プロの推理作家が教える小説の書き方『ぼくのミステリ作法』赤川次郎
あーりーです。
YouTubeの漫画動画のシナリオを書いています。
シナリオの仕事をさせていただいている関係で、むかし読んだ物語の作り方の本を、本棚から引っ張り出して読み返すことがあります。
その一つが、赤川次郎さんの『ぼくのミステリ作法』です。
プロの推理作家が手の内を明かすエッセイ
赤川次郎さんと言えば、日本を代表するミステリー作家、推理小説家ですよね。
その赤川次郎さんが、ミステリー小説をどう書いているのか、その手の内を明かしているのが本書です。
ミステリー作家を目指す方はもちろん、そうではない方にも楽しめる本です。ぼくは特にミステリー作家を目指してはいませんが、一流作家の小説の書き方が知れて、とても面白かったです。
前半はミステリーの書き方編、後半は実践編
この本は2部構成になっています。
前半は…
ミステリーの書き方のポイントが書かれています。エッセイ風の短いチャプターがつづくので、とても読みやすいです。
後半は…
これまでの内容を踏まえて、実際に赤川次郎さんが短編のミステリー小説を書いています。
常に勉強している
本書を読んで、赤川次郎さんは常に勉強されているんだな~と感じました。一流の作家さんなので、当たり前と言えば当たり前なんですが…。
例えば、ネタ帳には「プロット」や「トリック」のメモに加えて、「作品タイトル」の候補もたくさんストックしてあるそうです。
そして、何よりもたくさん本を読んでいます。
古今東西のミステリー小説はほぼ読破していて、作家の傾向やジャンルがすべて頭に入っています。
さすがですよね。
作家になる方法
「作家になるのに、決まった手順があるとも思えませんが」と前置きした上で、赤川次郎さんはこう書いています。
たくさんの作品に触れる
ぼくはミステリー作家を目指しているわけではありません。ささやかに、ささやかに、YouTubeの漫画動画のシナリオを書いています。
赤川次郎さんの書いていることをそのまま自分にあてはめて考えるのは、おこがましいとは言わないまでも、世界が違うとわきまえています。
が…
それでも、「たくさんの作品に触れるのが大事」とのメッセージは、自分の立場(YouTube漫画動画のシナリオを書いている人)にあてはめて、身を引き締めたくなります。
インプット、大事ですよね。
赤川次郎さんも、
と書いています。
「漫画動画をもっと見よう!」と改めて思いました。
もちろん、本ももっと読まなきゃいけませんね。
ストーリーの作り方
本書では、小説の書き方、トリックの考え方、タイトルの付け方など、いろいろな角度からミステリー小説の手の内を明かしています。
その中で、特に面白いと思ったのが…
ストーリーの「きっかけ」探しの方法です。
ストーリーそのものの作り方というよりも、そのもっと前。話の発端になるアイデアの見つけ方です。
発端となるアイデアが見つかれば、あとはそれに肉付けしてストーリーを作っていきます。でも、まずは核となるアイデアがないと始まらない。
そんな時、核となるアイデアをどう見つけるか、です。
映画の広告からヒントを得る
赤川次郎さんは、映画の広告から、話の発端になるアイデアを見つけることがあるそうです。
映画そのものからヒントを得るのではなく、映画の広告からヒントを得る…
つまり、映画の「宣伝文句」や「ポスター」から話を想像して、アイデアの核を作るそうです。だから、映画そのものは見なくてもOKとのこと。
いわく、
それを利用して、映画の「宣伝文句」や「ポスター」から、自分なりのアイデアをひらめいてしまうそうです。これは、やってみると面白そうですね。
後半は実践編
本書の後半は、実践編です。
前半で書かれたミステリ―小説の書き方をふまえて、実際に作品にするとどうなるか、赤川次郎さんがお手本を示してくれています。
お手本は4本の短編ミステリー
お手本として載っているのは、以下の4本の短編です。
『ちょっとした密室』
『主婦に向かない副業』
『作家の裏口』
『密室の毒殺者』
どれも気になるタイトルばかりですよね。
ちなみに…
赤川次郎さんは、タイトルの付け方についても、本書でその秘密を語ってくれています。
作品タイトルの付け方
赤川次郎さんの作品は…
『幽霊列車』、『三毛猫ホームズの冒険』、『上役のいない月曜日』、『悪妻に捧げるレクイエム』など、タイトルからしてちょっと気になるもの、読んでみたくなるものが多いです。
有名小説や往年の名作映画のタイトルをもじって作品名にすることがあって、これからは名曲をもとにしたタイトルも使ってみたい、と書かれていました。
「解決」が先か「トリック」が先か
この本の魅力は、書いても書いてもきりがありません。
他にも気になる話がたくさん載っています。
例えば…
「解決」を先に考えるか「トリック」を先に考えるか。
手掛かりをいかにして目立たないように、かつ読者の記憶にとどまるように書き入れるか。
長編は人間関係の描写にページを費やせるのが魅力なので、軸になるプロットはできるだけ単純にする。
などなど。
いろんな話が載っています。
一流作家が創作の秘密を明かす
なにより…
一流の売れっ子ミステリー作家が、惜しげもなく手の内を明かしてくれているのがレアです。
そしてこのエッセイは、赤川次郎さんの小説と同じでとても読みやすいので、すらすらとあっという間に読めてしまいます。
それでいて内容が濃いので、また読み返したくなる。
実際ぼくも、定期的に本棚から引っ張り出して読み返しています。
やっぱり人様の創作の秘密を知るのは、面白いですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また~!
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