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ラクロス留学を決断した理由

2019年12月末に大手都市銀行を退職し、カナダのコキットラムという所でラクロス留学をしています。同年4月から働き始め、一年も満たぬ間に退職するなど自分でも予想だにしませんでした。

ラクロスは多くの日本人ラクロス選手と同じように大学から始めました。高校まで野球をやってきた身として、「本気で日本一を目指す」環境に強く惹かれラクロス部に入部しました。もちろん高校でも甲子園、そして日本一を目指しました。ただあまりに現実味がなかった(超弱小校でした)。一方ラクロスでは、過去の実績からも、150人を超える部員数からも、先輩たちの雰囲気からも、「早稲田を背負って日本一になる」というのはすごくリアルでした。皆が未経験でスタートラインが一緒、努力次第で活躍できる、という点も魅力的でした。
第二の人生が与えられた気がして、ものすごくハマりました。野球で思うようにいかなかった分、没頭できたのかもしれません。

社会人になってからもラクロスを続けるか少し迷いました。部員や応援してくれる人の想い、そして大学の看板を「背負って」勝つ、という使命感が大きなモチベーションになっていた自分にとって、社会人として続ける覚悟があるか分からなかったからです。
ただあまりにハマりすぎていました。そして日本代表として世界大会で戦いたいという想いもありました。

こうして週末ラクロス生活が始まりました。仕事にラクロスに飲み会に追われ、居心地の良い忙しい日々でした。すごく充実していて楽しかったです。そうこうしていくうちにシーズンが佳境を迎えていき、ラクロスの優先度が上がっていきました。

大きな転機となったのは11月中旬に行われたWORLD CROSSE(北米のトッププレイヤーたちを日本に招聘し、日本の選抜チームとエキシビジョンマッチを行うイベント)です。初めて世界トップレベルでプレーする選手たちと実際に試合をし対峙したことで、心境に変化がありました。彼らはものすごく上手かったです。体も大きく、速い。経験値も高く、技術も卓越しています。

ただ、「追いつけない差では無い」とも思いました。

大学でラクロスを始めてから、憧れ、参考にし、真似し続けてきたプロラクロス選手たち。彼らの背中が見えた、という実感にすごく興奮しました。

もちろん日本代表として世界大会を戦うということは、トップレベルの選手たちに挑むことであり、社会人ラクロスを続けると決めた時から、その覚悟はできている、と思っていました。しかし心の何処かで彼らを神格化し、自分とは違う存在だと思っていた節があります。彼らの動画を穴が空くほど見続けて、彼らの所作を真似ながら学んできたことを考えるとある意味当たり前かもしれません。

一度この実感を抱いてしまってから、そのことばかり考えるようになりました。もっともっと上手くなりたい。もっと上のレベルを目指したい。ただ冷静に考えて、このままの生活で彼らに追いつくことは、自分には不可能だと思いました。器用でも無いし、飛び抜けて身体能力が高いわけでも無い。しかも既に24歳(当時)。スポーツの世界では特別若くもない年齢です。

全てを懸けて挑まなければ彼らに追いつく可能性はないのだと悟りました。

その事実に気づくと同時に、北米に行くことが頭に浮かびました。ラクロスのレベル的にカナダ・アメリカは一つ頭抜けている。自分の成長を最大化するにはよりレベルの高い環境に身を置くことが一番良いのではないか。実は前々から少し考えていたことでもありました。

問題はいつ行くか。「入社後3年間は社会人としての基礎を築く大事な期間」という話はよく聞きますし、ビジネスマンとしての基礎を築いた上でラクロス留学をするというのが長い目で見て「賢い」選択だと思いました。

ただ、一つ問題がありました。所謂「グローバルコース」として採用されていたため、新卒2年目の夏から最低2年間の海外転勤が決まっていたのです。海外転勤ともなれば、思い切りラクロスに集中できないことは明白でした。そしてあの実感を抱いてしまった自分にとって、ラクロスを一時的にでもやめる、ラクロスとの距離を置く、という選択肢は論外でした。

ラクロスは自分にとって何よりも大事なものになっていました。というよりずっと何よりも大事なものであったことを実感しました。湧き出てくる熱い想いにフタをして、器用に世渡りしようとしていた自分に気付いたのです。

おそらく日本に残らせてもらい、サラリーマンとして働きながらしっかりと計画を練ることは可能だったでしょう。ただ自分が憧れた選手たちとの差はあまりに大きく、「賢い」計画を立てて追いつくイメージは湧きませんでした。多くを犠牲にした上で「もしかしたら叶うかもしれない夢」。それほどものに対して、合理的な人生選択など無力に感じたのです。

海外リーグのシーズンを考えて、1月から留学を開始することにしました。急な決断で迷惑をかけた方もいたと思います。お世話になった会社にも迷惑をかけてしまいました。申し訳ありません。周りの多くの方に助けて頂きました。ありがとうございます。

今後の身の振り方はまだ計画できていません。今シーズンこちらのリーグが中止になる可能性は高いと思います。ただWORLD CROSSEで抱いたあの実感は今も瑞々しく生き続けています。もしかしたら客観的に見て、お門違いで、「イタイ」ことをしているのかもしれません。それでもあの実感が生き続けている限りは挑戦し続けたいと思います。

まだ競技を始めて5、6年目。伸び代だらけです。毎日少しずつでも上手くなれるように練習に取り組みたいと思います。自分の可能性を信じて。

最後に、いつも応援して下さっている方々やこの決断を後押しして下さった方々。本当にありがとうございます。皆様のようなロールモデルがいるからこそこのような挑戦を思い切りできるのだと思います。この場を借りて御礼申し上げます。恵まれた環境、境遇に感謝しながら精進します。


↓US Lacrosse Magazineの記事はこちら
https://www.uslaxmagazine.com/fuel/international/the-brotherhood-how-toru-morimatsu-found-his-calling-in-lacrosse

↓WORLD CROSSEの様子はこちらから(インタビュー含め出演させてもらってます!全3エピソードあるので予告編だけ載せておきます。)



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