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青春バンド小説

ここ2週間で2冊の小説を読んだ。どちらも読み始めてから1日ちょっとで読了(嫌いだわ~)し、次のを読もうと思ってamazonマーケットプレイスで注文して嘘のお届け日を言われてそれを待つインターバルを入れての2週間。なので実質2日ぐらいで読んでいる。読んだ2冊は『どがでもバンドやらいでか』と『青春ぱんだバンド』、もちろんバンドを題材にした作品。

「文章、読むの遅いねんなぁ」と色んな人に言われたことがある俺は国語の問題のみならず本を読むのも遅い。遅読君。そんな俺でもこの2冊や、これ以外のバンド小説は特に読むのが速い。理由としては大衆小説だから難解な言葉が使われてなくてすらすらいける、言葉から意味を推測して描写を情景する時間がないということがある。その他に、青春バンド小説が好きだからスピードが上がっているというのもある。ではなぜ好きなのか。

バンド×青春というと大概主人公は高3の文化祭かそれに準ずるステージで演奏することをもくろんでいる。『階段途中のビッグノイズ』も『ぎぶそん』もそうだったと思う。高3の文化祭ということは大体初夏~夏休みに練習するスケジュールであり、つまりその期間に練習と併せて恋愛やバンドメンバーなどとの人間模様が生まれ、季節の情景描写と絡められる。そして俺は夏が好きなので、夏に青春が展開されて、その描写に時間を割いてくれてるからこのジャンルを好きになれるんだなと気づいた。これが運動部だったら夏前に終わってしまうので、がんばるシーンは前年の冬とかになる。そんなん絶対俺は好きじゃない。夏の風景、夏の言葉が好きなので。バンドに季節性なんてないと思っていたが、こと高3、青春小説となると必然的に限定される。因果なもんやね。文化祭準備してる時期に背負う弦楽器は発汗を加速させるからさ。

『どがでもバンドやらいでか』はこういうバンドものには珍しく主人公が一番音楽に熱意があってその熱意でメンバーを集めいったり、舞台が鳥取の田舎だったり、演奏するのがカシオペアっていう渋い選択なのがよかった。複合的に好きな小説。ライバルとなるようなバンドもカシオペアを演奏する設定だったのはやばい。この小説は主人公の語り口でストーリーが進んでいくのですが、夏の表現はわりとキラキラしていた印象。海にいくシーンもあるから。

『青春ぱんだバンド』は舞台が滋賀の田舎、高校が立地は虎姫高校、偏差値は彦根東高校をモデルにしていて田舎感と偏差値感がほんっとうにジャストで心地よかった。田舎の進学校あるあるをわりと忠実に表現していて、そこからはみ出したい欲とか学校外に居場所を見出す感じとか、進学校の生徒であれば経験したことのある気持ちの揺れ動きが見事だった。こちらは内陸ということもあり夏の表現はどちらかというとじめじめとしていて、琵琶湖の風景と干拓地の緑のにおいが風に乗ってかおってくる感覚のある文章。

そしてどちらも、悲しい事件が少ないのがいい。レビューサイトを観るとそれに平坦な印象を受けている読書好きも多いが、俺は平坦で結構。悲しい物語なんていらない。映画とかでも、悲しいシーンは飛ばして見てしまう。悲しいのは嫌だから。「音楽」の話をした時もそうだけど、挫折がないのもまた青春らしさだと思います。

そういえばしょうもないベンチャー企業が「毎日が文化祭準備の楽しさ!」とかのたまってるのをたまにみるけど、いや学校生活の楽しさなめんなよと思うね。

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