とり子

読書記録 *小説(ファンタジー、児童文学も好き)

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2023年下半期、私のおすすめ六冊

2023年の前半に、心に残った本の記事を書いたので、半期ごとにまとめてみようと思います。 また厳選して厳選して、六冊(七冊?)に。 上半期はこちら↓ それでは下半期行きます。 「スロウハイツの神様」辻村深月著 辻村深月さんの著作は、どれもとてもとても好きなのですが、これは私の中の最高傑作かもしれません。もう大好き。 きっと辻村深月さんの本って、本ごとにファンの人が少し違ったりするんじゃないかな、と思ったりもします。 後半のたたみかけに気持ちがブワーッとなります。大波が

    • [読書記録]その世とこの世 (谷川俊太郎、ブレイディみかこ著)

      内容もとても面白いのだけど、谷川俊太郎さんの詩が読めたのが何よりも良かったです。 「この世とあの世のあわいにあるその世」というものがどこか知っている、と誰もが思うのではないかと感じました。 「ここではない世界で、行ったこともないのになぜか知っている場所」とか、なんとなく懐かしいものが詰まっている気がします。 消費の現代の我々には幽霊になる体力はない、という部分に笑いながら深く頷き、イギリスの若者の「人類は少しずつ体を失っていく途上にあるのだから」というトランスヒューマニズムの

      • [読書記録] 乙女部部長 (吉野万理子 著)

        ぐぐっと引き込まれて、さらさらー、っとあっという間に読めました(二時間くらい?)。 運命とか愛とか友情とか、そばにあることにまず目を向けることの大切さが面白くもちょっとほろ苦く描かれていました。 小夏さんは、美味しいものもたくさん食べるし、お友達もたくさんいるし、かと言って譲らないところは譲らない頑固さが面白いし、案外小夏さんならなんでも楽しくやって行くんだろうな、と思いました。 友情に関しては、女の人ならほぼ通る過程、誰かが結婚した時、その時社会人を続けている自分、もしく

        • [読書記録] 潜水鐘に乗って (ルーシー・ウッド 著)

          静かなファンタジー短編集。目に映し出される風景は海の深いところや降りしきる雪の中、静かな森の中など、青や白、緑などの単色が多くて、単色だと私が感じるということもあって静かに感じるのかもしれません。 全編にわたって、静かで美しい寂しさに満ちているように思います。読者である私から一方的に見える寂しさですが、主人公はだれも「寂しい」とは感じていなさそうだ、というところもこの本の特徴なのかもしれません。 例えば、石になってしまうリタだって、身体はどんどん重くなって行くけれど、首も

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        2023年下半期、私のおすすめ六冊

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        記事

          [読書記録] ラブカは静かに弓を持つ (安壇 美緒 著)

          とても良かったです。主人公の感受性も好きだったし、登場人物一人一人の個性がとてもはっきりしていて分かりやすく、ストーリーもシンプルで分かりやすく、それなのにとても引き込まれました。大好きです。この社会のよく知らない「音楽の著作権」という分野について興味を持ちながら読み進めることができました。 「著作権」というものがいつ頃からあるのか私は詳しく知らないのですが、その大切さも意義もよく分かります。そしてクリエイターへの敬意は常に持つべきだ、と私も思いました。 音楽にまつわる小

          [読書記録] ラブカは静かに弓を持つ (安壇 美緒 著)

          [読書記録] おかえり、めだか荘 (北原里英 著)

          最近は女性のシェアハウスもの小説がわりと好きな私です。流行りなのかな。エッセイ漫画やドラマもそんな感じのお話が増えてきているように思います。 このお話は、後半が良かったです。 一時期のホッとする時間が、その後の人生を照らしてくれることってあるな、と思いながら読みました。 そのホッとするような関係と時間がめだか荘には確かにあって、それを大切だと思う人達が、お互いを思い合って住んでいる二年間。 過ぎ去る時間も力に変えて、前に進んで行く女性4人が、強く眩しく描かれている、と思いま

          [読書記録] おかえり、めだか荘 (北原里英 著)

          [読書記録] ざらざらをさわる (三好愛 著)

          私が三好愛さんを知ったのは、川上弘美さんの「某」を読んだからです。川上弘美さんの「某」の表紙にとても惹きつけられ、「某とは」、と手に取りました。三好愛さんのイラストには、無機質なようで生ぬるい餃子の皮ような、むにゅっとしているようでもしかしたらふんわりしているのかな、というような、不思議な感覚を受け取ってしまう何かがあります。 読み進めて行くと、三好愛さん自身も、むにゃっとしているようでふんわりした方なんだなぁ、と面白く、分かるような分からないような、ちょっと落ち着かないけ

          [読書記録] ざらざらをさわる (三好愛 著)

          [読書記録] 丹生都比売 (梨木香歩 著)

          人の旅立ちに思いを寄せる、美しくて繊細な深い水の中のようなお話の集まり。 とても静かで安らかで、あたたかく、この雑多で混沌とした、人の生きる世界とは対局にあるように思えます。 その安らかさは境目を越えた途端に突然あらわれ、こういうものなのだろうな、と思わずにいられません。 この「丹生都比売」は九篇のお話から成る短編集ですが、あとがきの通り、読み終わってしまえば、それぞれのお話を数珠のように繋ぐ蔓が確かにあるのだな、と感じます。 「丹生都比売」のキサという少女の不思議な美し

          [読書記録] 丹生都比売 (梨木香歩 著)

          [読書記録] シェニール織とか黄肉のメロンとか (江國香織 著)

          江國香織節の効いた、平和で淡々と、それでいてあたたかくふんわりかわいらしいエッセンスが混じる、そんなどこかキュートな日々が続く女性三人の陽だまりのような日常。 それぞれが抱く思いに共感しながら、私は誰に近いかな、なんて考えながら読み進めました。 それほど気に入らない不動産業者におとなしくついて行く時、以前住んでいたところの近くにいた犬を思い出して、「ゴーディだ」と思いついて、誰かに言いたくなってしまう理枝さんの気持ちも分かるし(自分の誕生日の計画を自分で立てたり!)、 ボー

          [読書記録] シェニール織とか黄肉のメロンとか (江國香織 著)

          [読書記録] 赤い靴の誘惑 (シャンナ・スウェンドソン 著)

          きゃー最高でした!魔法製作所シリーズ第二巻! 盛りだくさんな問題をきれいに解決して、ワクワクドキドキして、ケイティのかわいらしいネガティブも、ケイティを取り巻くガールズトークも、クリスマスの魔法も全部包み込んで、オーウェンも相変わらず不器用だけど最高に優しくてかっこよくて、これが魔法なんじゃないか、と思う第二巻でした。 この二巻では、もりもりと事件も起きるし、田舎からご両親が来て、いろんなハプニングからご両親を安心させるためにケイティは可愛らしく奔走するし、お料理はおいし

          [読書記録] 赤い靴の誘惑 (シャンナ・スウェンドソン 著)

          [読書記録] 銀河鉄道の父 (門井慶喜 著)

          「お前は、父でありすぎる」宮沢賢治さんの優しさは政次郎さんから譲り受けたものなのだとあたたかくなりました。 政次郎さんを通した、賢治さんの生涯を辿ったお話です。 銀河鉄道、宮沢賢治ワールドに首まで浸かろうとなんとなく思っている年始です。 政次郎さんの賢治さんに対する父親としてのあたたかさは、ある程度歳を重ねて気がつくものなのかもしれません。親子の難しさは、あとになって分かることもあるのかな、と思います。 宮沢賢治さんと宮沢一家全員の視線のあたたかさや、お互いを思いやったり

          [読書記録] 銀河鉄道の父 (門井慶喜 著)

          [読書記録] カムパネルラ版銀河鉄道の夜 (長野まゆみ 著)

          これは小説というよりも宮沢賢治解説書、中原中也とカンパネルラ、それに長野まゆみさんの「銀河鉄道の夜」とのことなので時間をかけてじっくり楽しく読もうと思って読み進めました。 長野まゆみさんは高校生の頃読んだ小説「少年アリス」以来です(「銀河の通信所」も読みたい)。 でも、もっともっと宮沢賢治さんについて知らないと、この本については語れないのだろうな、と思います。もっと宮沢賢治さんのことを知りたい、と強く思いました。 ただ、章末「カムパネルラの恋」については、ちょっと余計な知

          [読書記録] カムパネルラ版銀河鉄道の夜 (長野まゆみ 著)

          2023年、ありがとうございました

          完全に読書の記録となってしまったこの私のnoteですが、まあこれはこれでいいのかな、と思っています。 いつも読んで反応してくださる皆様、ありがとうございます。通りかかって反応してくださった皆様もありがとうございます。 2024年もたくさん本を読んで、この広い本の世界、同じ本を二度読むこともあるかもしれないけれど、なるべく被らず、限られた私の人生の時間の中で、たくさんの本に出会えるように、私のアウトプットは続くかもしれません(突然もういいか、と思ったりもするかもしれません笑)。

          2023年、ありがとうございました

          [読書記録]ニューヨークの魔法使い(シャンナ・スウェンドソン)

          魔法版ブリジットジョーンズ(ハリーポッターとブリジットジョーンズを足したようなお話)という感想を見かけてとても楽しみに読みました。 そして文字通り、ああ、すてき!ステキすぎる!私もケイティになりたい!となりました。何年ぶりにこんな気持ちになったかな。もしかしたら「誰も知らない小さな国」のせいたかさん以来かもしれない。種類はまた全然違うのですが。 自分に今起こっていることに混乱して(もしも私なら嬉しすぎて)、信じられなくて考える時間が欲しくて長く歩くこと、思い浮かべるだけでと

          [読書記録]ニューヨークの魔法使い(シャンナ・スウェンドソン)

          [読書記録]川のほとりに立つ者は(寺地はるな)

          寺地はるなさんの気持ちの寄せ方の優しさを思い知りました。 自分の生きづらさや努力しなければいけない状況を、飲み込めない人もたくさんいるのだと思うし、困っていることやその感情も…、川の中の石は本当にいろいろなのだと思います。 それを「ほとりに立つ者」がいつ理解してもいいし、手を差し伸べなくても、そのままで大丈夫だと認めることができることで世の中はきっと優しくなるのだろうと思いました。 ただ、困っている人が困っていることを全部話せることって本当に、とても難しいことだと思う。

          [読書記録]川のほとりに立つ者は(寺地はるな)

          [読書記録]本屋さんのダイアナ(柚木麻子)

          すっきり。女の子の友情って、いろいろな形があると思うのですが、お互いを尊重しあって何度でもやり直せる関係ってとてもいいな、と思いました。 本のにおいや、図書館や本屋さんの雰囲気、物語への没入感や力をもらえる感じ、本や読書への愛ももりもりと伝わってくるし、とても良かったです。 この本に出てくる二人の少女の、心のまっすぐな部分もとても素敵だな、と思います。 この間女優さんがテレビで、「精神は老いない」、と仰っているのを見かけましたが、精神は成長するけど、根本は変わらない、とい

          [読書記録]本屋さんのダイアナ(柚木麻子)