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うたの日366

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うたの日で好きだった短歌に拙いながら評を書いています。主にいいねいいねと云っています。 一日一首、毎日更新。
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2020年4月の記事一覧

2020/4/30(うたの日366)

繋がれた管から洩れる酸素すら僕からとおく逃げようとする/西藤智(2018/12/15「素」) 状況…

toron*
4年前
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2020/4/29(うたの日366)

性格は変わらないまま死んでゆき ずれた棺が気になっている/真島朱火(2019/9/18「性」) 視…

toron*
4年前
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2020/4/28(うたの日366)

これまでに失くした傘や手袋がきつと迎へてくれる天国/富樫由美子(2016/11/22「天国」) 本…

toron*
4年前
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2020/4/27(うたの日366)

またひとり名探偵を眠らせて積ん読タワーにはるかな吐息/桔梗(2018/10/21「探」) これは「…

toron*
4年前
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2020/4/26(うたの日366)

前向きな魚の交尾に泣いている(いきをはくことかんがえてみて)/未補(2018/10/10「自由詠」…

toron*
4年前
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2020/4/25(うたの日366)

ラムネの瓶に閉じ込められたビー玉は眠る円周率の無限と/近江瞬 (2018/11/24「率」) まず全…

toron*
4年前
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2020/4/24(うたの日366)

ひまわりのでっかいやつが咲いているような気がしたんだけど、君か/黛カイリ(2019/8/10「自由詠」) もう、このままと云われたら素直にこのままな歌ではあるのかもしれないけれども、好きです。こういう風に云われたいし思われたい。 「ひまわり」「でっかいやつ」「咲いて」とポジティブな単語が集約されて「だけど」からの「君か」までの緩急ができている。教科書通り(良い意味です)の読ませるテクニックと、「大事なことは最後に云う」テクニックを使ってきて、そのため短歌を読んだこともないひと

2020/4/23(うたの日366)

太平洋高気圧から吸いこんだエアを浮き輪に口移しする/久哲(2018/5/2「圧」) かっこいい。…

toron*
4年前
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2020/4/22(うたの日366)

一篇の詩を諳んじて少年はれもんの清しかたちを愛す/織田真水(2019/1/10「少年」) 「詩」…

toron*
4年前
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2020/4/21(うたの日366)

少女ゐし移動遊園地のあとにほほづきひとつ転べるものを/濱田和樹 (2019/10/5「転」) 単語…

toron*
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2020/4/20(うたの日366)

横恋慕(二重扉に鍵かけて誰も知らない猛獣を飼う)/葵の助(2018/9/21「横」) 横恋慕は、…

toron*
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2020/4/19(うたの日366)

咲きそうな夜更けがきれい寝過ごして知らない街の二車線道路/小俵 鱚太(2019/3/26「咲」) …

toron*
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2020/4/18(うたの日366)

幸不幸いくつも波は過ぎてゆき心電図にいま訪れる凪/西村湯呑(2014/7/25「不幸」) 心電図…

toron*
4年前
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2020/4/17(うたの日366)

わらったら蜘蛛の巣みたいな顔でしょう? 綺麗な蜘蛛のせいだといいな/木村比呂(2018/12/17「蜘蛛」) 一読してめっちゃ怖い。上の句がまず怖い。「蜘蛛の巣みたいな顔」ってどういう笑顔なのか全然解らないのに「でしょう?」って押しつけてくるのも怖い。しかもそれに呼応するような下の句にびびる。しかも「いいな」っていうのはあきらめのような他人事のような雰囲気もある。自分の笑顔のはずなのに自分の意思で笑っているのではないような。 歌のなかに流れているストーリーを読むというよりは