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#映画

4月4日 『マトリックス』の第5作目が作られるそうです。その話を聞いて思ったこと……。

 マトリックスの5作目が制作決定!!  ただし、ラナ&リリー・ウォシャウスキーは制作から外れる。「制作総指揮」に名前を入れるそうだが、これはたぶん、名義だけを置いて制作に参加しないやつだ。ウォシャウスキー姉妹は制作には触れないのだろう。 (名前を置いておくだけで、権限は発生するので、変なモノを作らせないくらいの抑止力にはなる)  最初の『マトリックス』の頃を思い出そう――。  あの頃のウォシャウスキー“兄弟”は凄かった。その前作である『バウンド』からすでにキレッキレだった

2月6日 映画『スーパーマリオ』を見ながら、ゲームの映画化の歴史に想いを馳せる。

前回  この記事を書く前日、『映画感想 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を書いたのだけど、そこでの書き漏れ、というか作品の外枠の話をするので、別の章を設けることにした。  長くなりそうだったしね。  話は「なぜ今になってようやく『スーパーマリオブラザーズ』は映画になったのか」あるいは「映画にすることができたのか?」という話。 実写版スーパーマリオはなぜああなってしまったのか? 話は1993年、実写版『スーパーパリオ 魔界帝国の女神』の頃に遡る。  ここからはW

11月20日 イノベーションと人数規模の関係性

 11月に鳥好きおじさんであるジャレド・ダイアモンドの本『銃・病原菌・鉄』を紹介したが、その本をネタにしたお話しをもう少し掘り下げていこう。今回のお話しは「人数規模」と「イノベーション」の関係性の話。  まず大前提として共有しておくべき認識を示しておこう。私たちは文明都市に暮らす人間と狩猟採取民の原始人とを見比べて、「きっと遺伝子的な違いがあるのだろう」と思い込む。文明人は遺伝子的に優秀であるから、文明都市を築き、それに順応した生活を送れるのだ。原始人は文明人と比較して、遺

10月17日 台湾のあまりにもドス黒い強姦事件 映画『無聲』が暴く闇

 今回紹介する映画は、2020年の台湾映画『無聲 The Silent Forest』。台湾の聾学校で実際に起きた凄惨な性的虐待事件をもとにした映画だ。監督はコー・チェンニエン。台湾出身の女性映画監督で、作品が日本ではあまり紹介されていないが、これまで社会派ドラマを手掛けてきたようだ。映画の制作は『無聲』が初挑戦で、この作品は台湾主催の映画賞である第57回金馬において新人監督賞とオリジナル脚本賞にノミネートされた。ここでは惜しくも賞を逃すが、最優秀新人男優賞受賞、最優秀サウン

5月22日 片渕須直監督最新作タイトル発表

映画『つるばみ色のなぎ子たち』 題名公開映像 | The Mourning Children Title Release Teaser Trailer(2023)  タイトルは『つるばみ色のなぎ子たち』。  ……「つるばみ色」の「なぎ子」ってなんのことだろう?  ネットで検索をかけてみると、「つるばみ」は「橡」と書き、ブナ科コナラ属のクヌギの古名で、その実であるドングリや樹皮で染めた色のことを「つるばみ色」と呼んでいた。  つるばみによる染色は、媒染によって色が変わるのが

3月28日 長編商業アニメはアートじゃないのか?

 3月17日から22日までの6日間、新潟で「新潟国際アニメーション映画祭」なるものが開催されていた。  コンペティション部門審査委員長を務めたのは押井守監督。この映画祭への応募条件は「40分以上のアニメ作品」であること(手法は問わない)。つまりテレビシリーズではない劇場公開作品を審査し、顕彰しあうことを目的とするイベントとなる。第1回は成功といえるくらい盛況だったらしく、世界各国からたくさんの作品が集まり、それ以外でもイベントとして上映された作品は30本にものぼる。他にもクリ

2月13日 AIチャットで遊んでみた

 Facebookの友人にAIチャットの存在を教えてもらって、遊んでみた。  「ChatGPT」っていうんだけど……みんな知ってた? 私はぜーんぜん知らなかった。世界中で大騒ぎになっていたみたいだったんだね。私はそういうのぜんぜん知らなかったので、知らない立場でAIチャットを遊んでみて、そこで思ったことをまとめてみることにする。  まず「ChatGPT」って何よ? という話から。私同様、「知らんわ」って人もいるでしょうから。  ChatGPTとはOpenAIが開発したチャ

2月13日 映画感想文でネタバレまで書く理由

 いつも映画を視聴し終えると、一般のレビューをちらっと見るのだけど、 「よくわからなかった。☆1」「何をやりたいのかわからない映画だった。☆1」  みたいな雑なレビューが一杯見かける。  そういうのを見るたびに、 「ちょっと待った! これ面白いよ! ちゃんと見ると面白い作品だよ!」  とか思ってしまう。  すると、「ああ、私がちゃんとした《解説》を書かなくちゃいけないんだな」……いや、どう考えても素人である私がそんなものを引き受ける理由はないんだけど。でも性分なんだろうな。「

7月7日 「○○を見てない奴は人生の半分損してるわ~」というマウント

 ラジオでこんな話題をしていた。 「○○を見てない奴は人生の半分損してるわ~」  という言葉がある。  あー、いるよね。こういう言い方をして、「それを知っている俺スゲー」みたいな人達。映画でもアニメでも音楽でもグルメでも、こういう言い方をするやつは絶対にいる。  でもこの言葉の内実はなんなのか。どうしてこう言いかたをするのか……を見ていこう。  まず私は……言わないかな。というのも、映画の場合、「その時」でないと、それがどんなにすごいのか、ショックなのか、が通じないから。

6月13日 久しぶりに庵野秀明ギャグが見たいんじゃ~! 巨匠達はみんなギャグの名手だった。

 あぁ~、久しぶりに庵野秀明ギャグが見たいなぁ……  テレビシリーズの『エヴァンゲリオン』第9話、『瞬間、心、重ねて』では使徒にすっとばされたエヴァが『犬神家の一族』状態で地面に埋まり、そこにリツコのコメント「無様ね」。……あのシーンは最高に笑えたなぁ……。  初期の『エヴァンゲリオン』は忘れられがちだけど、笑えるシーンは一杯あった。そういえば、テレビシリーズが終わった後、ドラマCDが出たのだけど、あっちはもっとすごかった。予算がカットされてしまったために、BGMがすべて声

5月19日 ドラえもん映画を5作品見終えて

 楽しかった。  やっぱり『ドラえもん』はいいものだな……と改めて認識した。  冒険物語はどんなキャラクターが、どんな葛藤を抱いて、どんな異世界を旅するのか、が重要になってくる。そこまで物語を構築したり、キャラクターを移動させるのは大変だけど、『ドラえもん』は秘密道具の力でさっと物語作法上の問題を解決してしまう。私たちがのび太たちキャラクターをよく知っているということも大きい。物語の前提となる世界観構築の問題をさっとショートカットし、秘密道具の力でパッと異世界へ旅立ってしま

4月14日 「神と人間」の時代から、「人間と人造人間」の時代へ。人間はロボットに憎まれ、いつか神になるかも知れない。

 数日前に『メアリーの総て』の映画感想文を書いたのだが、そこからちょっと外れるけれども関連のあるお話をしよう。  『メアリーの総て』の作中、スコットランドの田舎の風景を前にして、とあるお爺ちゃんが「神との一体感を感じる」みたいな台詞をいう場面がある。それに対して、メアリーは「時代遅れだわ」みたいなことを言う(正確な台詞はこうじゃなかったけれども)。  西洋においては「神と人間」という関係性があり、これが絶対的なものであって、だから人間は神に背いて自ら神となる行為、つまり「人

3月23日 片渕須直最新映画制作スタート!

片渕須直監督新作 紹介映像第一弾 2022年3月22日  片渕須直監督最新作……の、制作がスタートしましたよ、というお知らせだ。よくよく見ると、タイトルの発表もまだない。じゃあ、完成まであと2~3年くらいかかるかな。  次回作として「平安時代」をテーマにした何かを制作する……という話は『この世界の片隅に』に関するドキュメンタリーにも出ていたので、あの作品の構想が固まり、資金集めやスタッフの招集も完了した、というところで正式な発表となったのでしょう。  舞台は平安時代の朝廷、

1月13日 『ラ・ラ・ランド』~ミュージカル映画は難しい……。

 『ラ・ラ・ランド』を観た。実は映画の中でもっとも苦手ジャンルはミュージカル映画。それで「私にはミュージカルは難しいんじゃないかな……」と避けていたのだけど、まあ他に観る映画もなくなってきたし、大ヒット映画だから、一応観ておくか……みたいな感じで視聴。  それで、やっぱりミュージカルは私には難しくて、見終えた後もこりゃガッツリとした感想文は書けないな……。書こうと思ったら、あと3回は最低でも観なくちゃいけない。それはしんどいので、今回は簡単感想文。  ネタバレ全開です。