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人の心の状態とは一瞬の出来ごとであり、時間的な流れでもあり、ストーリーでもある

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)顧客経験価値のための商品企画開発の実践コース第21回


■人の心は簡単には解らない


人の心状態とは一瞬の出来ごとでもあり、また周りの様々な影響を受けながら一連の時間的な流れで生成されるものでもあります。そして振り返ってみるとストーリーとしてより深い意味が生まれることがあります。


簡単な例です。ある男性が奥さんの誕生日に慣れない料理を行ったケース。レシピーサイトをみて、自分なりの工夫を考え、スーパーで材料を購入した。しかし買い忘れに気づき、再度スーパーに買いにでかけ、「ああ~大変」と思う。料理を開始し、途中まで順調だったが、塩の分量を間違え、水を加えたら、なんか味の引き締まりがなくなり、、、、。「おいしくないと言われたら」と不安に。苦労して3品つくり、テーブルに並べ、奥さんと子供2人が食卓に着く。自分はぐったり疲れている。「こんなことなら何かプレゼントにしておけば良かった」と後悔も。夕食が始まり、奥さんが「これほんとにパパつくったの?おいしい!!」子供もつられてか「毎日食べたい」「パパもやれば出来るね」と褒め言葉。「やっぱり料理で良かった」と最後に思った。同時に朝からの苦労もなにか楽しい経験に思えてきた。


この男性に、食事終了後、「奥さんの誕生日に料理をしてあげて良かったですか」と聞いたら「とても良かった。気持ちが伝わった」を答えてくれるはずです。しかし料理の途中で質問したら、その反対の答えが返ってくるかも知れません。


スポーツなどもやっている課程は苦しみ以外の何物でも無いのですが、終わった後の達成感でとてもよい経験として記憶されます。人生も同じで、人並み以上の苦労と不幸があっても人生の最後に良いことがあれば、「自分の人生は良い人生だった」という経験になると言われています。人の経験とそこから生まれる心の状態は簡単には解らないものです。

■カスタマーエクスペリエンスマップをつくりギャップを発見する


 商品開発のためにあるべき顧客経験価値を発想する際に、顧客の経験を時間の流れにそって分析する方法を「カスタマーエクスペリエンスマップ」と呼んでいます。


カスタマーエクスペリエンスマップは、縦軸に、顧客経験価値の5つの視点を書きます。5つの視点とは感覚、感情、行動、思考、共感です。横軸は時間の流れです。期間は、対象とする商品やサービスにより、10分のものもあれば1日のもの、1週間のものもありそれぞれです。


カスタマーエクスペリエンスは、商品・サービス提供者が仮説で書く場合とその商品サービスの受益者である顧客を交えて一緒に書く場合があります。
まずは行動のプロセスを時間にそって書きます。行動は目に見えますし、認識もしやすいので、ほぼ確実に記述出来ます。行動を記述すれば、感覚、感情、思考、共感の他の視点も書きやすいと思います。


カスタマーエクスペリエンスマップは、時間のかかる作業で、テーマにもよりますが例えば1時間のカスタマーエクスペリエンスであれば、4,5時間の分析作業になると思います。行動を中心に、感覚、感情、考え、共感を丁寧に把握していくことが必要です。また途中でいくつかのパターンが存在することに気がつき、プロセスを分岐させなければならないときもあります。
またカスタマーエクスペリエンスマップでは、各エクスペリエンスで発生する問題・課題を書きます。各エクスペリエンスで期待されること、ありたい姿と現実のギャップが出ればそこが新たな顧客経験価値となります。そのギャップを見つけることが大事です。そのためには、各エクスペリエンスの期待されること、ありたい姿を明確に想定していなければなりません。

■実際実行するととても活気が出る


 実際の商品やサービス開発やカスタマーエクスペリエンスマップを作成しているケースは、残念ながら多くないと思います。ただ何もしてない訳ではなく、リーダークラスの方が自分の頭で想定して実施しているのはずです。しかしそれがマップなどにして関係者で共有されていなければ、皆のアイデアや改善活動を引き出すことは出来ません。マップ化するプロセスと分析したマップの共有は効果的です。さらに期待やありたい姿の設定と現状とのギャップの共通認識と、メンバーの多様な視点での改善アイデアの発想は組織を活性化させます。
 実際に時間をかけてカスタマーエクスペリエンスマップを作成すると、参加メンバーは大変活性化します。なぜなのかを考えたことがあります。いくつかの理由が見つかりました。
 ●普段知りたいと思っている顧客の気持ち、心の状態を知れ、自分達の仕事にやり甲斐を感じた
 ●改善策が明確になり、その改善策を実行することが顧客の喜びにつながると感じることができる
 ●現場で働いている側と顧客との心の交差、ふれあいが明確になり、仕事の満足度が高まる
 ●顧客の夢を達成し、顧客経験価値をあげる方法は無限にあり、自分達がそれを実践でき、顧客や社会に貢献できると言う自信

 カスタマーエクスペリエンスマップは、顧客だけでなく、職場の部下、上司、家族、趣味のサークルなど人との関係で書いてみるのも良いと思います。人の気持ちを時間の経過で想像し、途中苦痛があっても、結果としてよい経験となり、互いが成長していけば良いことだと思います。


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