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ドラマ感想 ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 第5話感想 目指す場所は南方国!

前回

 さーて、続けられるところまでいきましょう。『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 第5話』の感想を書いていくぞ。

 さあ戦争だ! と慌ただしくなるヌーメノールの港。それにしても、街の規模に対して、港が小さいな……。
 画面の右側、滝が落ちてきて水車を回している。その水車の手前にクレーンが見えるから、水車を動力にクレーンを動かしている感じかな。

 第4話のとある場面。奥に街の様子が見えていることからわかるように、かなり高いところ。そんな場所に水路が作られ、渡し船が行き交っている。ヌーメノールではこうやって物資が街の中へと円滑に運ばれている。
 王宮の高いところから水がまんまんと滝のように溢れているし、とにかくも水が豊か。この水をメネルタルマ山のような高いところ水路を作って引き込んでいるのか、それとも低いところからポンプで引き上げているのか、それはわからないけれども。とにかく豊富な水を生活の中で活用していることがわかる。

 うおっ! 馬をクレーンでつり上げている。馬も連れて行くんだ……。

 海軍学校をクビになったイシルドゥル。名誉を取り戻そうと軍隊に志願するが、父親から拒絶されてしまう。どうにか入れてくれないか、と直接訴えるが……。
 意外にワンピース姿が可愛い。

 イシルドゥルのクローズアップ。肩に付けているベルト部分に、細かく模様が入っている。職人のこだわりが見えてくる逸品だ。画面にちらっとしか映らないものでも、本気で作っている。

 めでたく鍛冶屋の仕事を得ることができたハルブランド。こんなふうに熱した鉄を叩いて整えて……

 次のカットになると、剣が仕上がっていて、しかも彫りまで入っている。オイオイ……。
 WETAの強味は本物の鍛冶職人がいて、剣にしても鎧にしても、鍛冶職人が鍛えたガチなものを用意できることにある。2001年の映画『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくる剣や鎧は「映画中の小道具」ではあるが、すべて本物の剣や鎧だった(撮影用に刃がなかったりするけど)。  このカットの剣もおそらく鍛冶職人が鍛えた本物なのだろうけど、彫りなども入れていない、本当にできたてのものを用意してもらえばよかったのに……。

 ガラドリエルから呼び出しを受けるハルブランド。やってきたのは王宮のある一室だが……。
 いつもたくさんいる近衛兵たちの姿がない。部屋も狭く、こうやって身内だけで集まって会談するためのスペースなのだろう。窓の外に見えているのは中庭かな?

 その入り口。炎が一杯……。ロウソクの芯のようなものが見えないから、小さなお皿の中に油を満たし、芯を立てて燃やしている感じなのだろう。それでも何分くらい持つものなのかな……。さすがに油に火を灯す生活なんてやったことないから、わからない。火が燃え尽きるたびに、油を注ぎにくる人がいるはずだけど……。

 夜になると明かりがこんなふうに浮かぶ。非常に印象的。ただ、臭そうだな……。油の匂いでひどいことになりそう。

 新兵達の様子を見て、「私が鍛えてあげるわ」と役目を引き受けるガラドリエル。
 この新兵達を鍛えている場所、第3話でガラドリエルが最初に連れてこられた場所でもある。柱の形や港側を向けた風景などが一致している。

 第3話のこの風景、柱の形を憶えておこう。

 第5話のこの場面。画面左側の柱が一致する。

 いよいよ明日出兵……という前夜。壮行会で盛り上がる若者達。
 こちらの場所も何度も登場している。

 第3話、ハルブランドが食事をしているシーン。画面奥に映っている橋が一致。別のカットでは壁画もちらっと見えるが、こちらも一致。

 同じく3話。壁画が一致。

 第4話、イシルドゥルが妹と対話するシーン。ここで壁画がしっかり確認できる。

 『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』はとにかくも「セット主義」で撮影されている。なにもないグリーンバッグで俳優に演技をさせる……ということは極力避け、実在感のあるセットの中での撮影にこだわっている。
 映画のセットはそんなにたくさん作るものではない。セットは作れば作るほど予算がかかるものだから、可能な限り少なく作り、小道具の位置などを変えて、あたかも違うところのように見せる……というのが極意。例えばリドリー・スコット監督の映画は毎回100億円越えの大規模映画を作っているが、彼の映画もセットはいつも1つだけしか作らない。セットは1つしか作らないが、小道具の入れ替えによってどうにでもなるように……という想定で作っている。リドリー・スコット監督はこれが非常に上手いので、じっくり見ていても「ずっと同じところで撮影している」なんて言われてもまず気付かない。リドリー・スコット監督の映画は100億円もかけて作っているが、あれでも相当に節約して作った結果なのだ。
 2001年の映画『ロード・オブ・ザ・リング』もたくさんのセットが建造されたものの、やはり小道具を入れ替えれば別の場所に見せかけられるように作られていた。例えば2003年『ロード・オブ・ザ・リング 第3章』では、ガンダルフがゴンドールにやってきて、馬に乗って街中を走り抜けていくシーンがあった。実はあれは同じ場所をえんえん繰り返し走っていただけ。でも見ている側はそんなこと、まず気付かない。
 ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』もそのやり方に則っているんだけど……あまりにも同じ場所が何度も出てくるものだから、気付いてしまう。広場のシーンは「橋」と「壁画」というあまりにもわかりやすい特徴があるので、気付かれやすい。
 それもディテールまでこだわったからこそ……でもあるのだけど。

 ヌーメノールが大陸の戦争に出兵する。しかし誰もが戦争に賛成というわけでもない。
 まあ、戦争に行くと大量に人が死ぬし、その間の産業も停止するから、経済問題を引き起こすというのもあるのだけど……。
(戦後の保証もきちんとやらないと、戦争体験者の再就職問題が起きてしまう。ベトナム戦争後のアメリカが陥ったのがこれ)
 まず、そもそもの話、ヌーメノールが大陸の問題に兵士を出す意味がない。確かにやがてやってくる「サウロン復活」を放置していたら、いつかヌーメノールも無関係というわけにはいかなくなるのだけど……。現時点でヌーメノールがわざわざ介入するだけの危機や意義がない。貴族や政治家達は「ちょっと待て、なんでいきなり戦争に行くことになったんだ?」と疑問。

 第4話のシーン。
 一方、若者は意外と戦争に乗り気。というのも、戦争に行けば結構な報償が出るし、その後の一生「戦争に行った」という名誉が得られて、子や孫にも自慢ができる。もしかしたら、戦争に行った、というだけで年金も出るかも知れない。
 「報償」と「名誉」。この2つが得られるチャンスだから、若い人たちは積極的に戦争に行きたい。第1次世界大戦以前までの戦争観ってこういう感じだった。

 執政ファラゾーンは戦争に反対するケメンにこう諭す。

「エルフの命令だ? これが終わった頃には、立場は逆転しておるわ。我がいとこミーリエルには好きにさせる。私も戦にでようぞ」
「それがヌーメノールのためになると……」
「まだわからんか。これから我らは中つ国の民を助け、待ち望んだ王を玉座に就かせる。王は我らに借りを負う。その負い目が将来我らに、どれほどの利益をもたらすか……。鉱石、材木、通商、貢ぎ物……。それを思えばこの戦、止められようか」

 執政ファラゾーンは兵を送れば後に多くの利益を得られる……ということで戦争を始めよう、と。ある意味、「国の利益」のためを考えているわけだから、きちんと政治家をやっているといえる。ただそのために、「まっ、多少の犠牲はしょうがないかもね……」という開き直りが怖いところ。でも政治ってそういうもんだよ……。

 執政女王ミーリエルも戦へ行くことを父に報告すると「行くな。中つ国はやべーぞ」と警告を受けてしまう。
 元々なんで戦争に行くことになったのか……というと、1人のエルフの個人的な情熱が切っ掛け。果たしてそれを聞き入れて、戦争に行くべきなのか……。ミーリエルにとってしてみれば、エルフの言い分を聞けば、王国の崩壊を食い止められるかも、という希望的観測があるのだけど。
 サウロンが復活すると、どっちにしろヌーメノールもやばいから、今のうちに芽を摘んでおくことに意味はあるけど。

 父の話に納得行かなかったケメンは、出兵をやめさせようと夜、船に忍び込む。
 ケメンが樽から出した物は?
 答えはお酒。というのも、船の上で水は3日ほどで腐ってしまう。ではそれ以降の飲料はどうするのかというと、腐敗に強い酒を飲んで乾きを凌ぐことになる。というわけで、船乗りは昔から常に酔っ払っていた。
 それにしても、やっぱり船の底の方まで作り込んでいたんだな……。すごいドラマだよ。

 問題なのは次のシーン。船がドカーンと爆破する。
 なぜ?
 第3紀指輪戦争の時、ローハンは角笛城に立てこもり、ウルク=ハイの軍団と戦った。その時、城壁を破壊するために「火薬」が使われたわけだが、その火薬を用意しているとき、グリマは火薬の存在を知らなかった。「なんだこれ?」という顔で覗き込んでいた。ということは、この時代ではまだ火薬は存在しなかった可能性がある。
 火薬はおそらくなかったと思われるのだが、じゃあなぜ爆発したんだ? 爆発しそうなものがもしかしたらあったのかも知れない……。

 とにかくも撮影用にいちから制作した船を爆破させちゃったよ……。CGじゃないな、これ。とんでもねーことするね、このドラマ……。

 それでも出兵は中止されることなく決行。場所は王宮の入り口。ここから派手な送別会が開かれる。

 ヌーメノール騎士の鎧姿。鱗をベースに、太陽、馬のレリーフが入っていて、模様は「波」や「渦」をイメージしているのだろう。海辺で暮らしていた一族が考えるであろう鎧姿だ。ヌーメノールの文化をよく反映したデザインだ。
 後のゴンドールの鎧ともかなり似ている。

 船の様子。意外と小さいし、それに舵がない。サイズ感的にスループ船というくらい。砲台もない(火薬がまだないのだから、大砲がないのは当然)。たぶん大航海時代のように、大量に人や物を積み込んで運ぶ……という時代まで来ていないからだろう。あくまでも「古代の船」という感じ。ヌーメノール人は島だけの生活をしていて、大陸ともそんなに交流もしていなかったから、このサイズの船だけで事足りたのだろう。航海技術は高いが、海での戦争はそんなに経験がないのかも知れない。
 映像から察するに、だいたい船の重さは12~15トン。乗員は100名ちょっと、といったところ。

※ スループ船 機動力を重視した小型の帆船。

 鎧姿のガラドリエル。美しい! ありものの鎧ではなく、明らかな一点もの。ヌーメノールの鍛冶屋に作ってもらったんだろうね。

 そして出発!
 ……って、あれ? 船3隻だけ?
 船1隻に乗せられる兵士の数は100人ほど。ということはたったの300人程度。しかも大陸遠征なので物資も食料もたくさん必要だ。戦争は兵士だけではじめられるものではなく、食べ物を作る人や、寝床の管理をする人も必要になる。そういう人達を乗せた船はどこにあるのだろう。
 船に乗ったまま川に入っていけば、南方国に近いところまで短時間で行けるだろうけども、まさか兵士だけで行くつもりでは……。
 ヌーメノールは大きな都市に思えたけれども、意外と戦争は得意じゃないのかも。たかだか300人の兵団を作るために、若い人を徴兵して、剣を持たせて訓練させなければならなかったくらいだから。職業軍人はいないのだろうか。大陸から遮断された、「平和な島」であったがゆえの現象なのかも知れない。

 エルフ、ドワーフの親交が始まったことを祝して宴が催される。場所は第1話でガラドリエルとエルロンドが対話していたところだけど……いやぁ光景が美しい。
 不思議なのは、召使いだと思われる女達も一緒に参加してお酒を飲んでいること。そういう習慣なのだろうか?

 宴の後、かつてあったエルフとバルログの戦いについて語られる。

「片方は1人のエルフの戦士。マンウェのごとき澄んだ心で木を守るため光を注いでいた。対するのはモルゴスのバルログ。木を壊すべく憎悪のすべてを注いでいた。終わりの見えぬ戦いの最中、稲光が木を打ち、戦いは動きを変えた。その力は――」
「その力は純にして光は善に満ち、悪魔のごとく頑なで強かった。それは深く山の底、麓にまで染み、何世紀も経た今、待ち続けている」

 エルフの死生観は人間とだいぶ違っていて、人間は心臓が止まったらその個人は死ぬ。しかしエルフは基本的に死というものがない。ただし、ヴァラールすなわち神の国から送られてくる霊力が断たれると、エルフ全体の力が衰え、絶滅してしまう。第3紀の指輪戦争の頃になると、いよいよエルフの生命を支えていた霊力も尽き、もう中つ国にはいられねーや、ということになって去って行った。

 ギル=ガラドとエルロンドの語った伝説はちょっと不思議で、1本の木を巡って、一方で生命のエネルギーを送り、一方は破壊しようとしていた。ある程度象徴化したお話で、この通りのことが起きたのではないのだと考えられるが、とにかくもその木がエルフ全体の生命を支える源だったのでしょう。
 しかしエルフ対バルログの戦いの最末期、雷が落ちて、木に蓄えられていた霊力は山の深いところに沈んで、結晶化した……それがいま発見されているミスリル――エルフ達の言うシルマリルであるという。

 この話からすると、例の霊力の持った木は霜降り山のどこかにあった……ということになる。あの雪山のどこかでエルフ対バルログの戦闘があったのかも知れない。第1紀の頃の話だから、どうにも謎めいているが。

 この話から察するに、ミスリルを採掘し続ければいつかバルログとも遭遇するということになるけど……。さて、それはいつの話になるのやら。

 大地に蓄えられた聖なる力が衰え、闇の力に置き換えられようとしている。エルフたちの居住空間は、そういう霊力の影響を受けやすいので、自然の植生にも影響が現れ始めていた。

 ということは、中つ国自体が、自然の生態がいわゆるな「食物連鎖」によって成り立っているのではなく、まだ神の霊力が背後に働いているという「神話世界」だということだろう。
 第3紀の最後でサウロンが葬られ、エルフ達が去って行き、神の力も悪の力もない、平凡な食物連鎖の世界が始まった……みたいなイメージなのかな。この時代はまだまだ「神の霊力」に自然もエルフも人間も支えられていたんだ。どこかの時代には、そういうものもあったかも知れない……。

 エルロンドはミスリルがエルフの生命を支える鉱石であることをドゥリンに打ち明ける。
 ドゥリンは父親から「エルフが隠していることを暴き出すのじゃ」みたいに囁かれていたのだけど、しかしドゥリンはそういう陰謀めいたことをできるような人ではない。人が良すぎる。ドゥリンは友のために、ミスリルの存在をエルフに明かすことを決意する。
 問題は、あの父親をどうやって説得するか……だ。

 さて、その頃南方国では……?
 オークに日光を当てるとどうなるか……。意外にも実際にどういう現象が起きるのか、というのは初めて見た。

 よくヴァンパイアが日光に弱いのは紫外線に弱いから……という現代医学的な解説をするけど、私は違うと考えている。太陽の光というのは「生命のエネルギー」。神の属性の力だ。一方、オークのような存在は闇の属性。太陽の光はエネルギーとして強烈だから、闇の属性は光を浴びただけで「あちちち……」となってしまう。なので太陽の「明かり」や「熱」に対しては耐性があるが、「直射日光」だけは弱い。現代人にとっては抽象的過ぎる説明だけど。

 砦では治療師のブロンウィンが「戦おうぜ」と呼びかけている。
 しかし村人達は武器を持っていない。戦いの訓練も受けていない。いくら勢いよく「戦おうぜ」と呼びかけても、それは無茶というもの……。

 ところでこの群衆シーンを見て、ふと気付いたのだけど、青い服を着た人がぽつぽついる。他の色の服を着ている人も少しいるけれども、一番目立つ色は青。ということは、青の染料だけはそれなりに得られる環境だ……ということだろう。他の染料はほぼ得られないから、ぼんやりしたネズミ色の服になっていく。文化的な貧しさが見えてくる。

 村人の1人が「御先祖にならって敵の側につこうぜ」と呼びかける。これに村人達が一気に同調して、砦を去って行く。
 エルフ、ドワーフ、ヌーメノール人と見てきたけども、南方人たちが一番情けない。「自分の土地を守ろう」「自分の文化を守ろう」という感覚がない。なぜなら、そもそもそういう「自分たちの土地・国・文化」を持ってないから。この土地にやってきて、エルフに命じられるままいやいや土地を耕し、家を建てて住んでいるけれども、自分たちで切り拓いた「俺たちの土地」という感覚が身についていない。だからこういう局面に来たとき、生きのびるためなら「怪物の軍団でもいいからそっちにつこうぜ」……ってなってしまう。
 この中つ国は、人間は生きのびるには困難な世界だった。王が戻ってきたら、人々の意識は変わるのだろうか……。

 南方人たちがオーク達の前へやってきました。
 ふと気付いたけど、アダルが着ている甲冑、波模様が描かれているけれども、ギル=ガラドが首に提げている宝飾品と同じ模様だ。

 ほらほら、この首から提げているやつ。

 「サウロン」と呼ばれると、アダルが怒り出す。この反応はなぜだろう? この男はサウロンではない……?

「こいつを殺せ。信じてやる」

 ほら、安易に怪物の軍団のところに行こうとするからこうなる……。オーク達が寛大に迎えてくれるわけないじゃないか。
 ちなみにオークのナイフはまともに手入れしていないので、錆びだらけ、刃こぼれしまくっている。そんなので刺したら、傷口ズタズタ……。
 画面をよく見ると気付くけれども、アダルの左側に立っているオークが身につけているウッドアーマー。繊細な木の葉のレリーフが刻まれている。あんな繊細なもの、オークが作るわけないので、明らかに略奪品。武器も鎧も全部略奪品。手入れもせず、使い潰したら別の略奪品を使う。付き合うならそういう連中だと知った上でないと厳しい。

 それにしてもこの少年のその後はどうなったのだろう……。少年は殺されてしまったのかどうか、すらわからない。ここに半端さが出てしまっているのが惜しい。

 テオが持っていたブラッドソード(仮)を見て、アロンディルは「見覚えがある」と。砦のレリーフに、その剣を同じ形のものが……。
 ということは、この砦は元々オーク達が建造して使っていたものだったのか……。どうりで石の組み方が雑だったわけだ。

 このブラッドソード(仮)の謎だけど……。第3紀指輪戦争の時はサウロンは指輪に魂を移していたから、今回はこのブラッドソード(仮)に魂を宿している……ということじゃないだろうか? 知らんけど。

 さあオーク達の大軍勢が砦を目指してやってくる。もうトンネルの中に隠れたりはしない。堂々と表に出て、松明を掲げてやって来ている。ヌーメノールの救援は間に合うのだろうか……。

 ハーフットたちの旅は続く。
 現代人はこういう風景を見ると「どうせCGでしょ」という意識で見てしまう。でもこれは実景。NO CG。ニュージーランドはこういう風景がそこら中にあるから魅力的。
 しばらくハーフット達とともにニュージーランドの自然風景を見ていこう。

 ニュージーランドの魅力は、あちこち国立公園だらけなところ。人が立ち入らない絶景が一杯ある。日本は国土の隅々まで開発されてしまって、もう昔ながらの自然の風景なんてどこにもない。でもニュージーランドにはこんな風景がそこら中にある。CGを加えなくても、「ファンタジーの風景だ」と言える風景がある。そこが素晴らしい。

 ところで、ノーリたちの道程はどうなっているのだろう。地図が出てくるのだけど……。

 「ロヴァニオン丘陵」という地名が出てくるので、多分この辺り。「ケレブラントの野」と書かれているところの川の形が一致する。
 ノーリ達はさらにそこから南へ行き、「サルン・ゲビア」を迂回して東側へと向かっている。もしも川沿いに進んでいると、第3紀指輪戦争の時にボロミアが死んだ川辺のところへ辿り着くことができる。
 ノーリ達の旅は東に逸れていくのだけど、ここからノーリの道程がよくわからなくなってくる。地図に記載されていない地域に入っていく。

 とにかくも、意外とモルドールから近いところをハーフット達は彷徨っているらしい……ということだけはわかった。

 ここでちょっと気になる描写。

 謎の灰色の人が、月を眺めている。

 ノーリ一家が「夜になると大変よ」と言っている横で、「夜の方が楽」と言っている。ん?

 謎の灰色の人を追いかけている、さらに謎の人たちが登場する。

 盾を裏側から見ると、星座が書かれている。この星座の意味は何だろうか?

 少し気になったので、ズルしてWikipediaで「ガンダルフ」のページを見てみることにした。
 ガンダルフが中つ国へやって来たのは第3紀のごく初期の頃。神々の住む国アマンから、冥王サウロンを倒すために派遣されたイスタリと呼ばれる賢者の1人だった。

 んーガンダルフがやってくるのは第3紀に入ってからだったのか……。
 もしも謎のよそ人がガンダルフだとしたら、ここで現れた人はアマンからの使いということになるが……。

 でも神の国からやってきた使いが、こんな悪そうな顔するか? 指先も真っ黒だし。何者なのか、どの勢力の人なのか、見当も付かない。

 ハーフット達は移住先であった森までやってくるのだけど……。しかし森は変な枯れ方をしている。エルフの都が闇の力に侵食されているように、こちらの森も闇の力に侵食されて、陰気な影が射し始めている。しかも地域的にモルドール(現・南方国)に近いので、侵食の度合いもより深刻になっている。
 しかしハーフット達はどうして森がこんな有様になっているのか、事情がまったくわからない。
 ハーフットたちはサウロンが中つ国から去って、その後の平和な時代に文化を築いてきて、森を渡り歩いて暮らしてきた。だから森がこんな状態になっている……なんてことは一族として経験のないことなのだろう。

 さあ、ワーグたちが出てきた。
 第3話、オーク達に飼われていたワーグと顔が全く違う。オーク達が所有しているワーグ達は品種改良されまくっているから、こっちのほうが野生のワーグの顔なのだろう。

 歯並びがよくわかる場面を見てみよう。牙の一部が口の外側に飛び出ている。イノシシの牙のようだが、あれは噛みついたとき、相手の肉をサクッと切り裂く力がある。実際に画像を探してみたが、普通の噛み跡よりも、牙の一撃の方がザクッと深くえぐりこんでいた。下顎の歯も外側に出ていて、こちらも噛みついたとき、相手の肉をザクッと切り裂く役割のある歯だろう。
 なんにしても、「いっそオオカミの方がマシ」といえるくらい凶暴な獣ということがわかる。

 そのワーグ達をバッシーンとやる灰色の人。ワーグ達は驚いて逃げ出す。

 しかし杖を使わず魔法を使ってしまったから、呪いが自分の体に逆流してきた。

 自分の体に取り憑いた呪いを癒やそうとするのだが……。なぜか腕が凍り始める。
 これはなんだろう? あの魔法は炎系だったのだろうか。それとも、氷系の属性を持つ魔法使いってこと? そのうちわかる描写があるかも。

 凍り付く灰色の人の腕を掴んでしまうノーリ。ちょっと無理矢理っぽい描写になっちゃってるね。
 これは「灰色の人の腕が凍り付いている! 早くこの水から出してあげないと……」という感じで掴んだ瞬間。でももうちょっと早く掴まないから、描写としてちょっと変な感じに見えてしまっている。

 さて、まだ見えてこないところが一杯あるのだけど……。第5話はここまで。気になる謎の答えはいつだろうか……。

次回


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