記憶vo.1

私が生まれ育ったのは、東京のハチ公がいる街。大学や就職先で聞かれ、そう答えると9割方、あんなところに人が住む家あるの?と言われます。

正確にはハチ公のいる駅ではないし、意外にも商店街がいくつもあって、マンションだらけだけど温かい街。変な人は沢山いるけど。

今日は私の記憶に確かに刻まれている商店街のことを書きたいと思う。私が育った街に商店街は3つあった。その内の一番大きな商店街のことを書く。もう25年以上前の記憶だから、違ってることもあるだろうけど、そこはご愛嬌。

その商店街は活気に満ちていたように思う。大通りから入ってまずは左に宝石店。母に連れられ買いもしないのによく行っていた記憶。お母さん、ダイヤが欲しかったのかなぁ。

少し行くと右手にパン屋。換気扇の具合なのか、今現在私が感じるパン屋の匂いではない、でも嫌じゃない匂いがプワーンと漂う。トングは持ち手がクリアなオレンジで、ショッパーはクリームがかった黄色。パンが並ぶ棚は上下2段で、壁に沿ってコの字。祖母と一緒に行くときは、よくシベリア(カステラ生地に固いあんこを挟んだもの)を買ったような気がする。夕方には棚がガラガラになっていたと記憶するので、なかなか繁盛していたと思われる。

そのパン屋は私が小学校低学年のうちには無くなってしまった気がする。昭和感漂う店は時代に合わなくなったのだ、と冷静に思った記憶が残る。

つづく


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