新型コロナの面会禁止下で介護者家族ができる3つのこと(介護メディアに掲載)

皆さまこんにちは。フリーライター、メディア評論家、時折テレビ番組でのコメンテーターとして活動している奥村シンゴです。
収束を見せ始めた新型コロナウイルス感染症ですが、多くの高齢者施設では、予防の観点から緊急性の低い場面での面会を禁止しています。
利用者家族からすれば、「1日でも早く顔をみたい」、「ご飯を食べさせたい」と思っている方が多いでしょう。
私も30歳過ぎから6年間にわたって認知症の祖母を在宅で介護をしていましたが、2019年の1月に祖母は精神科病院へ入院。
私は毎週、祖母に面会で差し入れや食事介助、一緒に散歩をしていたので、祖母の様子が気になります。

そこで、施設に入居している方がいるご家族ができる「3つのこと」を、体験談とともに紹介したいと思います。

「緊急事態宣言解除後も差し入れは慎重に」

面会禁止で食べ物を差し入れする家族が増加
新型コロナ感染症の流行により、介護施設や病院にマスク、アルコール消毒液、防護服などが不足している状況を知った方が、それらを寄付するニュースが連日流れていました。
それに触発されてか、「食べものを差し入れする利用者家族が増えた」という声を介護関係者から多く聞きます。
ご本人を大切に思っている家族であれば、「少しでも美味しいものを食べて欲しい」という気持ちから居ても立ってもいられなくなり、介護施設へ食べものを届けているのでしょう。
ですが介護施設では、病状などから判断してある程度決まった献立の食事を定期的な頻度で取ることは少なくありません。
物資のやり取りは集団感染リスクを高める
私も新型コロナの感染予防のために面会が禁止になった直後、1度だけ祖母に栄養価の高いヨーグルト1週間分やプリンなどを差し入れました。
しかし同時に、「私はこのまま病院へ差し入れを続けていれば、新型コロナ感染のリスクが上がるのではないか」と不安な気持ちに…。
そこで、祖母が入院する精神科病院の担当者へ聞いてみると、返答は「奥村さんのご判断にお任せします」とのこと。
普段であればその方は、「面会でご家族の顔を見られるのは、ご本人にとって一番の薬です」と言ってくれていました。
しかし消極的な今回の返答から、「緊急性の高いケースを除いて、病院には来て欲しくないのだな」と解釈しています。
念のため、高齢者施設とよく関わりがある内科の主治医に相談すると、「絶対に止めておくように」と注意されました。
続けて、「新型コロナは長時間生存すると言われている。万が一差し入れした食べものにウイルスが付着していれば、集団感染を起こしかねない」と警鐘を鳴らしています。

残念ながら、実際に高齢者施設で集団感染(クラスター)が発生し、死者も出ています。
厚生労働省によれば、緊急事態宣言が先に出された7都府県で休業した介護事業所は、デイサービス(通所介護)とショートステイ(短期宿泊)を行う事業所は、現在909事業所に上っています。

しばらくの間は施設内で食べものを購入してもらうのが最善
面会も差し入れもできないとなれば、ご家族には何ができるのでしょうか。
主治医によれば、「何か助けたいという気持ちはあったとしても、安全な状態が確認できるまで、ご家族はできるだけ何もしないのが一番」とのことです。
そのため、私は祖母に会いたい気持ちをグッとこらえています。
2020年5月25日(月)、全国で緊急事態宣言が解除されましたが、新型コロナ感染のリスクが完全になくなったとは言えません。
介護施設でおやつなどを購入してもらうのがベストと言えます。
地域や施設によると思いますが、面会が全面的に許される日も遠くはないでしょう。
その際は、ご本人と一緒に外に出て散歩をしたり、ご飯を食べさせたり、ご本人が好きな食べものを差し入れしたりなど、ご家族にしかできない介護をしましょう。
「日時や回数に注意して、健康状態の確認電話を行いましょう」
面会が禁止されている施設の場合、ご家族ができることはご本人の健康状態を確認する電話をかけることだと思います。
介護施設の職員の方は、緊急事態宣言が解除された今でも、新型コロナに感染しないよう努めるのと同時に、利用者の命を守るために日夜闘っています。
そのため、電話をする際は曜日や時間帯、回数に配慮しましょう。
施設へ電話する際の理想的な日時や回数
曜日:平日
時間帯:14時~16時ぐらいの間
回数:月2回程度
午前中はおむつ交換や入浴、リハビリなど、施設職員の方はバタバタと忙しく仕事をしていることが多いです。
加えて、平日の夕方以降や土・日・祝日は職員の数が大幅に減ります。
そのため、平日の昼間の14~16時に電話することをお勧めします。
とはいえ、最低でも月2回程度は、電話でご本人の健康状態について確認するようにしましょう。
私はゴールデンウィーク前の平日14時頃、1ヵ月ぶりに祖母のいる精神科病院へ電話すると、「まったくお変わりありませんよ。ご飯も比較的よく食べています。安心してください」と、施設の看護師の方から報告を受けました。

「職員に感謝の気持ちを伝えることを忘れずに」
施設に対して、入居されているご家族のことを大事に思っている気持ちを伝えることは大切です。
また同時に、「ご多忙の中、私どもの家族をコロナはじめ命を守って頂きありがとうございます。職員の皆様もお体に十分お気をつけください」と、感謝の気持ちを一言添えましょう。
「オンライン面会も積極的に活用を」
最近、ビデオ通話やスマートフォンのアプリを使用して施設と家族の自宅をつなぐ「オンライン面会」が普及し始めました。
私の住んでいる地域の高齢者施設でもオンライン面会を行っています。
ある施設では、入居しているご本人がオンラインを通じて数ヵ月ぶりに家族と再会を果たし、20分間ひたすらに涙を流し喜んでいたそうです。
心強い施設の職員がいても、ご本人は不安や孤独を感じていたのでしょう。
また、オンライン面会ではなく携帯電話でご本人と話せるようにしている施設も増えているようです。
施設側にオンライン面会や携帯電話での通話を打診してみるのも一案です。
ただし、認知症の方や車椅子の方など、職員による日常的な見守りが必要な場合も多かったり、中にはインターネットなどの設定に慣れていない施設もあります。
あくまで施設側に提案ベースで日頃の業務に支障を来さない程度でお願いし、無理なら素直に諦めましょう。

詳細 https://www.minnanokaigo.com/news/kaigo-text/home-care/no148/

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