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漫画学とドラマ理論第26

 現代の漫画の歴史はこのグラフがほとんどすべてを表していると思います。そんな昔のことなんて知らねえよという人は読む必要はないでしょう。いつの時代も歴史を考えない人はいるものです。いいところ10年ぐらいのスパンでしか脳が働かない小狡い人はいるのです。
 『失敗の本質』という本があります。第二次世界大戦での日本軍を研究した本です。出版してもう30年以上になりますが、経営者や政治家がよく読んでいます。彼らはよく知っています。見かけは変わろうとも人間の本質はあまり変わらないことをよく知っている。たかが漫画作りといっても昔と本質的に変わらない。変わったのはデジタルになったことぐらい。20世紀のジャンプとマガジンの軌跡は、市場を本気で考えるのなら現在も参考になるでしょう。

『北斗の拳』が始まったのが1983年、『ドラゴンボール』が始まったのが1984年。その後、1988年に『北斗の拳』は終了。この辺りで『ドラゴンボール』の天下一武道会の影響が如実に表れているでしょう。これで一気に653万部まで行くのです。ジャンプが大砲で戦っているとしたら、マガジンは小銃で戦っているようなものです。
 しかしマガジンが250万部になった時、心配はなくなりました。何しろ140万部から250万部まで2年半です。しかも編集部が「作れる集団」になったからです。もちろん20人もいるのだから作れない人は多少いる。しかし作れないと恥ずかしいと思わせる体制はできたのです。
 しかし『ドラゴンボール』には本当にマガジンの連中は苦労しました。あの作品がなければマガジンが日本一になるのは5年早かったでしょう。

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