鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いつ…

鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いついた話から書きます。楽しんでいただければ幸いです。

マガジン

  • 短編小説まとめ

    自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました

  • 長めの小説まとめ

    自作小説1万字~10万字程度の話のまとめです。世界線が同じものもあれば違うものもあります。

  • 三人組シリーズ他まとめ

    くだらなくて騒がしいが、仲良しな三人組の話のまとめ。または同じ世界線にある話のまとめ。ひとつひとつ独立しているので全部に目を通さなくても読めます。

  • 不完全なワンダーランド他まとめ

    不完全なワンダーランドと同じ世界線の話をまとめたものです。妖怪など人外がでてくる現代ファンタジー、または和風ファンタジー。

最近の記事

  • 固定された記事

三人組シリーズ 時系列と関係性

今回は小説ではなく、ちまちま書いている三人組シリーズの登場人物および時系列についてのまとめです。 本当は順序よく出したかったのですが、如何せん私が思いついた話から無計画に書いていくので、時系列がぐちゃぐちゃ、おまけに投稿頻度もまちまちと、実に不親切な状態となってしまったのでここで一度整理しておきたいと思います。また新たな話の度に追加・変更する予定です。 *()の年齢は一番初めに出した「夏、いつもの始まりを」を基準にしています。 登場人物 メインの三人組火上光太(高1):小麦

    • 【短編小説】秋をすくう

      今年の秋は今年だけ。来年は違う秋になる。 今年の秋を食べる女の話。  部屋中に金木犀の甘い香りが満ちている。  庭からとってきた両手いっぱいの星たちをひとつひとつ丁寧に洗った。ごみをとって、花柄をとって、花の間に小さなお客さまがいないことを確認して鍋に落とす。砂糖でできた氷のかけらを白ワインでじっくり煮こんだ、淡黄色の湖に無数の星たちが散った。  約二分ほど熱をいれたら火を止める。瓶に詰め、粗熱がとれたら完成だ。西日を透かしたような、優しい黄色に橙の花がふわりと浮いている。

      • 【短編小説】徒花流し

        どれも実になることなく沈むだけ。 灯篭流しと失恋の話  闇に無数の光が流れていく。人々の祈りを乗せて夜の向こうに消えていく。  私はその列に己のものをそっと加えた。何の柄も入っていないシンプルなものを。それは水の流れに従って光の列に加わっていった。  数多の光たちは遠目から見れば同じ光の粒だが、こうして間近で眺めてみると案外個性にあふれていた。文字を刷ったのもあれば、色のついたもの、花や食べ物をあしらったもの。多様な灯篭たちが寄り集まって、緩やかに蛇行する川を浮かび上がらせ

        • 【小説】きつねのながれ星

          星降る夜になく獣。 流れ星から生まれたきつねと三日暮らした少年の話。  星落池に落ちた流れ星はきつねになる。そんな他では聞いたこともない伝説が今もなお残っているのが、山あいにある小さな村、稲尾村だ。秋には稲がそれこそ金色の尾のように風になびき、傾斜のきつい坂を上っていく人間たちに手を振っている。 「涼介、今夜こっそり星落池いくべ」  りゅーせー群が見られるんだってよ。囁いたのは数少ない同級生の克重だ。  本人は古臭い名前だと疎んでいるが、涼介からすればなよなよとした自分

        • 固定された記事

        三人組シリーズ 時系列と関係性

        マガジン

        • 短編小説まとめ
          50本
        • 長めの小説まとめ
          43本
        • 三人組シリーズ他まとめ
          25本
        • 不完全なワンダーランド他まとめ
          12本

        記事

          【お知らせ】今週は実習で忙しかったため、投稿はお休みします。休む頻度が多くて申し訳ありません。 来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【お知らせ】今週は実習で忙しかったため、投稿はお休みします。休む頻度が多くて申し訳ありません。 来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【小説】あるカラスのひとりごと

          以前書いた「のけものけもの」に出てくるカラス、ヤタの過去とでこぼこ親子の話。 上記の話の番外編です。本編は長いのでお時間がある時にお読みください。  下で明るい声がはじけた。ちらと視線を下げると赤い箱を背負った子どもたちが駆けていく。  そういえばあの子も何年か前まではあの箱を背負ってガッコウに通っていたのだった。出会った当初は骨と皮だけの瘦せっぽちで、つつけば骨の一本や二本簡単に折れてしまいそうなおチビさんだったというのに、いつの間にか巣立っているのだからまったく人間の

          【小説】あるカラスのひとりごと

          【お知らせ】実習で時間がとれなかったため、今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【お知らせ】実習で時間がとれなかったため、今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【短編小説】厄介な隣虫

          その虫は最も近しい隣人である。 医者の源斎が患者に頼まれて体の中で暴れ回る「虫」をとる話。  日本橋本町。薬屋が軒を連ねるその通りの一本先の通りだったか、はたまた今川橋を渡った先だったか、どこだかは詳しく伝えられていないが、江戸の喧騒から距離をとるようにひっそりと佇む一軒の屋敷があった。  家の前には一本の柳が立っているが、風に揺られるその姿は昼間ですら陰鬱な影を落とし、近所の長屋に住む子どもたちから幽霊屋敷と恐れられているほどだ。  さて幽霊屋敷と呼ばれているものの、その

          【短編小説】厄介な隣虫

          【短編小説】潮風香る万華鏡

          きらめく水面が映し出すのはどんな心か。 三人組シリーズに出てくる炎野白海が心見とわと一緒に水族館もどきに寄り道しつつ海に行く話。 上記の「夏、いつもと違う始まりを」と関連してますが、読まなくても読めます。  少女の明るい声が廊下まで響いている。聞き覚えのありすぎる声に白海は顔をしかめた。 「ああ、今年もやってきたね。夏の風物詩」  隣の親友、とわがくすりと笑った。 「風物詩なんてそんないいもんじゃないだろあれ。別にアイツら夏じゃなくても海いくし」 「でも夏は必ず行く

          【短編小説】潮風香る万華鏡

          【小説】ある伯母の告解

          以前書いた「のけものけもの」に出てくる雪華の伯母、藤子視点からみる、姪と「母親」について。 上記の話の番外編です。本編は長いのでお時間のある時にお読みください。  私には妹がいた。いつも私にくっついて回る子だった。私が絵を描けば妹も色鉛筆を取り出し、私が本を読めば絵本を引っ張りだした。  愛情深くて優しい子だった。おままごとで人形に向けていた眼差しはまさに母と呼べるもので。彼女はきっといい母親になる。幼心にそんなことを思ったのを覚えている。  彼女が本当の母になった日、彼

          【小説】ある伯母の告解

          【お知らせ】しばらく投稿頻度がいつもより高かったので、今日の投稿はお休みします。 来週以降は元に戻ります。よろしくお願いします。

          【お知らせ】しばらく投稿頻度がいつもより高かったので、今日の投稿はお休みします。 来週以降は元に戻ります。よろしくお願いします。

          【小説】ブレイン・ペット 最終話

          前回の話はこちら 第1話はこちら  男は退職を決めた。辞めてもさして業務に支障が出るようなポジションにではなかったし、引き留めてくれるような相手もいなかったので、突然の申し出でも辞表はあっさりと受理された。  隣の加藤は「え、辞めんの~? ま、薄々そんな気はしていたけどさ」と肩をすくめただけだった。別れを惜しむ素振りは一切ない。恐らく一番付き合いが長かったであろう加藤ですらこれなのだ。他は推して知るべしである。  だが男には唯一心残りがあった。 「佐藤さん」  出社最後の

          【小説】ブレイン・ペット 最終話

          【小説】ブレイン・ペット 第6話

          前回の話はこちら 第1話はこちら  うだるような熱気が和らぎ、肌を撫でる風からはどこか秋の匂いがする。あれほどけたたましく鳴いていた蝉も嘘のようにぱたりと止んで、今はただ寂しく葉擦れの音がするだけだ。抜け殻は街路樹やコンクリートの壁にひっそりととまっているのに、その骸はどこにも見当たらない。たしかに彼らが生まれた証拠はあるのに、彼らが死んだ証拠が見つからないのは妙に胸をしめつけられる。指が無意識のうちに平らかになった腕をなぞった。  ブレインと決別してからの数日間、腕はか

          【小説】ブレイン・ペット 第6話

          【小説】ブレイン・ペット 第5話

          前回の話はこちら 第1話はこちら  動画の内容はある寄生虫の生態についてだった。  その侵略者の名をロイコクロリディウムという。鳥に寄生する生き物なのだが、子孫を増やすためカタツムリを「足」にするのだ。本来物陰に隠れているカタツムリを日向に誘導するだけでなく、触角を膨れ上がらせたロイコクロリディウムの袋は特徴的な縞模様とその蠢く姿から鳥の大好物である芋虫と誤解させるのだ。それにまんまと引っかかった鳥はカタツムリの命ごと虫を腹に収める。そして鳥の中で新たな命を紡がれていく。

          【小説】ブレイン・ペット 第5話

          【小説】ブレイン・ペット 第4話

          前回の話はこちら 第1話はこちら 「それで何ですか話って」  佐藤は男を部署の外まで手招いた。  もしやついに腕の正体を知ってしまったのだろうか。  無意識のうちに喉が鳴る。絆創膏が貼られた箇所を隠すように握りしめた。  しかし彼女が切り出した言葉は男が覚悟したものとまったく異なるものだった。 「この書類についてなのですが、不備がありまして、訂正お願いできますか」  差し出されたのは一枚の紙。なんてことはないただの記入漏れだ。男からどっと力が抜けた。目の前に佐藤がいなけれ

          【小説】ブレイン・ペット 第4話

          【小説】ブレイン・ペット 第3話

          前回の話はこちら。 第1話はこちら  今日もいちゃもんをつけられて嫌味を言われるだろうと身構えていたのに、課長は一度こちらに目を向けただけで、何も言わずに手元の書類に視線を落とした。  だが僅かな交錯の間にその目が揺らいだのを男は見逃さなかった。  勝負に勝ったような達成感が湧き上がる。しかしその感情も己のデスクまでたどり着けば消えてしまった。  課長に突っかかられなかったからといって何になるというのだ。一度言い返しただけで男の生活が劇的に変わるはずもない。彩度の低い日々

          【小説】ブレイン・ペット 第3話