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「じい散歩」を読んで読書感想文

「じい散歩」著者:藤野千夜 
双葉文庫
オーディブル版の感想です。

「じい散歩」の主人公の明石新平は88歳。その何気ない日常を描いた小説です。小説の冒頭から、新平の日常習慣の話が出てくる。健康を意識しているため、毎朝四十分から四十五分の体操を続けている。それも健康講座で教わった、ストレッチ体操をベースにした自身のオリジナル。

朝食のメニューも、独自に考えて毎朝続けている。そして、散歩に出かける。次男からも「お父さんって、健康おたくよね」と言われている。

そんな小説の冒頭を読みながら、遠方の実家にいる父を思い出した。両親ともに健在で、父は昭和12年生まれで今年87歳になる。

主人公と年齢も近いく、共感を持てた。私の父も朝食の時に飲む「こだわりの青汁」があるらしい。母から言わせると「どれも一緒だと思うけど、乳酸菌が入っていないとダメだとか、なんとかの成分がダメだとか、こだわりがすごいのよ」と嘆いていた。

そういえば「新型コロナワクチン」の接種も、副反応が怖いと一人拒み続けて結局ワクチンを打たなかったらしい。

自分も80代になるとこだわりが強くなってしまうんではないだろうか。家内から怒られる姿が目に浮かんだ。

この小説の中には8050問題も含まれていた。8050問題は、80代の親が50代の子供の生活をさえるという問題。その背景にある子供の引きこもり。明石家の長男も高校中退後は、家に引きこもり既に50代となっている。

私の長男も通信制の高校を5年かかり卒業したものの、その後は家に引きこもりがち。精神遅滞という精神疾患があるため、B型就労支援の事業所に登録しています。しかし、ほとんど通所が出来ていない状態が続いている。これから数十年後、私も8050問題に頭を悩ませるのかと不安になるときがあります。

新平のいさぎよい、前向きな考え方を見習いたいと思う。

小説は、いろいろと問題を抱える明石家の日常の物語。それをユーモラスに綴ってあり、一気に読めてしまいました。主人公の新平は本当にたくましいと感じました。

主人公がヒーローのように問題を次々に片付けていくわけでもなく、大成功を収めるわけでもありません。それでも物語に引き込まれていきました。

本を読み終えると「私の日常」に戻る。すると「新平のたくましさ」が何か勇気づけてくれているように思えてなりませんでした。

次作の「じい散歩 妻の反乱」があるらしく、読んでみようと思います。

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