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強みの視点=コア・コンピタンスの視点で商品・事業戦略仮説を立てる

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)顧客経験価値のための商品企画開発の実践コース第11回


 コア・コンピタンスの視点の商品・事業戦略仮説とは、自社の持つコア技術やスキルから商品・事業の仮説を立てるものです。コア・コンピタンスは企業の本業と呼ばれるメイン事業のベースになっているものです。製造業であれば、技術の周辺がコア・コンピタンスで、要素技術、設計技術、製造技術、利用技術などの中に存在したり、それらの組み合わせであることがほとんどです。
 それらのコア・コンピタンスが、最終受益者の感覚、感情、思考、行動、価値観やコミュニティ、つまり顧客経験価値に大きなインパクトを与えうるもので無ければなりません。

その結果、


●ある特定市場の需要を急速に拡大するものである
●ある特定市場のエコシステム・ビジネスモデルを大きく変えるものである
●これまでに無い市場や顧客経験価値を創造するものである


といった状態を目指して発想します。
 たとえば米国発の配車アプリのウーバーは、クルマ利用の価値観、行動を変え、快適性、利便性を提供し、モビリティ産業市場全体のイノベーションを起こしました。ウーバーの場合のコア・コンピタンスは、アプリケーションのデザインとAIを組み込んだ配車プログラム、ビジネスモデルなどで合ったと思います。


 コア・コンピタンスは、絶対的なものではなく、ある市場領域を前提にした際の想定される競合との相対的なものです。

その点からコア・コンピタンスは、市場領域を変えることで、捉え方が変わってきます。例えばキリンやアサヒビールなどでは、ビールはじめアルコール飲料で培った酵母の技術が、酵母を使った薬品開発で優位性があるといったことがあり得ます。既存事業の市場と比較し要求がそれほど厳しくない市場においては、自社の技術がコア・コンピタンスとして有望かもしれません。
 

 また、コア・コンピタンスは、異なる事業や部門に点在する能力を組み合わせることで創り出すことが出来ます。

通常組織間でコミュニケーションが少ない企業はその可能性があります。それぞれの部門に存在する独自性のある強みを組み合わせるのが、新たなコア・コンピタンスを生み出す近道です。


 その他オープンイノベーションの発想で大学や他社からの技術やノウハウを導入し、自社のコア・コンピタンスと組み合わせることで独自のコア・コンピタンスを創ることも可能です。

アイリスオーヤマは、2000年前半に大手電機メーカーがリストラを行う中、積極的に大手電機メーカーのベテラン技術者を採用し、アイリスのコア・コンピタンスである商品企画マーケティング力と組み合わせることで、現在はLED照明はじめ家電製品でトップクラスのシェアを占める商品も出しています。

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