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[読書記録]不思議カフェNEKOMIMI(村山早紀) / 甦る夢見る私

はじめての作家さんでしたが、まあなんとどこまでも広がる絵本のような世界…!そこに少し民話の要素を加えたような、あたたかくて優しいお話です。私の中の夢見る少女心がむくむくと大きくなり、感嘆符の連続でした。
そして、それだけではない、大切なものを信じる心も同時に甦るようでした。

食べ物の描写は細かくてとても美味しそうで、今すぐ作って食べたくなるし、律子さんになりたいと何度も思います。小物や風景の描写も美しく繊細で夢に見たような絵画のようです。

もともとあった設定のお話ではなく、どのようにしてそうなったのか、主人公律子さんの存在する世界への道筋とそこに至るちょっと切ない感じ。
緑に囲まれて生きることや不思議なこと、それに美味しいごはんやお菓子、すべてが愛おしくてとてもとても好きです。昔観ていたアニメがどんどん浮かんでくるような。
かつてミンキーモモやコロポックル物語、ニルスのふしぎな旅や目に見えないものとの交流が大好きだった女の子なら、きっときっと懐かしい気持ちに飛びつく素敵なお話ではないかな。
前半特に、私の心には感嘆符が浮かびました。だってあんなに大好きだった世界が、大人になってこんな形で戻ってくるなんて。なんてすてき。いっぺんに村山早紀さんのことが好きになってしまいました。それにきっと村山早紀さんが信じる世界はこれと同じようにあたたかくて、永遠に人間が信じていたい世界ではないかな、と思うのです。

はじめの方の猫のお化けの気持ちを想像する律子さんのところで、思わず私もはじめて自分で飼っていた犬のことを思い出して想像しました。
ぎゅっと撫でるととても嬉しそうに「もっともっと」としていたこと、かわゆすぎて顔をむぎゅーっと握っても怒りもせずに私にされるままになってあるかないか分からない短い尻尾を振っていたこと。

なんだか、小さな女の子だった頃の私の真ん中にあったわくわくや、優しさや、大切にしていたあたたかい気持ちをいっぺんに思い出したような感じです。あたたかさで胸が膨らみました。
図書館で借りた本ですが、手元に一冊、と思いポッチリしました。嬉しい…。
私はこんな世界があっていい、と心から思うし、こういう世界を信じ続けるのだと思います。


不快なことはまるで、全く、全然ない、絵本のようなあたたかくて優しいお話です。私に女の子がいたら読み聞かせすると思います。
信じる心を作るお話です。

大人になっても、何かを信じたい夜に枕元に置いておくのが良いと思います。


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