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なつかし劇場/コーラモエスタ赤坂

時代が進んでまいりますと、映像テクノロジーも進んでまいります。
ビデオデッキが普及し始めた80年代。

どうしてもビデオデッキを購入して録画したい映画がありました。

サヨナラ、サヨナラ、サヨナラでお馴染みの淀川長治先生が最高傑作と押す。

「2001年宇宙の旅」

日曜洋画劇場20周年記念の目玉作品でもあり、1年前から放送予告がありました。

小生は一念発起。

高校の夏休みいっぱい、8時間拘束で、バイトを開始。

某電機メーカーの外回り修理助手としてサービスカーの助手席に乗り都心を回ります。

飲食店の厨房にある、業務用の製氷機の修理が中心でした。

夏と言うこともあり、飲食店での修理が終わると8割以上のお店でアイスコーヒーやコーラなど冷たい飲み物を出してくれます。

嬉しい心づかいなのですが、連続するとお腹がガバガバ状態になってまいります。

赤坂のバーで修理完了。
妖艶なマダムに作って頂いたアイスコーヒーを、修理サービスマンの林さんと一緒に頂戴しお店を出ると、


「裸族。今のバーのマダム、俺に気があるなぁ。俺の方がアイスコーヒーの量、多かっただろ」

「林さん。もう僕、お腹ガバガバですよ」

「でも、ああいう心づかいを断る訳にはいかないんだよな〜」


次の現場はホテルニューオータニ
言わずと知れた超一流ホテルです。

巨大レストランの厨房で修理作業完了。

若手の料理人さんが、グラスにコーラを注ぎ、出してくれます。

お腹ガバガバ状態は少し改善していましたが、この一杯が限界の小生。

厨房の片隅で、決壊しそうなお腹に何とかコーラを流し込み、まさに飲み干す寸前、

「誰だ!修理の方に飲み物を出したのは!」

トーテムポール級に高さのあるコック帽をかぶった、こわもての料理長が、我々が頂いているコーラを見てご立腹です。

「この厨房に入った方は、お客様だ!」

周りにいた料理人の皆さんは直立不動。

まさか、、、と思いましたが、そのまさかが的中。

料理長自ら、大ぶりのグラスに氷を砕いて入れ、コーラを注ぎます。

最後にレモンをスライス。

「みんな集まれ!お客様にはこうしてお飲み物をお出しするんだ」

コップのフチにレモンを添え、銀のお盆にグラスとストロー載せて、うやうやしく差し出してまいります。

「わ、わざわざお気遣い、ありがとうございます!」

深々と頭を下げる林さんと小生。

直立不動で、十数人の料理人達が見守る中。

ストローで必死にコーラを吸い上げる、林さんと小生でございました。


P.S.

結局。
映画の放送までにあと一歩でビデオデッキ購入が間に合わず。
仕方なくラジカセで映画を録音。
今でもクヤシイ思い出です。






最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)
鳥裸族  




なつかし劇場集|torirazoku|note(ノート)

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