鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いつ…

鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いついた話から書きます。楽しんでいただければ幸いです。

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  • 長めの小説まとめ

    自作小説1万字~10万字程度の話のまとめです。世界線が同じものもあれば違うものもあります。

  • 短編小説まとめ

    自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました

  • 三人組シリーズ他まとめ

    くだらなくて騒がしいが、仲良しな三人組の話のまとめ。または同じ世界線にある話のまとめ。ひとつひとつ独立しているので全部に目を通さなくても読めます。

  • 不完全なワンダーランド他まとめ

    不完全なワンダーランドと同じ世界線の話をまとめたものです。妖怪など人外がでてくる現代ファンタジー、または和風ファンタジー。

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三人組シリーズ 時系列と関係性

今回は小説ではなく、ちまちま書いている三人組シリーズの登場人物および時系列についてのまとめです。 本当は順序よく出したかったのですが、如何せん私が思いついた話から無計画に書いていくので、時系列がぐちゃぐちゃ、おまけに投稿頻度もまちまちと、実に不親切な状態となってしまったのでここで一度整理しておきたいと思います。また新たな話の度に追加・変更する予定です。 *()の年齢は一番初めに出した「夏、いつもの始まりを」を基準にしています。 登場人物 メインの三人組火上光太(高1):小麦

    • 【小説】のけものけもの(7)

      雪華は、身を隠してしまった椎菜の後を追うも、寸でのところでその手は届かなかった。果たして二人は親子に戻ることができるのか。 上記の話から続く親に捨てられた少女雪華と鎌鼬の椎菜のでこぼこ親子話。 これで終わります。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。 「やっぱり何のつながりもない赤の他人の子どもを育てるなんて無理なのよ。悪いことに利用される前に離れてくれてよかったじゃない」  藤子は妹の件もあるせいか、はじめから椎菜のことを良く思っていなかったらしい。  放

      • のけものけもの(6)

        高校生になった雪華は騒がしくも明るい青春を謳歌していた。そんな折り、とある人物と出会うことで日常は一変する。一方で椎菜にも影がひしひしと迫ってきていて―― 上記の話から続く親に捨てられた少女雪華と鎌鼬の椎菜のでこぼこ親子話。次で終わります。 「椎菜、ちょっとわたしのリボンどこにやったか知らない?」 「知らないよ。大方玄関あたりにでも放り出したんじゃないのかい?」 「ないから言ってんじゃん!」 「じゃ、知らないね。恨むなら昨日の自分を恨みな」 「もう時間ないって言ってんのに

        • のけものけもの(5)

          猿じいやヤタに背を押され、椎菜の過去に知ろうと思い立った雪華。果たして雪華は椎菜の過去に触れ、彼女と本当に家族になることはできるのか。 上記の話から続く親に捨てられた少女雪華と鎌鼬の椎菜のでこぼこ親子話 「まったくあれだけ脅かしたのにまた懲りずに来たのかい? 君って本当に物好きだねえ」  ミケが呆れたため息を落とした。  店内には二人の他に誰もいないというのに、雪華は壁に体を押しつけて、さらに身を縮こませた。その手には今日もココアが座っている。  ヤタに背を押してもらっ

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        三人組シリーズ 時系列と関係性

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        • 長めの小説まとめ
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          47本
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        • 不完全なワンダーランド他まとめ
          12本

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          【小説】のけものけもの(4)

          家族になってから初めての授業参観。しかし雪華はそれを椎菜に渡せずにいて―― 上記の話から続く親に捨てられた少女雪華と鎌鼬の椎菜のでこぼこ親子話  土曜日、尾曾山に呼ばれた。  あそこに住まう天狗も雪華のことを気にかけてくれていて、週末はよく呼んでくれる。  年の功ゆえか、老天狗は雪華が四苦八苦するプリントをいとも簡単に解く。そして少なくとも担任よりは教え方が上手かった。  邪魔はせいぜい権治郎くらい。涼風が気まぐれに頬を撫でるあの時間を雪華は密かに気に入っていた。  いき

          【小説】のけものけもの(4)

          【小説】のけものけもの(3)

          二人暮らしを始めるため、数駅離れたミケを訪ねにいった椎菜と雪華。ようやく始まった二人暮らしだが、雪華の顔は浮かなくて―― 上記の話から続く少女と鎌鼬のでこぼこ親子話。  電車内の人はまばらだった。雪華は背の高い椎菜の影に隠れるように扉付近のスタンションポールを掴もうとしたが、椎菜は有無を言わさず、一番端の座席に座らせた。そしてその横にどっかりと腰を下ろした。手触りのよいシートとほのかな温もりが雪華を包む。  やせすぎの少女といかにも素行の悪そうな女の二人組はさぞ目立ったこ

          【小説】のけものけもの(3)

          【小説】のけものけもの(2)

          ひとまず鎌鼬の椎菜が雪華を保護するということで話が落ち着き、人間に詳しい天狗を訪ねに一行は隣の山、尾曾山を目指す。そこで出会ったものとは? 上記の話から続く少女と鎌鼬のでこぼこ親子話。  車内には延々と喋り続けるヤタの声と言葉少なに相づちを打つ椎菜の落ち着いた声、乾いた海苔の音で満ちていた。工場で生産された握り飯の味は大昔に母が握ってくれたおにぎりよりも温かみはなかったが、計算しつくされた美味さは空きっ腹にはよく沁みた。塩気のある鮭と甘い米を咀嚼しながら、雪華は二匹の会話

          【小説】のけものけもの(2)

          【小説】のけものけもの(1)

          社会からはじきだされた獣が二匹。 唯一の肉親に見捨てられた少女とひょんなことから少女を拾った孤独な鎌鼬が衝突しつつも寄り添いあっていく話。 6話程度で終わる予定です。 「反省するまでそこにいな! このクソガキ!」  鈍い衝撃が走り、一拍遅れて頬がじんじんと痛みを訴える。少女は呆然と母親を見上げた。傷んだパーマを振り乱し、彼女は鬼のような形相で吐き捨てると、荒っぽくドアを閉めた。 「ご、ごめんなさい。もうわがまま言わないから。まって、まってよおかあさん」  車は無言で発

          【小説】のけものけもの(1)

          【お知らせ】多忙だったので今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【お知らせ】多忙だったので今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【短編小説】石の心臓

          ああ、やっと見つけました。探しましたよ。 謎の石と不吉なナニカを書き綴ったとあるノートの話。  女は必死の形相で文字を書き連ねていた。真っ暗な部屋の中、机についた一本の蛍光灯の青白い光だけを頼りに紙にペンを走らせる。  きっとこれを書き記すのは褒められたことではない。それどころか何の関係もない多くの人を巻きこんでしまうかもしれない。だが女にはもはやこの方法しか残っていないのだ。  ノートに書き連ねた文字はところどころに消し跡が残っており、線が震えてしまっている字もある。お世

          【短編小説】石の心臓

          【短編小説】涙空トーストのはじまり

          いつか骸も花のための養分となる。 どうしても小春ちゃんに救いある展開を与えたくて…。上記の話と関連しています。「桜の樹の下には初恋が埋まっている」は読んだほうがわかりやすいかもしれません。  小春がその店を訪れたのは偶然だった。  あの忌々しい花も散り、ようやく青々とした若葉が腕を広げたころ。ふいに目に飛びこんできたのは街中にひっそりと佇む一軒のカフェだった。  汚れ一つない白い壁に温かみのある木の扉。扉の傍らにメニューの書かれた看板が置かれていなかったら、住宅の一つとし

          【短編小説】涙空トーストのはじまり

          長編紹介 陰影の照明 氷雪の竜

          今回はNolaノベルのほうで連載している長編小説の紹介です。リンクはこちら。 まだ二章分(クエスト)しか公開してはいませんが、全十章、随時更新していく予定です。ジャンルはファンタジー。魔物も魔法も出てきます! あらすじ「約束しているんだ。必ずあの竜の存在を証明してみせると」 動きやすい麻の服、丈夫な厚手のマント、革の長靴。腰のベルトには剣ひとふりと金入れ袋、小さな道具袋をいくつか、あとは衣服の替えなどを入れる大きな背負い袋。そして忘れちゃいけないのが一冊の本。 学者のニッ

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          【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

          埋めても埋めてもまた芽吹く。 初恋を桜の下に埋めた少女の話。  桜が嫌いだ。いかにも春代表の顔をして、自信満々に咲き誇るあの花が嫌いだ。  頭上の梢は、堅い鱗のような皮がほころんで、淡いピンクの裾がちらりと覗いていた。日が落ちれば、空気はまだ冬の残り香を漂わせるというのに、だ。  ああ、今年もやってきてしまった。最も忌まわしいこの季節が。  少女は憎悪のこもった目で月明かりに照らされた小枝の先を睨みつけた。天に向かって無邪気に手を伸ばす様がいっそう憎たらしい。やがて蕾はほこ

          【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

          【短編小説】春、小樽、一人旅

          卒業おめでとう。 いつもは二人で行く小樽旅行を一人で行く「私」の話。  澄み渡るような青空の下、彼女は今までで一番きれいな姿で笑っていた。淡い黄色着物に萩色の袴、髪には太陽のような牡丹が揺れている。  私は薄っぺらい長方形の画面についた丸を押した。カシャと軽い音がして、彼女の姿は手元の端末に永久に焼き付けられた。あまりに手軽で、この光景の重みも薄れてしまうような、あっけない終わり方だった。  実家へ向かう特急列車に乗りこむ彼女を見送って、彼女の姿が見えなくなって、私は。私は

          【短編小説】春、小樽、一人旅

          【小説】花より団子、月より兎 お花見

          上記の話の続きです。これで終わります。 最後は兎たちとお花見。  カーテンを勢いよく開けて、佳奈子は伸びをした。天気は晴天、風が運んでくるのは春の陽気。絶好のお花見日和だ。  佳奈子は袖をまくり上げた。 「あの、佳奈子さん、僕らは一体何を手伝えばいいんでしょうか」  おずおずと佳奈子の裾を掴んだのは大きな黒兎、あんこだ。 「じゃ、まずその手袋つけて」  この日のためにビニール袋で彼ら用の手袋を作っておいたのだ。これで彼らの毛が混入することはない。 「え、今回は何す

          【小説】花より団子、月より兎 お花見

          【小説】花より団子、月より兎 たけのこご飯

          上記の話の続きです。 今回は二匹の兎とたけのこご飯。  それから数日経ったある日。ポストの中に一枚の紙が入っていた。  普通の厚紙かと思ったが、よくよく見てみるとラメのような粉状の箔が散らしてある。それは闇の中、僅かな光に反射し、きらきらと輝いていた。まるで天の川のように。  そしてその紙には一言、 『今週の土曜、佳奈子さんのご都合がよろしければ、18時頃伺ってもよろしいでしょうか』 と書かれていた。 「いやよろしいでしょうかって、どうやって返信しろっていうのよ」

          【小説】花より団子、月より兎 たけのこご飯