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人は死に、ただ、もうその人に会えないという寂しさ

人はいつか死ぬ。男の人生折り返しが40歳だとすればとっくに折り返した僕であったけど、次第に周囲で凶報が増えてくるようになった。ふと…ずっと大事に思ってきた人に会えないまま、その人が亡くなっていく怖さを思って怖くなり、気持ちの整理の為にこの文章を書いている。


同い年の友人の死

先日、小学校・中学校が一緒だった友人が死んだ。
彼とは子供の頃よりも成人してからの方が付き合いが多かったと思う。
良い意味でも悪い意味でも目立つ男だった。僕と同い年だったから48歳だったのか。早すぎる死に胸が痛い。心からの冥福を祈ってる。

彼の死を知ったのはFacebookだった。死んで2か月近くが過ぎてたから僕は葬儀にも行けない。会うたびに携帯電話の番号が変わるような男だったから、連絡もままならない。二人目のお子さんが生まれて挨拶すら行ってなかった。
彼が声をかけてきたのはいつの事だっただろう。たしかFacebookのDMか何かだったと思う。
「お前、小学校の卒業式でゲームプログラマになりたいって言ってたじゃん。夢かなえたんだなーって思ってた」と。そのころ、僕は開発者をやってた。ゲームプログラムでは無かったけど。
よくもまぁ、他人の夢なんか覚えてるなーって思ったら、彼は言った。「実は俺もプログラムかじってみたんだわ。無理だったけど」
そう笑う彼の悪気の無い笑顔がとても魅力的だった。

彼の死は少なからず衝撃を与えた。先輩とか恩師とかの訃報は慣れてきたが、同世代で近しい人の訃報は僕をナーバスにした。

最初の彼女の話~しらないうちに消えてた彼女

ちゃんとした最初の彼女は高校生の時だった(ちゃんとしてないのは何だろう?)。
あの時の僕は間違いなく狂っていた。
あんなに色恋に浸れた(爛れた)時期はあの頃の特権だと思ってる。あの頃にああいう時期を過ごせないと、中年の不倫とかなったりするのかな??
彼女の事はRと記す。確か小学生の頃からずっと同じニックネームだったと聞いている。

Rは、同世代の未熟な僕に多くのモノを与えてくれた。当時の同級生の女子たちが派手でお金のある大学生や社会人と付き合ってる中で、Rは何もない僕を選んでくれた。そして、女の子を大事にすることを教えてくれた。

別れは仕方なかった。
Rが熱をいれた趣味…コスプレに対して僕が納得できてなかった。進学し環境がかわり、自分と一緒にいれる時間がどんどん減っていく事に耐えられなかった。僕が未熟だったとしか言いようがない。悔いても悔いきれないが、この辺りの気持ちはすでに消化はできてる(時間はかかったけど)
その後、何度かRを街で見かける事もあったが、話しかけることすらはばかれた。

ただ、当時…ネット初期、同じころに僕もRもホームページをもっていた。見たらストーカーみたいで嫌だったけど、2~3回は見たことがある。Rは、ロリータ系やゴシック系の服で撮影とかしてたし、コスプレでもいろいろ知名度はあったぽい。検索エンジンで検索しても結構彼女の名前を見かけることができた。

僕も家庭をもち(風の噂で彼女の結婚は比較的はやかったと聞いている)、日々の雑事に翻弄され、たまにRの事を思い出す事はあっても、自分の生活を守ることで必死だった。

ところが、先に書いた友達の訃報を聞いた後に思ったのが、Rの事だった。別に今更未練があるわけじゃない。今、一番大事なのは家族だし、妻だし、ね。
でも、高校時代の彼女は家族と比較にならないとはいえ特別な存在。そんなRのホームページを10数年ぶりに検索しようと彼女のハンドルネームをいれてみた。

検索結果が出てこない

いろいろな方法で試してみたが、検索がまったくといって出てこない。Rのホームページすら出てこない。当時のコスプレ雑誌なり、何なり出てきてもおかしくないはずなのだが何もないのだ。SNSの検索も出てこない。僕と同い年の彼女だから、もうコスプレとか引退しててもおかしくないが、全く最初からいなかったように跡形もなくなっていた。

いろいろ嫌な予感が頭をよぎる。
もし、死んだ…としても、ここまで徹底的にネットから姿を消す事は考えにくい。コスプレ界は人間関係が難しい世界とも聞く。当時のにちゃんねるでも、Rは支持も多い一方で多くの反発もあったようだが、そういうのに嫌気が差したのか。家庭がうまくいってなかったのか…何も分からない。
分からないけど、ここまで徹底して情報が消えてるのは解せない
何も分からないから、ただただ怖い。

ネットアーカイブという昔のログをとってあるサイトで、Rのサイトを見てみた。2013~4年ぐらいまでは残っていた形跡があるが更新はほとんどされていなかったようだ。閉鎖するとの告知もないままホームページは消えてしまった。プロバイダに付随してたホームページサービスだったから、プロバイダを変えれば消えるが、移転することも出来ただろうに…ただただ謎しか残らない。
そういえば、R、謎解き系のイベントも好きだったけど、こういう謎のまま消えてしまうというのも何とも辛い。

探そうと思えば、コスプレとかしてる知人や探偵とか使う手もあるだろう。でも、そこまでするとRに失礼になる可能性がある。

で、何が言いたいかというと…本当にヤキモキしてて、それを書いたら少し落ち着くかな…と思って、このnoteを書いてる。未だに、どうすべきなのか分からず途方にくれてる。

それでも、今を生きる

とはいえ、僕にできることは、家族を守って今を生きてくしかないということだ。苦しくて辛くてしんどい事が山積みでも、死は解決にならない事を僕は知ってる。
なので、辛いなーと思ったら脳内に筋肉芸人をイメージして「いーきーるっ!」と自分を励ましてる。

ところで、自分のサイトをほじくってみたら、20年前の写真がいくつか出てきた。ちょっと恥ずかしくて、ちょっと嬉しい。

いろいろやってたんだなぁ。

若いころはいろいろやるのがいい。年をとったら恥ずかしくてできんからね。今は子育て(特に中学受験)で忙しいけど、落ち着いたらゆっくり日本をまわったり、船であちこちのんびり行ってみたいなー。
まだまだ、生きないと!(老後に備えて、お金を自動で増やせるように頑張らないと!やることいっぱいだ!!)

友人の死を悼み彼のLINEに最後のメッセージを送ってみる。奥様が気づいて既読になる日はくるだろうか。彼が僕を応援してくれた日々を思いながらノンアルコールビールを飲み干した。

Rも元気でいてくれれば、それが知れれば満足だけど・・・彼女は僕の望みに応える義務もないし、そもそも、これだけ多くの人の中で彼女を見つけることはもう無理だろう。せめて、今、そばにいる人…家族のことは後悔のないように大事にしていきたいと思う。


追記(2023/07/25)

幾つか読みづらいところを修正

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