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[読書記録]その世とこの世 (谷川俊太郎、ブレイディみかこ著)

内容もとても面白いのだけど、谷川俊太郎さんの詩が読めたのが何よりも良かったです。
「この世とあの世のあわいにあるその世」というものがどこか知っている、と誰もが思うのではないかと感じました。
「ここではない世界で、行ったこともないのになぜか知っている場所」とか、なんとなく懐かしいものが詰まっている気がします。
消費の現代の我々には幽霊になる体力はない、という部分に笑いながら深く頷き、イギリスの若者の「人類は少しずつ体を失っていく途上にあるのだから」というトランスヒューマニズムのポジティブさににやりとしたり。世の中どうなるのでしょうね。
人は、どうなるのでしょうね。
トランスヒューマニズム、その世の生き物なのかな、人の形を必要としないことは私にもとても便利で素敵なことのように感じる。「体がなければ病気も怪我も老いもない。人間が体を持っていることは人間に苦しみしかもたらさない」。
でも、「ぬくもりや体感に対する郷愁をどうするのか、必要なくなるのか」、とプレイディさんも仰っていました。どうやって生まれてどうやって育つんだろう。面白い。

プレイディさんのお母様の予期せぬ遺し物もかわいらしい悪戯好きの少女のようで、私も是非そうなりたい、と強く拳を握ったのでした。


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