの首都だった。人口は2200万人を超えると言われ、世界でも有数の巨大都

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出会い

出会い

その地を知ったのは偶然だった。
僕は新しい刺激を求め、視点を海外へと向け始めていた。見たこともない国を知りたいという思いも少しはあったが、本当の気持ちは少しだけ違っていた。

僕が18のとき、初めて北海道と出会った。写真というものに関わり出してすぐの頃だ。つまりは、僕の写真人生は北海道とともにあると言っていいのだと思う。だから僕は、ずっと北海道の人になりたかった。通えど通えど、僕は旅人でありこの地

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