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47 500円貯金

男は昔やった500円貯金のことを唐突に思い出した。あの貯金は一体どうしたんだっけ。使った記憶はなかったが、どこにやったのかいくら考えても思い出せなかった。

男は部屋をひっくり返して貯金箱を探した。側面に「10万円貯まる!」と大書きされた缶型の貯金箱だった。半分以上貯まっていたことは間違いない。とすれば、五万円は下らないということだ。

男は押し入れの奥を漁りながら、最後に見たのはいつだったかを必死に思い出そうとした。八年前に引っ越しをしたときか。あるいは五年前に家電を買い換えて部屋のレイアウトを一新したときだったか。

家中を探しても貯金箱は出てこなかった。過去に付き合った女たちの誰かがこっそり持ち出したのではないかと疑い、男は一人ずつ電話をかけていった。全部で二人だった。どちらもつながらなかった。

男は難しい顔になって座り込み、もう一度記憶をたどり直した。すると、ある日の出来事に行き当たった。ほんの戯れに、頭に貯金箱を乗せたままいつまで落とさないでいられるか試してみようと思ったのだ。することがなくてあまりにも暇なときに思いついた遊びだった。

もしやと思い、男はそっと自分の頭の上に手をやってみた。貯金箱はそこにあった。



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