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『僅かに差し込んだ光』J1第35節 清水エスパルス対北海道コンサドーレ札幌【レビュー】

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スタメン

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ベンチメンバー

北海道コンサドーレ札幌
GK 中野 DF 岡村 柳 西野 MF 青木 FW ミラン ジェイ

清水エスパルス
GK 永井 DF 奥井 鈴木 MF ホナウド 中山 鈴木 滝

スタッツ

試合レポート

ともに3試合勝ちなしの両チーム。清水は解任されたロティーナ監督からバトンを引き継いだ平岡監督の元、残留を目指し勝利を狙う。札幌はミシャ監督の続投は決まっているものの、9月辺りから負けパターンが確立されており、こちらもいい流れとは言えない。監督交代ブーストのかかった清水を打ち倒し、来季に向け流れを取り戻すことはできるか。

前半

清水のハイプレスと攻略法

札幌ボールで前半キックオフ。序盤から札幌がボールを握り清水陣内へ攻め込んでいく。そうなると必然的に清水の守備の時間が長くなる。10/10に行われたエリートリーグでは積極的にプレスをかけることはせずにリトリートしていたが、この試合ではハイプレスを選択。2トップを中心としたハイプレスで札幌のビルドアップを妨害する。清水のプレスの形は至ってシンプル。2トップの一方が4‐1-5の1であるアンカーをマークし、2トップのもう片方がCB,GKにプレスをかけパスコースを限定。パスコースを限定したところにボランチかSHがプレスをかけボールを奪おうとする寸法だ。

しかしこのプレスには攻略法があった。それはプレスをかえてくるボランチとSHの裏である。清水のプレスは確かに厄介ではあったが、札幌の最終ラインの選手たちにはミシャ技術力検定(?)をクリアした実力者であるため、追い詰められてもロブパスでSBやシャドーにボールを通しプレスを回避していた。しかも清水はDFラインが重く、このプレスを回避したあとには広大なスペースが広がっており、そこから一気に攻撃へと転じることもできた。

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異次元 福森晃斗

そんな試合で先制に成功したのは清水エスパルス。サンタナがロングボールを収めたところから清水の攻撃が始まり、片山が倒されFKを獲得。そのFKのこぼれ球をサンタナが押し込み先制点を奪った。清水の攻撃の形はシンプルに、ロングボールでサンタナを使い手数をかけずに攻めることだったため、この得点はある意味では清水の狙い通りの形であったともいえる。というよりこのシーンは札幌が高さもないのにマンマークで対応してるのが悪(ry

さて、いつもの札幌であれば先制された時点でゲームエンドなのだか、この試合では一味違ったらしい。失点した6分後のこと。札幌は丁寧なビルドアップからボールを運び、サイドチェンジを繰り返しながら幅を使った攻撃で清水ゴールに迫っていく。そして右サイドでパスを回しながら起点を作ったところで、札幌の魔法使いである福森がボールに魔法をかける。通常では通らないようなコースにワンタッチでスルーパスを送ると、そのボールに抜け出した金子が胸でボールを収め冷静にボールをゴールに流し込んだ。CBの視野外からの抜け出した金子も素晴らしかったが、やはりあのコースにワンタッチで通せる福森のあの左足はやはり異次元。二人の素晴らしいゴールとアシストで、札幌がすぐに清水に追いついた。

ボール保持の札幌 チャンスの清水

点を分け合い1‐1の前半、両者ともに追加点を奪うため攻撃に出る。まず札幌、前半25分の時点でポゼッション率は7割を超えるなどボール保持に関しては文句のつけようのない。が、肝心のチャンスメイクには苦しみ、シュートを打つまでには至らない。幅やチャナティップ等を警戒して2列目が釣り出されることで生まれるバイタルスペースを使い、チャンスか!と思わせるシーンも作ったが、あと一歩二歩及ばず決定機までとはいかなかった。対する清水、ポゼッションでは札幌に大きく劣るものの、ことチャンスメイクに関しては札幌を大きく上回った。清水には数少ないチャンスをシュートまでもっていく力があったのだ。28分の原、40分の藤本、45分のヴァウドとボール保持の時間は少なくても、札幌よりも確実に多くシュートを打つことができていた。これは清水の選手たちの質的優位なのかもしれないが、ここは札幌にも見習ってほしいものである。しかしそんな清水も札幌ゴールを割ることはできず、前半は1‐1で試合を折り返した。

後半

深井一希復活の狼煙

後半開始早々試合が動く。48分、札幌がCKを獲得。キッカーはもちろん福森。福森の蹴ったボールはピンポイントで深井の元まで飛んでいき、それに合わせた深井が頭で合わせヘディング。ボールはゴールに吸い込まれ、もはやいつ以来かも分からない逆転ゴールが決まり、札幌が清水を追い越した。

怪我でベンチ外が続き、14試合ぶりとなったこの試合で見事な逆転ゴールを決め復活の狼煙を上げた深井一希は、やはり我々の待っていた不屈の男であると実感させられる。効果的なプレーでチームを活性化させるだけでなく、このタイミングでのこのゴール。ルヴァン決勝の時といいやはりこの男、チームを救う"何か"を持っているに違いない。

双方早期交代

この得点後両チーム、互いにメンバー交代に打って出る。57分、清水は井林、中村、藤本を下げ、鈴木唯人、中山、鈴木義宣を投入する三枚替え。攻撃に武器を持つ鈴木唯人と中山、DFリーダーである鈴木義宣を投入し修正にかかる。対する札幌は荒野と深井に代わり岡村と青木が入る。深井はいくら好プレーを見せていても、さすが怪我明けの選手には負荷をかけられないのでここで交代。大八はプレータイムを与えるための起用という側面もあり、いつもより早い投入となった。

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清水はさらに67分に西澤に代えて滝を投入。双方ともに思い切った交代策に出たが、これが果たして吉と出るのか凶と出るのか。

清水に2失点目を奪われた理由

結果的に言えば、清水にとっては吉で札幌にとっては凶だった。ちなみにあの後清水はホナウド、札幌は柳を投入している。さて、結局札幌はいつも通り後半終盤に同点に追いつかれてしまう。83分、清水にボールを繋がれディフェンシブサードまで侵入を許し、原のクロスを収めた途中出場の滝に決められ同点弾を許してしまった。

そんな失点シーンに関して、TwitterのTLで「大八がちゃんとマークをしていれば~」というツイートを何件か見かけたが、個人的にはこの失点は大八だけの責任ではないと思う。

まず第一に簡単に繋がれてボールを運ばれてしまっていること。これが最初の問題だ。清水のパスワークに対してほとんどプレスがかかっておらず、ノープレッシャーの状態でボールを運ばれている。前半であればマンツーマンプレスで潰せていただろう。もし運動量が残っていれば、簡単にパスを回されることもなかったはずだ。前半から運動量を調整していれば、このような失点は生まれなかったかもしれない。我らの深井一希も試合後インタビューでこう答えている。

得点できる場面はもっとあったし、失点を防げる場面もあった。もっとこだわってやっていかなければいけない。チームとして勝っているとき、負けているときの試合運びももっと考えなければいけない。自分たちは攻撃的なスタイルなので、攻撃しているときのリスク管理をもっと考えて勝点につなげていかなければいけない。

引用元:J.LEAGUE.jp

そして第二にマークがずれていたこと。パスを回される中で、本来サンタナのマーカーである高嶺がズレ、マークを引き継いだ田中がボールホルダーにプレスをかけサンタナがフリー。フリーになったサンタナに大八が引っ張られ、大八本来のマーカーである滝がフリーと、マークがズレにズレて滝がフリーになってしまった。これで危険度の低いサイドを捨てて柳が滝のマークについてくれればなんとかなったかもしれないが、何故か柳だけは引っ張られなかったのでこれも叶わず。マークのズレからフリーの選手が生まれ、同点弾を許す形となった。味方同士で役割やマーク、戦い方を共有出来ていれば、これも事前に防げいたかもしれない。これに関しても、試合後インタビューで金子がこう答えている。

残り時間が少なくなって2-1のスコアで勝っている中で選手交代をしてからは、どういうフォーメーションで、誰が誰にマークをつくのかがうまく伝わってなくて、そこでフリーの選手にやられてしまったことは反省しなければいけない。

引用元:J.LEAGUE.jp

この失点は確かに大八の責任もあるが、それ以上チームとしての責任の方が大きいように思える。だからそこまで大八を責めないであげてほしい。

さて、試合はこの後ヴァウドが交代で入ったミランを倒して1発退場するハプニングはあったものの、これ以上試合が動くことはなくゲームセット。お互いに勝ち点1を分け合う結果となり、リーグ戦&エリートリーグの2連戦の1試合目は引き分けという形で幕を閉じた。

まとめ

この試合の中にも良かったシーンはたくさんあったが、それでも肝心の問題は一向に改善されぬままだ。

だが、先制されても追いつき、セットプレーから逆転するというのは久々に見る景色。引き分けではあったが、先制されても追いつく、逆転できるという意味では、負けない試合は出来ていたように思える。

期待されていた西野奨太を筆頭した試合に出れてない若手選手の起用が見れなかったのは残念だが、それはエリートリーグや残り試合の楽しみとして取っておこう。

選手を育て、問題を改善することは来季に向けて重要な課題となる。少しずつでも今季残り試合の間にその課題に取り組むことが出来れば、来季は上を狙えるようになるはず。残り試合、チームが少しでも良い方向が向けるよう、より強く気持ちを込めて応援したいと思う。

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