https://nihonbashiart.jp/artist/inouetooru/#modal-1 掲載していただきました‼️
写真は、ジャクソン・ポロック 《コンポジション》 1939-41年頃 この作品は、抽象表現主義以前の作品である。ポロック最良の作品とは、比べるべくもないが、同時代の他の作家の作品に比較すれば数段高い質を持っている。 画面は、上中下3つの領域に分かれているが、具象的な形態がつなぎ合わせるように描かれ、分割をあまり感じさせない。上部の黒い領域は広く不安定になりかけるが、下部の黒の帯をやや強く描くことでバランスを回復させている。画面が安定することで、逆に心理的な不安を観者に
写真はエドゥアール・マネ 《鉄道》 1873年 油彩・カンヴァス National Gallery of Art, Washington この作品で画面全体の構築に強く貢献しているのは、少女が持つ鉄格子だ。鉄格子は、人物の存在する空間と、鉄道と建物の空間を大きく隔てるが、鉄格子自体は描写が希薄なため、観者の意識を画面自体に向かわせ、画面の形状や物理的な大きさよりも、上下左右への拡がりを観者に感じさせる。そのため、鉄格子の存在は画面の中ではあまり際立ってはいない。 鉄道と建
写真はセザンヌ 「川辺」 1895年頃 ワシントンナショナルギャラリー この作品を風景画として成り立たせている要素は、川辺の土手と建物、木々の一部にすぎない。さらに地平線を暗示する土手は向かって右にやや下がっているため、左の建物周辺が前出し、左右の距離感はほぼ無くされている。 右の木々は、左の木々のような具体的な描写が行われず、色彩と筆触で暗示されるだけである。土手と水面が情景を暗示している程度で、空の面積は少なく画面の上から下まで同様の距離感で描かれている。そのため、画
クレー作品の優れた特性は、素材に関する感覚に明快に現れる。基底材の表面(紙、キャンバスなど)に、インクや炭がわずかに乗ることにより、作品に表情の変化を与える。また、下地に使われる色彩(黒に近い色など)も、素材を視覚的に活性化する。その点で、彼の作品の多くが小さいことは必然であり、大きさによって質が損なわれることはない。 《花ひらいて》にもその特徴は見られるが、この作品は、中央下部の明るい領域にポイントが置かれ、あからさまに観者の視線を集中させる。こういった描画は、すでに指摘
生誕100年 ジャクソン・ポロック展より
写真は「竹虎図屏風」(東京都・出光美術館蔵) 長谷川等伯の絵画の独創性は以下の3点から現れる。 染色技術の影響 染色の影響は、紙等の基底材との関係に現れる。等伯の線や塗りは、画面の素材感と一体化する。多くの作品が、色彩に無駄を感じさせず画面が統一されるのは、主としてそのためである。等伯は、修行時代、染色に関わっていた。どの程度の経験を持つかは定かではないようだが、色彩の発色には、繊維に色材を染み込ませた発色と同様の感覚がある。 線遠近法の影響 西洋の線遠近法は、等伯が影
写真は見沼区島町薬王寺の十二神将像 円空仏は時代を超え我々に訴えかける。 その普遍性と呼べる性格を最も体現している仏像は、子供の遊び道具となり磨滅し原形を留めていない「菩薩形立像」さいたま市砂観音堂である。 円空仏の普遍性は、その形状にあるのではなく構造自体にあるために、見た目が失われている状態によっては強さが損なわれない。いわば、見えない領域での形成物なのである。 円空仏を特徴づける性質は、正面性と全体性、空間の圧縮と解放であり、異なる性質の融合である。 円空仏は
Title:Work-2020-12 素材:acrylic on cotton canvas サイズ:1,940×1,620(mm) プロフィール井上 亨(いのうえ とおる) Toru INOUE toru.hama3@gmail.com 埼玉県在住 武蔵野美術大学造形学部 油絵学科 卒業 展覧会実績: ・個展/Solo Exhibitions 1995 個展(なびす画廊) 1994 POSI大賞展(調布画廊) ・グループ展/Group Exhibi