【小説】握り潰された花の名は(4)
結局、何もできずにアニタを送り出すことしかできなかったセーバ。失意に沈む中、新たな生き神のお披露目がひらかれる。セーバは降臨した神に何をみるのか。
上記から続く生き神の器の少女と若き僧の、どうしようもない運命に翻弄される話。これで完結します。
儀式は恙なく終わったと聞いた。
喜びにわく人々の声は、セーバにとっては呪いだ。浮かれた喧騒や街に飾りつけられた花々が、己の体に重い鉛を注ぐ。
あの子が勇気を出して伸ばした手を、とってやれなかった。見殺しにした。事情を知っている