Facebookの友人にAIチャットの存在を教えてもらって、遊んでみた。
「ChatGPT」っていうんだけど……みんな知ってた? 私はぜーんぜん知らなかった。世界中で大騒ぎになっていたみたいだったんだね。私はそういうのぜんぜん知らなかったので、知らない立場でAIチャットを遊んでみて、そこで思ったことをまとめてみることにする。
まず「ChatGPT」って何よ? という話から。私同様、「知らんわ」って人もいるでしょうから。
ChatGPTとはOpenAIが開発したチャットボット。OpenAIとは営利法人OpenAI LPとその親会社であり非営利法人OpenAI Inc.が所有する人工知能研究所のことである。OpenAI自体は2015年サンフランシスコにて設立。イーロン・マスクやサム・アルトマンらが資金提供した(イーロン・マスクは2018年に役員を辞退したが、資金提供だけは続けている)。
ChatGPTは人間の自然言語を解読し、人間にとって自然に思える回答を返してくれるというシステム。ChatGPTが対応できる「話題」は人間が考えつくあらゆるものが可能で、音楽、小説、脚本、詩、歌詞をオリジナルで作れて、プログラミングやデバッグもできたりする。
サービス開始は2022年11月30日。現在はすでに100万人のユーザーを確保しており、後に有料化すると発表している。
(Wikipediaより)
ってな感じなので、まあ実力拝見しましょうか。
おお~!
いや、これは素直に感心。凄いよ。すっげぇ便利! いいなぁ、これ。
これまでだったら「フォトグラメトリ」について調べようと思ったら、検索窓に「フォトグラメトリ 基本 費用」といったキーワードを入れて、出てきたサイトを一つ一つ見て、「いや、これじゃなかったな」「このサイトもイマイチだったな」……と探している情報にぴったりのサイトを探すのに結構時間をかけていたのだけど、ChatGPTだったら一瞬で答えを出してくれる。
原理的なものは多分、ユーザーが書いた文章を読み、最適だと思われる答えをグーグル検索をして探しだし、その後文章として整理して出している。こういうプロセスを一瞬でやれる……というものだろう。
人間が何か調べるときも同じようにグーグル検索して、出てきたサイトを一つ一つ見て、知識を少しずつ集めていく……という感じにやるけれども、ChatGPTはその手間をパッと省いて最速で答えを出してくれる。
それを考えるとすげー便利な道具だけど、しかしそれゆえに世界的な騒動を起こしている……という。というのもこんな便利すぎる道具が出てくると、失業する人が大量に出てくるんじゃないか……と言われているからだ。
こういうライター仕事や評論……要するに文字書きの仕事はまるごと喪われるのではないか……という不安。さらにChatGPTは小説や詩を書いたりもできるので、そういう仕事も奪われていくんじゃないか、とも言われている。
なるほど。
でもこういう新しい道具が出てくると使ってみたくなるのが人情。試してみましょう。来月公開予定の映画感想文をChatGPTに一部執筆してもらいましょう。
次が私が書いた、実際の映画感想文の冒頭。
ぶっちゃけ、私が書いた映画感想文って基本的にWikipediaに書いていたものの切り貼りしたもの。AIとやっていることは実は一緒。私が書いたもののほうが「情報量」という点では勝っているけれども、どっちが読みやすいか、というとChatGPTというのが事実。
ChatGPTに書かせたものをブログに載せてもおそらく誰も気付かないだろうけど……。でもこれだと私の映画感想文には使えない。たぶん、ごく普通の人が読むようなネットニュースだったらOKが通るんだと思うけど、私のブログだともうちょっと情報量の密度がほしい。作品の特徴を点々と書いているけど、具体性が欲しい。例えば「抽象的なイメージと現実的な話を組み合わせた物語展開も話題となっています。」の部分も具体的に書いて欲しい。私の場合、そういうのは感想文・本文の方で書くので、冒頭部分は「情報」のみに徹している。すると私のブログではChatGPTの文章は採用できない。
とはいえ、ここまで文章構築できるんだったら、どこかでAIを「アシスタント」として使う可能性はあるかも知れない。だって私は毎日、結構遅くまで漫画制作をやっていて、その後映画感想文を書く……ということをやっていて、かなりしんどい。趣味的なものとはいえ、お金をもらわずここまで1人でやる……ということには「つらさ」を感じている。アシスタントを任せられるものが出てくるんだったら、それを使うというのも手かも知れない。
ではここでちょっとChatGPTに意地悪して、こういう聞き方をしてみた。
日常会話風の砕けた調子で話しかけて、答えが返ってくるだろうか。ChatGPTが出してきた答えはこうだった。
お、ちゃんと答えを返してくれたぞ。
しかし……ちょっと待て。「初音ミク」を豊崎愛生さんが演じている? 『魔法少女まどか☆マギカ』のパンドラ役? 『グリザイアの果実』のシエル・アレクサンドリア? 『うたの☆プリンセスさま』の来栖翔?
待って。待ってくれ。なんかおかしいぞ。
まず豊崎愛生さんの代表作といえばなんといっても『けいおん!』の「平沢唯」、『とある科学の超電磁砲』の「初春飾利」、『めだかボックス』の「黒神めだか」、『この素晴らしい世界に祝福を!』の「ゆんゆん」、『ゆるキャン△』の「犬山あおい」といったあたりじゃないだろうか。特に『けいおん!』の平沢唯が出てこない……というところで不信感。
一応、『魔法少女まどか☆マギカ』や『グリザイアの果実』に出演履歴があるか確かめてみたけれど、Wikipediaには記載が無かった(知っている人がいたら教えてね)。パンドラやシエル・アレクサンドリアというキャラクターについても確認ができなかった。『うたのプリンセスさま』の来栖翔に至っては下野紘さんのキャラクターだ。
その辺りについて突っ込んでみた。
急に下野紘さんに敬称が消えたけど、スマン、ちょっと「素」に戻っちまったんで。他意は無いよ。
初音ミクについても、一つ前に突っ込んだけど、「いいえ、申し訳ありません。豊崎愛生さんは初音ミクを演じたことはありません。」という答えだった。
あれ? なんかおかしいな……。なんでこうなるんだ。
じゃあ、質問の趣旨を変えて、もしも豊崎愛生さんの紹介を記事風にまとめるなら……という趣旨でこんな質問をしてみた。
まず出演作の『りゅうおうのおしごと!』に「柊かがみ」は出てないよね。柊かがみは『らき☆すた』のキャラクターだ。須田亜香里はアニメキャラクターですらなく、元SKE48のタレントさん。もちろん『かんなぎ』の登場キャラクターではない。
出演作がめちゃくちゃ……というのはさておくとして、紹介文はどうだろうか? みんなはどう感じただろうか?
当たり障りがなさ過ぎる……という感じはしないだろうか。これを固有名詞を「花澤香菜」や「雨宮天」や「水瀬いのり」に変えても通用してしまう。この紹介文だったら別に豊崎愛生さんである必要はない。もしも名前のところを「????」にして、「さあこの紹介文はなんていう声優のことを言っているでしょうか」というクイズを出して、正解に行き当たれる人がいるとは思えない。これだとブログに記事を載せることができない。
いやいや、待て。もしかすると豊崎愛生さんの紹介はAIには難しかったかも知れない(こういうのは非常に失礼だけど)。よし、難易度を下げよう。上坂すみれさんならどうだ! 上坂すみれさんは声優界の中でも特徴だらけ。彼女だけの個性が山ほどあって、山ほど語れるフックがある。上坂すみれさんの紹介をさせれば、ちゃんと「上坂すみれさんでしかあり得ない」文章ができるんじゃないだろうか。
えーっと……。
まず「まふまふ」は男性の歌手。それにまた出てきた『うたの☆プリンスさまっ♪』の「来栖翔」。だからそのキャラクターは下野紘さんだってさっき突っ込んだだろ! 確認してないけど、他のキャラクターたちも実在するかどうかもよくわからない。
それに文章内容もやっぱり当たり障りがなさすぎる。どこにも「上坂すみれと言えば」という情報が載ってない。誰でも通用しそうな文章構成になってしまっている。
うーん、上坂すみれさんほどの特徴がありすぎる声優でもこういう感じになっちゃうか……。情報の内容も怪しいところが多く(なにしろ出演作が全部間違っている)、AIチャットを信頼しすぎる……というわけにはいかないな。
もうちょっと声優さんについて話題を投げてみよう。
中村悠一さんについて。最近YouTube動画『わしゃがな』を見ていて私にとって「お馴染みの声優」になりつつあるので、AIにどんな人物なのか尋ねてみよう。
え! まじ!? 『名探偵コナン』の阿笠博士って中村悠一さんだったの!? 意外!!
そんなわけあるか! 阿笠博士は緒方賢一さんだー!!
(中村悠一さんに「ワシじゃよ」と言ってもらわなくちゃ……)
結論。AIチャットは日本の声優情報に弱い。
文章内容も豊崎愛生さんの場合と上坂すみれさんの場合とほとんど一緒。まるでどの声優でも使える「テンプレート」状態。
世間的に大騒ぎされるほど、AIチャットの文章作成レベルは高くない……ということはわかった。
最初に書いたように、AIチャットボットの原理は、こちらが問いかけた内容に対してネット上の様々な情報を参照して、それらしい答えを組み上げている……ということだと思うが、問題なのはその情報が正しいかどうか……という審査をしていない。ちょっと怪しい情報、間違えている情報も審査せずに載せてしまっている。だから微妙にヘンな感じになっている。
知らない知識に関する話だと「おお、スゲぇ!」ってなるけど、でも知っている情報になると「あれ?」となるのは、実は情報内容がそこまで正確ではない……しかし知らない知識はとそれがわかってないから、「ヘンな情報」だと気付けない。そういうことだろう。
でも一応念のため。
たぶんChatGPTは海外製チャットボットだから、日本の情報に疎いんだと思う。というのも、別件でChatGPTにいろいろ尋ねたが、まず海外のサイトから紹介される。例えばクラウドファンティングについて尋ねると、米国発のサイトを紹介してくれた。「日本のサイトではないのか?」みたいに質問しないと日本のサイトが出てこない。そういう理由で、たぶん日本語の読み取り自体が苦手なんじゃないか。それで日本の情報となるとどことなくヘンな感じになる……そういう感じではないだろうか。
(試しに私の書いている“このブログ”をChatGPTに読ませてみた。すると「日本語読めませぇーん」という回答が返ってきた。やはりChatGPTは海外製。日本語は難しい。だから日本の情報ほどあやふやになる。そこは日本の技術者、頑張れ。やはり日本語メインのAIチャットボットを作らなくちゃだめだ)
それでこういう質問をしてみた。
ハリウッドでもっとも有名な映画監督……といえばスティーブン・スピルバーグでしょう。彼だったらいい感じに紹介してくれるはず。
AIの答えはこうだ!
スティーブン・スピルバーグは米国の映画監督、脚本家、プロデューサー……おお、いいぞ。代表作は『ジャーニー・トゥ・ジャパン』……ってなんだ?『エ.T.』は何のことかわかりづらいが、最初の執筆時英語で出てくるのだが、そこで『E.T.』のことだとわかった。『ジュラシック・パーク』『インディ・ジョーンズ』は正解。『ショーシャンクの空に』……ってスピルバーグ関わってたかな。フランク・ダラボン監督作品だけど……。私も疑心暗鬼になって確認するけど、スピルバーグはスタッフリストには入ってなかった。
うーん、やっぱりAIの言うことはあまり信用できないみたいだね。
次回に続きます。
次回