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11月2日 ゲームはもっとも家計に優しい娯楽だ

ゲームソフトの価値

 桜井政博さんの動画です。

 ゲームは娯楽としてかなりお安い。うん、私もこれはずっと思っていた。ほとんどのゲームは普通にクリアするまでに20~30時間。大作になると50~60時間。最近はお手軽に買えるインディーズゲームというのもあるけど、それでも数時間から10時間遊べる。
 無限に遊べるゲームというのも世の中にあって、例えば『Splatoon2』。私の個人的な記録を見ると、1060時間。ニンテンドーeショップで購入したので、6578円。たった6578円で買ったものが1000時間も遊べる。こんなにコストパフォーマンスの良いものはない。単純に割り算すると、1時間6.2円。超お得。
 「無限に遊べるゲーム」は誰しもあるだろう。『Minecraft』や『シヴィライゼーション』『桃太郎電鉄』『どうぶつの森』。世の中には『ぷよぷよ』や『テトリス』といった落ちものゲームを無限に遊び続けるという人もいる。『ゼルダの伝説』で何百時間もハイラルの旅を続ける人もいる。『グランツーリスモ』をえんえん周回し続ける人もいる。『モンスターハンター』でえんえんモンスターを狩り続ける人も。人によって「ストライクなゲーム」というのは違う。
 実は私は、10代の頃、PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX』にはまりこんで、何百周もした。途中から全ステージノーダメージクリアできるようになっていた。ゲームは一回はまり込むと、長くなるのだ。
 私の場合、こういう「付き合いが長くなりそうなゲーム」はパッケージではなく、データ購入する。基準はゲーム中にストーリーがあるかないか。ストーリーのあるゲームは基本、そのストーリーが終わったらゲームも終わりだけど、ストーリーのないゲームはある意味で無限にゲームが続く。
 実はストーリーのないゲームのほうが付き合いが長くなる……ということを経験的に知っているので、『マリオカート』や『Splatoon』といったゲームは必ずデータ購入(Splatoonシリーズにはストーリーモードも存在しているけども)。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』のようなRPGはパッケージで購入する。ストーリーのある大作RPGはデータ量も大きいので、データ購入するとストレージがすぐに一杯になっちゃう……というのもあるけどね。

 でも世間的に「ゲームはコストパフォーマンスの高い娯楽」……ということにどれだけ気付かれているのだろうか、というとちょっと疑問。

 私の住んでいる街で「娯楽の中心」はなんなのかというとパチンコ。私の街は、まあよくある田舎なので、街に「娯楽」と呼べるものはあまりない。レンタルビデオ屋TUTAYAは最近閉店したし、街の本屋もほとんど閉店して、残っているのは駅前の1件のみ。カラオケ屋も1件だけ。レストラン数軒。ファストフード店は数キロに1件という間隔。寿司は回転する店が1軒あるが、行くといつも家族連れでものすごいことになっているので、行かない。若い人が遊びに行く場所、というものがほとんどない。
 そんな街なのに、パチンコ屋だけが大通りにドンドンドーンと建っていて、100メートルおきに一軒パチンコ屋がある……みたいな状況だ。パチンコ屋の前を通り過ぎると、いつも車で一杯。ものすごくたくさんの人が、日々パチンコに消費しているのだ。
 どんなタイプがパチンコに夢中になっているか……というとお爺ちゃん達。私の街は70代以上が6~7割……というかなり歪な人口ピラミッドの街だ(少子高齢化なのでそういう街、今どき一杯ある)。パチンコ以外に娯楽のないお爺ちゃん達が、これまで稼いだお金を取り崩して、朝から毎日打ちに行っている……みたいな状況だ。

 私は以前、コンビニのお弁当を作るバイトをやっているのだけど、けっこう年のいったお婆ちゃんが働きに来ているのを時々見かけていた。どうしてお婆ちゃんが働きに来ているのだろう、老後の蓄えが少ないのかな……とか思っていたら、お爺ちゃんがパチンコにお金を費やして、貯金がヤバくなってきたので働きに来た……と。そういう話だった。
 そういう話、わりと「あるある」なんだそうだ。お爺ちゃんが引退してからパチンコにハマって、それまで稼いだ金を取り崩して……。そんな話は、田舎ではわりとありがちな話なんだそうだ。

 そんな話を聞くたびに、「テレビゲームやればいいのに」とか思ってしまう。
 しかし新聞なんかを見ると、あたかも「ゲームは無限にお金がかかり続ける」みたいに書かれることがよくある。子供が常に新しいゲームをねだって、買ってやっても「次! 次!」といって終わりがない……と。ゲームは家系を苦しめる悪魔の娯楽だ……と。たぶん、世間的にそういうのを見て、それを素直に信じている人が一杯いるんだろう。
 でもあれは嘘だ。
 本当に自分の感性にズバッとハマるゲームを見付けると、たいていの人はそこにずーっと留まる。私の場合は『マリオカート』と『Splatoon』。実はSwitch版『マリオカート』は買わなかったのだけど、WiiUの時は数百時間プレイした。『マリオカート』も『Splatoon』もどちらも6000~7000円程度。
 映画だったら、映画館へ行って1回の視聴に1800円。パンフレットも買うともっとかかる。アイドルのコンサートへ行くと、もっとかかる。たいていの娯楽は、1時間数千円ほどのお金になる。しかしゲームだったら、1時間のお金は100円以下。100時間以上遊ぶようなゲームになると、もっとコストパフォーマンスがいい。
 それにゲームは文化的。
 「ゲームが文化的??」と不思議に思う人は今でも多いが、大人が大真面目で作ったものだ。そこにはありとあらゆる教養が詰め込まれている。それを読み取れるようになるのも、大人の楽しみ方だ。

 私が常々考えていることに、人間の認識は14~16歳辺りで一度固定される。その対象をどのように認識するか、どういう考え方をするか……そういうのは14~16歳辺りで一度固定される。この年代で「自分で物事を考えない」と決めちゃった人は、オッサンになっても爺ちゃんになっても、自分で考えたりしなくなる。そこから認識を変えようと思ったら、よほどの切っ掛けがなければならない。
 で、「ゲームは子供の遊ぶもの」と14歳辺りで一度決めつけてしまった人って、そのまま人生の終わりまでその認識のままなんだ。
 世の中のお爺ちゃん世代の人たちって、たいていは「ゲームが出てくる以前」の人たちで、ゲームがどういうものか、をテレビ・新聞を最大の情報源にしてしまった世代。自分自身の経験で、「それがどういうものなのか?」を考える手がかりがなかった世代達だ。現実にそれがどういうものかを見て、自分で考えた……という以上にテレビや新聞で見たものを現実にしてしまった人たちだ。テレビや新聞に思考回路をチューニングされてきた……というのが今のお爺ちゃん世代だ、といえる。
(私の親もそうだけど、新聞やテレビをあまりにも信じすぎる。新聞が「今の若者はこうだ」というったら本当にその通りだと思って、若者を見下して接するし。以前、父親と話していて、「テレビでやってないことをどうやって知るんだ?」と不思議がられたことがある。世の中のあらゆる事件、あらゆる知識はテレビで報道されている……と私の父親は思い込んでいるんだ。そういうのが今のお爺ちゃん世代の思考回路。それくらいにお爺ちゃん・お婆ちゃん世代は新聞とテレビを信じている)  そういうお爺ちゃん達だから、「ゲームなんて子供っぽいもので遊べるか」みたいに考えてしまう。もっと大人の遊び……ということで、お爺ちゃん達が選ぶのがパチンコ。パチンコに対する警戒感がゼロなんだよね。
 愚かだなぁ……と心から思う。
 家計が危なくなるくらいパチンコに費やすよりも、ゲームで遊べばいいのに。

 ゲームのコスパの良さは、しばらく広い世間には共有されないだろう。お爺ちゃん世代だけではなく、現代のおじちゃん・おばちゃんくらいの世代も、「ゲームは子供が遊ぶもの」という意識で留まっている人たちや、「ゲームは家計を苦しめる悪魔」と思っている人たちが、まだまだ多数派だ。
 現代のおじちゃん・おばちゃん世代はゲームが出始めた世代だけど、自分でゲームがどういうものか確かめずに、テレビで見たイメージをそのまま信じ続けている……そういう人って実は案外多い。
 ゲームの娯楽としてのコスパの良さは、しばらく気付かれないままだろう。

 私は日々引きこもりがちで、街の様子がどうなっているかあまり知らなかったのだが、最近パチンコ屋の前を通りがかって、潰れていたことに気付いた。例のなんとかウィルスが広まったとき、一時的に店を閉めて、そのまま閉店になってしまったようだ。
 やっとパチンコ屋という害悪が街から消えてくれた。これでもうちょっと落ち着いた街になってくれればいいけど……。「パチンコしかない街」……というイメージから、少しは離れてくれればいいけど。


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