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森保ジャパンCK戦術コスタリカ戦

コスタリカ戦、負けてしまいました。
本当に残念です。

前回大会から考えると、ベルギー相手に2点リード!からの大逆転負け!ドイツ相手に劇的勝利!からのコスタリカ相手にまさかの敗戦!

我々日本サッカーファンは、世界最高峰のジェットコースターに乗っています。

それは決して大袈裟ではなく、ベルギー戦は、

『Opta』によれば、W杯の決勝トーナメントにおいて、2点リードから90分の間に敗戦したのは、1966年大会以来とのこと。当時、ポルトガルは準々決勝で北朝鮮に3点リードされながらも、伝説的なストライカーであるエウゼビオの4発などで5-3と大逆転勝利を収めた。

Goal.com

ドイツ戦は、皆さんご存知の通り、日本にとってワールドカップ史上初の逆転勝利。

そしてコスタリカ戦は、

コスタリカの日本戦での敵陣PA内タッチ数は2回だけで、これは1966年以降のワールドカップの1試合で勝利した側が記録した同タッチ数としては最少。効率的。

Opta

というデータがある上、

日本はコスタリカには国際Aマッチ通算5試合目にして初黒星(0-1、3勝1分)。

Opta

とのことです。

歴史的に見ても、本当に世界最高峰のジェットコースターなのです。日本サッカーは大変進歩してきましたが、その力はまだまだ不安定ということです。次戦スペイン戦に勝てば、さらにジェットコースターが続くことになります。果たしてどうなるか。

それでは、コスタリカ戦のコーナーキック戦術について、分析結果をまとめます。

日本の守備

日本は1本もコーナーキックを与えず、守備の機会は一度もありませんでしたので、特に書くことはありません。それだけ優勢に試合を進めていました。

なお、テレ朝解説の内田篤人も指摘していた通り、遠目からのフリーキックにおいて、基本はゾーンで守る中、相手の19番には遠藤がマンマークで付いていました。過去記事でも述べた通り、この選手は空中戦が得意な要注意人物でしたので、事前分析に基づく良い対応でした。

日本の攻撃

コスタリカの守備戦術は1ストーン+マンマークで、ボランチの5番がストーンとしてニアに立っていました。過去記事では2ストーン+マンマークと紹介していましたが、大陸間プレーオフのニュージーランド戦でも似たような形はあったので、想定の範囲内だと思います。

日本は計5本のコーナーキックを獲得しました。時間、キッカー、インスイング/アウトスイング、狙った位置をまとめると、以下の通りです。

前半1分、相馬、インスイング、ニア
後半3分、相馬、インスイング、真ん中
後半4分、堂安、インスイング、ニア
後半32分、相馬、インスイング、ファー
後半33分、伊藤、アウトスイング、真ん中

まず、キッカーが鎌田ではなく相馬だったことは驚きでした。フリーキックを蹴る場面もありました。相馬は森保ジャパンの中では新参者ですが、信頼を勝ち取ったのか、調子が良かったのか。実績以外にも評価基準があり、チームとして健全であることが窺えます(もちろん鎌田が蹴っていても健全かもしれませんが、その場合は外から見えにくい、という意味です)。あるいは、鎌田の方が身長や得点力が高く、ペナルティーエリア内で貢献できるとの判断かもしれません。

サインとしては、片手を挙げたらニア、両手なら真ん中かファー、であることが見て取れました。

まず1本目は、ニアに蹴りました。ゴール前ニアに立つ遠藤を、上田が後ろから追い越してニアに飛び込みました。さらに、初めはペナルティーアーク近くに立っていた鎌田は、弧を描きながらファーに走りました。上田のヘディングがゴールに飛ばなくてもファーで押し込むことを狙っていたと思います。これら一連の動きは、明らかに用意してきた形です。

ちなみに、別のコーナーキックの場面でも、鎌田は弧を描きながら走り込む動きを見せていました。鎌田のマーク担当である相手選手は、鎌田とゴールの間に立ってマークしたいわけですが、鎌田は自分とその相手選手の間に、他の選手を入れるように動く(他の選手の横をすり抜けるように動く)ので、他の選手が邪魔でマークが難しくなります。キッカーを担当することが多い鎌田ですが、エリア内での個人戦術も光っていました。

2、3本目は、真ん中とニアに蹴り、相手ストーンにクリアされました。なお、この間でマークの交代が起きています。

前述したコスタリカ最強のエアバトラー19番は、2本目までは板倉のマークに付いていました。板倉は空中戦に強いですし、ドイツ戦でもチャンスを作ったからかもしれません。しかし日本には、19番がいない所で勝負する戦略があったようです。2本目までは、板倉は全然動かず、空中戦に興味を示しませんでした。その代わり、吉田が積極的に動いていました。それを受けてコスタリカは、3本目から、19番が吉田のマークに付くことへ変更します。

それを見た日本は、次の4本目、ファーへ動いた板倉に合わせようとしました。

このように、お互いの戦い方を確認しながら、緻密な駆け引きが行われていました。リアルタイム観戦中はここまで気付けないこともあるので、後から分析することの醍醐味ですね!

そして最後の5本目は、最初はニアを狙いましたが鎌田が倒れたことでやり直しになり、最終的にはシンプルに真ん中にクロスを上げました。

試合を通して全体的には、あまり工夫が見られなかった、というのが個人的な感想です。

日本のキッカーとショートコーナー要員に対して、コスタリカは2人を出してきたので、日本としてはペナルティーエリア内の相手人数を減らすことができていました。これ自体は良い戦術でした。
そしてそのペナルティーエリア内では、コスタリカは1ストーン+マンマークでした。日本はエリア内に5人を送り込んだので、キーパーを除けば、ゴール前に相手選手は6人しかいません。密度としてはスカスカです。

日本の選手が動けば、マンマークである相手は付いてくるので、綿密なチームとしての動き方を決めておけくことで、大きなスペースとチャンスを作り出せたのではないかと思います。過去記事で紹介した、シュツットガルトで遠藤が決めたようなゴールも、十分可能であった気がします。しかし、1本目以外はあまり意図を感じず、単純にそれぞれがマンマーク相手と競っているように、私の目には映りました。

過去記事でも触れた通り、日本代表には専任のセットプレーコーチがいます。私には分からなかっただけで、細かな戦術を実践していたのか、あるいは、セットプレーコーチとしては多くのアイディアを提供していても、現場の監督・コーチ陣がセットプレー練習に十分な時間を割かなかったのか、外からは分かりません。いずれにしても、結果は出ておらず、残念です。

試合全体

最後に、試合全体についてです。

私が最も気になったのは、コスタリカ戦の位置付けです。勝たなければいけない、引き分けでも問題ない、どちらだったのか。後半での攻撃的選手投入からは、「必ず勝つ」というメッセージを感じました。しかし、前半の戦い方は、あまりに消極的でした。

先に失点したくない、後半が勝負、このような考え方は理解します。とはいえ、完全にコスタリカのゆったりとしたペースに付き合ってしまいました。「攻めてこないなら一気に勝敗付けちゃうよ」という迫力を出さないと、こういう結果にもなりますよね。もちろん日本とコスタリカには、そこまでの実力差がなかったのかもしれません。それだけの話かもしれませんが、後悔が残る試合運びをしてしまったのではないかな、と思っています。

また、運なのか実力なのか、各選手の悪い部分が出てしまったような気がしました。吉田のポカ(失点直前)、相馬の低精度クロス(鎌田どフリー)、浅野の空振り(三笘突破後)。失点シーンも、ボールを奪いに行かない状態がずっと続いていました。

選手は、盤上の駒や、ゲーム内のキャラクターではありません。生身の人間です。性格、癖、得意不得意、疲労、判断力低下、様々な要素がありますが、客観的事実として、あれだけミスが出てしまうと、負けてしまうでしょう。残念です。

とはいえ、まだスペイン戦があります!
・2試合終わって勝ち点3は悪くない
・スペインと真剣勝負ができる
・オリンピックでは接戦の末、延長戦で0-1だった
等々、ポジティブに考えるしかありません!

次こそ、素晴らしいセットプレーと勝利が見られることを期待します。

では、また。


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