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2020/4/25(うたの日366)

ラムネの瓶に閉じ込められたビー玉は眠る円周率の無限と/近江瞬
(2018/11/24「率」)

まず全体に流れるリズムがすごく、いい。初句七音と下の句の句跨がりが、何処までも続く円周率のうねりをイメージさせる。
歌の中に人物は出てきておらず、ラムネの瓶の描写のみ。当たり前だけれど、そのビー玉は瓶を割らなければ取ることができない。なのでビー玉は円周率の永遠性と一緒にずっとそこにあることになる。…壊れやすいものの中に永遠を閉じ込めている設定がめちゃくちゃかっこいいし、ラムネの瓶の背景にあるその夏が、どんな夏だったのか想像もできる。また、夏という季節自体がそういうものだとも考えることができる。
ここからは深読みになるのだが、ラムネ瓶を立たせると、何処か人間に直立した姿にも似ており、かつその喉にあたる部分にビー玉はある。人物は出てこないが、なんとなく少年という器のなかに、永遠に終わらない夏があることを暗示しているようにも読めなくはないなと思った。すごく好きな歌です。

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