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「組織から個人の軸への変化」 ~いかに個人の独自性を創り上げるかの戦略が重要~


■組織から個人の軸への変化


2020年、新型コロナ問題を切っ掛けに、人・組織、社会の価値の軸が大きく変わったように思えます。それは組織から個人の軸への変化です。新型コロナ問題で、多くの会社では在宅ワークを半ば強制的に実施することになりましたが、業務の種類にもよりますが、いわゆるデスクワークでは多少支障があってもほとんど問題無く仕事が進められることが解りました。通勤の負担から解放され、都心では1日平均2時間以上の余裕時間が生まれ、個人や家族との時間が多くなり、暮らしが大きく変わりました。副業が認められる企業の社員の中には、複数の企業やNPOなどの組織の仕事ができるようになり、また働く場所も自由になりました。地方への移住も徐々に進みました。ワーケーションというコンセプトも、単に地方で観光を楽しみながら働くだけでなく、むしろ都市での暮らしのフレームワークを脱することで新たな発想や人との関係が生まれることが理解されはじめました。

このようなトレンドの軸にあるのは「個人」です。これまで多くの人はどちらかというと所属する組織やコミュニティを優先させてきました。しかし、コロナ後には、個人がどんな価値観を持ち、暮らし、働き、人や社会、自然環境と関係を持つかを重視するようになったと感じます。

■積極的で実力のある人には有利な環境に


これまでもデジタル化、ネット化で仕事が分業化、細分化され、個々の仕事が1つのユニットとして独立する方向にありましたが、在宅ワークでそれが明確になりました。その結果、個人が何をしたいか、どのようなことができるかが重視され、個人軸の社会がより鮮明になったかと思います。やりたいことが明確で、実力のある人には働きやすい社会になった一方で、組織に依存し、自分の能力を磨いてこなかった人にとっては厳しい世の中になったのではないでしょうか。

今後この傾向は加速すると思われます。高い能力を持つ個人は、社内はもちろんのこと社外からも重視され、多くのプロジェクトに参加することができるでしょう。それによって収入も増加し、さらに能力も開発され、より強くなっていくでしょう。一方受け身で、自己研鑽を怠っている人は社内でも仕事が少なくなり、活躍の場が限定的となります。

■個人の価値基準で選択する時代に


そのようなトレンドの中で、リカレント教育(学び直し)や新たな知識やスキルの習得することであるリスキリングは、すべての人に必須のこととなってきています。また平均寿命が延伸し、人生100年といわれるようになり、年齢にかかわらず常に社会で活躍するライフシフトの概念が身近なものになりました。リタイヤ(退職)という制度や概念も次第になくなってきています。こういった変化により、行政や会社が何かしてくれると期待するのではなく、各個人がどんな生き方をしたいのかを明確に持ち、自らが暮らしの方法を選択していかなければなりません。

■自分の独自性を創り上げるのは独自の経験


個人軸への変化は、個人間の独自性、創造性の競争を活発化させると考えられます。実際にYouTubeやTikTokなどでは、年齢、学歴、経験に関係なく、テレビなどのマスコミでの露出よりも遙かに多い膨大なアクセス数を稼ぐスターが毎日、世界中から生まれてきています。これからはいかに個人の独自性を創り上げるかの戦略が重要になります。

個人の独自性を創りあげるためには、決められたゴールに向かって無駄なく、合理的な道を選択し進むのではなく、むしろ過去の自分のフレームワークを捨て、自分にとって未知のフレームワークをもつコミュニティに参加し、新たな体験をつくっていかなければなりません。

例えば過疎化した地域でのまちおこし、恵まれない貧困層の支援、自然の中での暮らしなど、新たな経験価値を生み出す、そういった未知なるものへのチャレンジが必須となります。

■偶然を独自の経験価値に繋げるリアルな行動力、対話力がますます重要となる


チャレンジする中では、その状況に応じて偶然をいかに取り込んでいけるかが重要な資質になってきます。偶然出会った人でも話が合えば、一緒に何かをやり出し、誰にもつくり出すことができない新たな経験価値をクリエイトするといったようなことです。自分からプロアクティブに場所と時間をつくり、人と会い、関わり、何かを創り出す。そんなプログラムされた計画では起こり得ない体験を創り出すのです。

一概にはいえませんが、この場合オンラインだけに依存するのは、決まった人と決められた時間で会議をするなど、過去の自分のフレームワークの中で収まりがちなので不利になる可能性もあります。どこか外に出かけ、人や社会と積極的に関わりを持つリアルでの行動や対話が有利になります。結局、バーチャルもリアルも活用し、エキサイティングな体験を創り出すことなのだと思います。

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