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📷ひと時しか見られない虹の橋を鳥が渡った。雷光と共に。🌈虹を見たか?📷そして撮ったか?⚡️さらにどう撮ったか?🌸

  今年の夏の暑さはマスクのせいとばかり思っていたけど、記録的な数字を見るとやっぱり異常な暑さなんだなぁとウンザリしてしまいます。
 でも夏は暑いばかりではなくて、良いこともあります。夕立の後に見える虹。東京で虹が見えるチャンスは滅多にありません。そして虹の写真を撮るのもチョット難しいんです。
 滅多にないと言ったのは、決して「虹が出ない」と言うわけではありません。

📷建物の中や地下にいて、虹どころか夕立があった事も気付かない。
📷虹の発見が遅れて、消えかかっている
📷地上にいたが、ビルばかりで気がつかない
📷建物の隙間からキレイな虹を発見したが、電線が邪魔にならない場所を探しているうちに虹が消えた

 こんな理由から東京で虹を撮るのは結構難しいんです。そもそも虹はいつ発生するか分からないし、夕立が発生しても、虹が出るかどうかはわかりません。もちろんその時間が手を離せられない仕事中なら絶対無理です。
その分運良く虹に遭遇したらメチャメチャ、テンション上がります。こんなフォトジェニックな被写体はなかなか無いですから。

 🌈虹撮影の一番の難しさは「いつ消えるか分からないところ」です。

 もし、1時間確実にハッキリと見えると分かっていれば、とっておきの場所に行けるかも知れません。虹の発生の瞬間や正確な時間が分かっていれば、ある程度の予測は立つかも知れません。しかし通常は「あっ見える!」ところからスタートするので消えるタイミング予測は困難です。消えてしまったり、薄くなってしまっては元も子もないので、ハッキリ・クッキリ見えるウチに短時間でいろいろ撮影できるプランニングが必要です。いやそれはもうプランニングではなく、必要なのは機転を利かせた対応力であり、当意即妙な引き出しとチョコッとした「運」です。

 2020年8月13日午後、私は東京の池袋のビルの中で撮影をしていました。17:00ごろ撮影を終えて外に出ようと思ったら、にわか雨が降っているのが見えました。ビルのスタッフが「さっきカミナリが凄かったですね」と言われたものの、私は撮影の真っ最中で気が付きませんでした。機材を少し濡らしながらも2軒隣に停めた車まで走りました。駐車場の方向から日差しが見えて、本当に短時間の夕立だったのだと思いました。
 日差しを背に車を発進させると、池袋のビル群の中の細い路地を進みました。普段通り慣れた路地にこの日はやたらと、道路にはみ出して写真を撮る歩行者が多いなと思いながら、その目線の先を見て初めて、東京上空に大きな虹が出現している事に気がつきました。しかも凄くハッキリ・クッキリとしていました。

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 私は慌てて車内からビルの隙間の虹を撮りました。そして虹の全容を見ようとひらけた場所を求めて車を走らせました。この池袋界隈の路地は複雑な一方通行で思ったように車を進められず気持ちばかり焦ります。しかも東京に「ひらけた場所」ってなかなかないんです、いざ慌てて探すと。
 交差点は少しひらけた場所ですが、車が停められません。そもそも虹の見え方を気にしながら通行したら、危険なのでそのままスルー。やっと見つけた区役所裏の路地に車を寄せて、空に向けてカメラを向けました。

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 写真を仕事にしていると何度となく、逃れられない電線に悩まされます。ましてやPhotoshopの使用に制限がある中で仕事をしていると、日本国内に張り巡らされた電線を回避して空を写すのが結構難しい事が身にしみます。電線を気にせず虹の全容を見るにはビルの上階に行けばいいのでしょうけど、建物内に入ると撮影制限が生じるリスクと縦の動きは取れるが、横の動きは取りづらくなります。さらに車を駐車場に停めに行く時間も惜しいと感じます。そもそも上階に昇って虹が見えるか?さらにビルの窓がキレイかどうかの保証もありません。なので私は縦の動きを捨て、地上戦で虹をよく見えるアングルを探しました。
 もう一つ、「縦の動き」を切った理由は仮にキレイな窓からよく見えても写真のパターンは僅か。同じ場所から広い画と寄った画くらいしか出せません。新聞のように1枚でキメるような場合は良いでしょうが、今はメディアは多様化しています。通信社もかつては「ONE BEST」※(注)と美学を持った時代もありましたが、今はクライアントニーズに合わせて写真の枚数が増える一方です。まあ選択肢は多い方がいい、という事ですね。なので私はバリエーションを求め横の動きの「地上戦」に突入しました。

※(注)「最高の1枚でキメる」という意味で写真送信技術や通信状況が厳しかった時代は多くの写真を配信出来なかった。

 豊島区役所の先には雑司が谷霊園があります。夏目漱石を始め多くの著名人の眠る、この都立霊園には私の亡くなった母もいたこともあって、よく知った場所でした。広大な墓地は当然電線も目立たず、空も広くひらけています。霊園に着くまでに数カット電線の隙間を狙い、鮮やかな半円の姿を捉えながら、東京の風景をなんとか取り入れたいと撮影を続けました。

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 雑司ヶ谷霊園は期待どうり電線はなく虹の姿はよく見えましたが、お墓と大木の緑豊かな風景はなんとも東京らしさには欠けました。もう虹を撮り始めて10分ほど経ったでしょうか、半円の虹は撮ったのちカメラを望遠レンズに持ち替えました。虹の前を横切る鳥を撮影しながら、もっと多くの鳥が来たり、いい場面が来ないか?虹もそろそろ消え始めるだろうと考えていましたが、なかなかいい場面には恵まれす細かな移動、アングルの変化を繰り返しているうちに、虹は次第に薄くなり消えてしまいました。

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 その儚さが虹の最大の魅力であり、人の気持ちを惹きつけるんだな〜と感傷に浸りながらも時計を見るとあれだけ葛藤し、迷い、喜び、落胆し、焦り、走り、しゃがみ、ドキドキして虹を撮影した時間は僅かに24分間でした。やはり虹が出ている時間はほんの一瞬なんだと実感しました。
 
 自分がいた場所ですぐに動ける範囲で確実にそして、その場らしい何か。または自分らしい何か。を虹とともにフレームに収めることが、私にとっての「当意即妙の機転」だった
はずですが、あんまり上手くいかなかったな。と思いながら、家に帰り写真編集をしました。
 「虹の架け橋を渡る鳥」を写したコマの中に偶然に雷光が写っていたものがありました。最初はゴミかホコリかと思いましたが、それなら全てのコマに写っているはずだし、白くは見えません。一生懸命に大汗かいて虹を追いかけたら、誰かがチョコっとだけ「運」をくれたのかなと思いました。天国のお袋かな? (了)

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📷今回の撮影機材🌸


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