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平野啓一郎
2015年11月12日 10:00
弁護士によるならば、非常にスムーズなケースらしく、子供も小さいだけに、条件の見直しに関しては、柔軟な内容となっていた。しばらくは、月の前半は、リチャードが日曜日から水曜日までの四日間、洋子が木曜日から土曜日までの三日間、ケンと一緒に過ごし、後半はその逆にするという取り決めで、夏季と冬季の長期休暇も含めて、年間を通じて丁度半分ずつ面倒を看ることになった。ヘレンと再婚し、姉のクレアの家族も近所に住ん
2015年11月11日 10:00
【あらすじ】早苗の偽りのメールが原因で別れた蒔野と洋子は、ふとした拍子に相手を思う。洋子とリチャードはケンという子宝に恵まれたものの、相手を心から信頼し合えずに離婚へ。一年半ぶりにギターの練習を再開した蒔野は妻の早苗から妊娠したと告げられた。…………………………………………………………………………………………… 一緒に過ごす時間が半分になってしまうというのは寂しく、ケンが、リチャードとヘレ
2015年11月10日 10:00
その上で、監護権をどのように分担するか、具体的には養育時間をどう割り振るかといった条件面での話し合いが持たれる必要があった。「弁護士費用も嵩む。数カ月で済む話に、一年も二年も掛けてお互いに消耗するのは、馬鹿げている。僕は、君に余計な負担を強いたくないんだ。だから、合理的に考えよう。」 リチャードは、不倫の咎は自覚していたが、卑屈になる風でもなく、彼があれほど「冷たい」と批判していた洋子の