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日本人と言霊について語る

日本人なら誰しもが絶対に聞いたことがある「言霊」という言葉。
なんとなくはわかっているけれど、詳しく説明してくれと言われたら言葉に詰まるものですよね。
言霊に関する書物は沢山あり、読めば読むほど様々な見解があり奥が深いのですが、それらをまとめて私の見解もまじえて解説しようと思います。

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【言霊とは?】
簡単に言うと「言葉には力が宿る」というものですが、恐らく「何故力が宿るとされるのか」という点が疑問なのだと思います。
実は、それを一言で説明するにはあまりにも難解なのです。
そもそも「言霊」という概念が誕生したのは「万葉集(奈良時代末期)」からだと言われています。

“日本の国は言霊の助くる国”
“言霊の幸はふ国”

というような言葉が記されており、その時代から既に言葉には霊的な力(神秘的な、神聖な)が宿ると考えられていました。
その後の歴史で空海が真言を通して言霊の魅力を伝えたり、江戸時代には山口志道や平田篤胤といった沢山の国学者、神道家、思想家たちにより研究されてきました。
そんな中である共通点が浮き彫りになってきます。

【言霊とは「声音(コエ)」にある】
言葉とは、人類誕生とセットになって生まれたわけでなく、言葉の始まりは発生するだけの「音」でしかなかったのです。
幼い子供をイメージするとわかりやすいですが、思考・感情・意思・要求などを伝える為に、身振り手振りを加えて声を発します。

言霊の力の根源とは、声音(コエ)にあるのではないのか。
つまり「言葉が力をもつ」というより「言葉に力が込められる」ということです。

声とは「音」であり、響きの作用、音波として存在しています。
空海は「五大にみな響きあり」と言いました。
それは宇宙を構成する地水火風空の五大要素はみな、人の耳に届かないレベルの音響を発しているということ。「音」の持つ力に焦点を当てているのです。
川面凡児の言霊論では、「言語の内外を問わず、実質あり、実体ある微分子微原子を称して“言霊”と言ふのであります」と言いました。
つまり言霊とは「目に見えない粒子的エネルギー」としての存在と捉えられるということなのです。

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【目に見えない神秘を科学的にみてみると・・・】
宇宙は電子や原子のほか、目に見えない様々なエネルギーで構成されています。その殆どが流動する電気の海です。
地球という星は、例えるなら一本の巨大な棒磁石を核に存在しています。液体と固体の金属の核の性質により磁場を発生させながら活動しています。
人間はその身体の半分以上を水分で創られ、微弱な電気を纏って生きています。
思考するとは電気信号であり、人間ひとりひとりがエネルギーを発する基地局みたいなモノなのです。
例えば地震の震動が震源地から遠くまで伝わるように、声や音の波動も、精神的にも物理的にも確実に他者へ届きます。その響きを私たちは、気持ちや感情として受け取っています。
音楽を聴いたときにリラックスしたり高揚したりする効果も見られますよね。
「タンパク質の音楽(深川 洋一)」では語りかけることや音楽を聴かせることにより、植物の成長に変化があるという研究結果もありました。

想いというエネルギーの固まりを凝縮し、その「気持ち」を「声音(コエ)」にのせて放たれるとき、言霊として作用しているのでは無いでしょうか。

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【言葉自体に意味は無いのか?】
例えば祝詞や真言の声が、精神や身体に響いて癒しや浄化を与えてくれている感覚を私たちは知っています。祈りの言葉や癒しの言葉に安心し、呪いの言葉に酷く傷つき涙する事もあります。

言葉とは言の葉。
日本では「事(こと)」を伝え語ることを「言(こと)」と言いました。
伝える為の言の一つ一つが結びついたものを「言の端」といい、それが言葉になったといわれます。
その他では「言羽」とも書かれました。言に羽というのは、それこそ放たれるという感じがして面白いですよね。

言語活動において、思考と発声は表裏一体と考えられます。
何故なら実質的に声を出していなくとも、人は思考するとき頭の中で声や言葉を使って思考します。
どんなに寡黙な人であっても、頭の中は皆平等にお喋りなのです。
発言に至るとは、人間の全ての精神活動(意思、想い、感情、思考)が込められて「声」となり、放たれて「言葉」になるのです。

それはまるで形態形成場のように、生物がそのように育つという素粒子レベルでインプットされている情報の集まりではないでしょうか。
言葉やモノの名称などは、自ずと形を浮かび上がらせるように、言語を操る生物に語りかける。
表現し、伝達し、声を発する人に対して自然的に言葉にさせているのではないでしょうか。
人が名付けたというよりも、そう「言わせられている」ものなのかも知れません。
祝詞やお経などは、自己を見つめ内に問いかけ続ける者の精神が、いわゆるトランス状態にまで高まった時に、想いや願いや祈りになって言語として現れたのではないかと考えています。

「言葉に意味が無い」というよりも、霊性を核に持つ人の精神活動と言葉が表裏一体であり、併せて、その発声に至る声の響きが波動のようにあらゆるモノへ影響させる。これが全て結びついて「言霊」となっているのだと思います。


次回は「日本人と言霊」の「音」について、もっと掘り下げてお話ができたらいいな。

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