野口良平「幕末人物列伝 攘夷と開国」 第二話 高山彦九郎(1)
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世界のひびわれの中に、身をもって入っていった人。
これは、米国のとある文芸評論家について言われた表現だが(鶴見俊輔『北米体験再考』)、高山彦九郎を言いあてるのにふさわしい。
彦九郎が世界のひびわれの中に入り、力つきるまで歩きつづけたことは、私たちに何をもたらしうるのだろうか。
高山彦九郎(1747-93)は、江戸中後期を生きた旅行家、そして行動的思想家である。
その活動期は、日本史の時代区分に