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“いじめっ子”について本気で考察する試み②~いじめっ子が誤解してること~


【いじめっ子が誤解していること】

「なんで人を虐めてはダメなの?」
「なんで人に迷惑をかけちゃダメなの?」
「みんなそう言うけど、逆に何でそれがダメなのか説明してよ」

こういった行動を、特に悪いと思っていない人もたくさんいます。
聞かれた人の一般的な回答はというと、

「常識的に考えてダメに決まっているから」
「自分がされて嫌なことは他人してはダメだから」
「自分のしたことは全部返ってくるから」
「被害者はもちろん周りの人も悲しませるから」
「もし過剰に傷つけてしまった場合は犯罪になるから」

でもいじめっ子気質の人はそんなことを言われても引き下がりませんよね。
「じゃあ自分はそんなこと一切気にならないからしてもいいよね」なんて返されるのがオチかも知れません。

そこでふと疑問なのですが、「なぜ虐めてはいけないのか」という点に行きがちなのでしょうか。
例えば別の視点からすれば、「あなたが同じような事をされないのは何故なのか」を考える人は少ないですよね。
相手が弱いから?身近に権力者がいるから?報復が怖くて何もできないから?
それも正解だと思います。
でも他にも理由はありますよね。
例えば、虐める加害者が痛い目を見なくて済んでいるのは、その周りにいる人達のおかげと考えた事はありますか?

何故なら、そこにいる人達は特に他者を虐める欲も必要性も無いし、誰かを虐めてやろうかな~とか考えて過ごしてません。なるべく暴力的なことや争いを避けたいと考えている。
だからこそ無駄にぶつからないよう気をつけているし、万が一互いに地雷を踏んだときは、冷静を勤めながら話し合いで解決しようと試みます。
そんな風に、最低限の礼節を弁えている人達だからです。
親しくなっても礼儀ありとし、お互いが迷惑にならない程度の線引きや節度をわきまえることにより、社会的に安全で安定している整った状態を意識しながら過ごしています。

そんな中で学校にしろ会社にしろ、わざと大声を上げて他人を罵ったり、対象の持ち物を盗んだりダメにしたり、周囲に聞こえる声で不平不満や愚痴ばかりをまき散らす。必要以上に部下を怒鳴りつけたり、わざわざ話しかけてきて毎日皮肉を言ったり、集団で笑いものにしたり、人を卑下することで自分の優位性を計ったりする。

その対象にされている人が一番苦痛ですが、その周りの人も正直やめて欲しいのが本音です。
特に周囲を巻き込み、「自分と同じ意見だよね」「あいつ気持ち悪いよね」と一緒になってあの人も自分と同じ意見だなど触れ回り、自分一人だけじゃ無いと言質を取り正当性のアピールをするため、日頃の会話でもかなり神経を使います。

周囲のみんながまるで竹を割ったような性格なら、「あなたが言うほど私は興味がない」とスッパリ言えるのかも知れませんが、自分への被害も考えたらなかなかできない人が多い。
難しい問題ですが、ただ見ている人も同罪と言われるのはこういうことですよね。

結論から言えば、嫌がらせや人の悪口や陰口に便乗しなければ良いだけの話なんです。
便乗すること無くその不平不満をやり過ごしていたら、高い確率で今度はあなたが目をつけられて陰で「良い子ぶってる」とか始まるでしょう。
でもそこから更に陰口に同意を求めても反応する人がいなくなったらどうなりますか?最終的にその人は一人で孤立します。

結局、いじめっ子はいじめられっ子と表裏一体なんですよね。

ある日突然、今まで黙っていた周囲の人が「秩序を乱すな」「せっかく私たちが平穏に暮らしているのに」と、いじめっ子に対してナイフを突きつけたらどうなるでしょうか。
誰もやり返さないから「自分は強い」と勘違いをしているかも知れませんが、それは結局のところ周囲にいる人が暴力的なことを嫌い、できるだけ争いを避け、平穏に暮らしたいが為に助かっているだけなのです。

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【人を殺すことができる国】
この話を書いていたときに「キノの旅」の「人を殺すことができる国」のエピソードを思いだしました。


20年ほど前に書店で手に取ってから5巻くらいまで読んでいた作品なのですが、ちょっと前にアニメでリメイクされたみたいですね。新アニメにはこの話が収録されています。小説を買うよりアニメでサラッと見てみたい方は、Dアニメストアやプライムビデオなどで視聴可能です。興味があれば見てみて下さい。

【あらすじ】

旅の途中、キノとエルメスは若い男と出会う。すぐ先にある国に移住するつもりだという若い男の話によると、そこは法律で殺人が禁止されておらず、凶悪な犯罪者も逃げ込んでいるらしい。しかし、その国に立ち寄ったキノとエルメスが目にしたのは、穏やかに暮らす人々と平和な街並みだった。

この話のなかで一番印象に残った言葉は
「"禁止されていない"ということは、"許されている"ということではないんだよ」

因みに私はノスタルジックなタッチ、仄暗さ、複雑に絡む糸のような雰囲気、でも少し前向きになれて旅に出たくなる気持ちにさせる旧アニメ版が大好きです。


次回は“いじめっ子”について本気で考察する試み③です。

いじめられる側の人が「勉強」や「仕事」についてどう感じているか考察していこうと思います。


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