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【読書感想】きみと暮らせば

お久しぶりです。
一ヶ月以上投稿が空いてしまいました。。仕事やら子育てやらドタバタしてましたが、少しずつまた余裕が出てきたので、マイペースに更新いきますね。

今回は、八木沢里志さんの本を読みました。ほっこり系のお話なんですが、実は奥深くて、大好きなストーリー構成でした。
私は、一人っ子なんですが、もし自分に兄か妹がいたら、こんな風なのかなあと色々妄想しながら読み進めて楽しかったです。


あらすじ

十年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、二人は兄妹になったが、五年前に両親は他界。中三のユカリは義母のレシピ帳を参考に料理し、陽一は仕事で生活費を稼ぎ、支えあいながらの二人暮らし。ある日、庭先に猫が現れる。二人は猫を飼い主らしき人へ届けに行くのだが―。のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、陽の光差すような、猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。



心に残った文章5選

もし仕事が終わって、くたくたになって帰ってきても家が真っ暗だったら、とても味気ない気持ちになるだろう。家に明かりがと持っていて、カレー鍋で温まって、朝には好物の卵焼きが入った弁当がある。それはなんと幸福なことだろう。俺はもう少しそのことに感謝してもいいんじゃないだろうか。

きみと暮らせば

帰宅して、ご飯が用意されているというのは、本当にありがたいことですよね。「普通」の生活が送れるということは、一部の方にとっては難しいことでもあります。ですが、私たちはつい、そのことを忘れてしまって、「当たり前」のことに感謝をしなくなってしまいます。
「今更何を言っても伝わらないかな」「恥ずかしいな」ーそう思った時こそ、大切な人や家族に「いつもありがとう」と伝えてみようと思えた文章でした。

陽一はもうどれだけ母に優しくしてやりたいと願っても、一生かなわない。思い返せば、後悔ばかりだ、何度母に心無い言葉を投げつけて傷つけたことか、義父と再婚し、生活も落ち着いて、陽一も年月を経て素直になれるようになったこと、母は事故で何の予兆もなく逝ってしまった。子供のころの俺はバカだった、そんな思いをムサシにはしてほしくない。

きみと暮らせば

その時は「うるさいなー」と思っていても、その人がいなくなってから後悔するんですよね。「あの時、あんな風に言わなきゃ良かった」「どうして○○なんて言ってしまったんだろう」と。
過去のことなんて、どんなに後悔しても、時間は戻ってきません。そう、過去は変えられない。だからこそ、今目の前にある幸せを崩してはいけないと思うんです。
人はいつか死んでしまうけれど、いつ死が訪れるかなんて誰にも分かりません。だからこそ、生きているうちに、やりたいことをして、いっぱい失敗して、経験して。時が経てば、過去の「失敗」さえも感謝できるように、すべての出来事を、プラスに感じられる人間になりたいと思いました。


親父は落ち込んだり悲しんでる暇があったら野を耕せってのが口癖でなあ。親父のことは好きじゃなったけど、あれは正しかったともうよ。お天道様の下で体動かしていると嫌なこともどうでもよくなっちまう。

きみと暮らせば

生きていれば、嫌なことばかり。いいことなんて、ほとんどない。-私は、昔からずっとそう思っています。思い通りにならないことばかり。どうしてあの子ばかり、と相手を妬んだり、自分を卑下することも、しばしば。
ですが、そんなこと思っていても仕方がないんです。「何で私は○○なんだろう」と愚痴っても、状況は変わらない。
落ち込む出来事があった時こそ、体を動かして、気分転換すると、リフレッシュしますよね。悲しいときこそ、前に進もう、と思いました。


ユカリのよいところは、あの頑なさなのだ、と思う。世の中は、きれいなもの、華やかなもの、派手なものほどもてはやされる傾向にあるけれど、ユカリはそういうものに一切惑わされない。ブレるということがない。ときどき一緒に暮らしているこっちが心配になるくらいに。

きみと暮らせば

SNSで、華やかな写真を載せている人をよく見かける時代ですよね。
そのような方々を悪いとは思いませんが、そんな華やかな写真を見て自分と比較してしまう行為は、自分を苦しめるだけ。
「自分は○○だから、他人が何を言おうと関係ない」と、自分の軸をしっかり持つことが大事ですよね。


私、自分のことを不憫とか、可哀そうとかおもったこと一度もないよ。兄さんがいて、種田さんがいて、それでこうして穏やかに暮らせる今の生活が好きだよ、他の誰が何と言おうと、それが私の本心。

きみと暮らせば

とっても素敵な言葉ですよね。他人が何と言おうと、このライフスタイルが好きと胸を張って言える生活であれば良いと思うんです。自分の心が穏やかでいられれば、それで十分だし、他人の人生に口を挟む権利は、誰にもないですよね。他人のことを尊重してあげられる人でありたいと思えた言葉でした。


まとめ

八木沢さんの小説は、今回で二冊目。ほっこり系のストーリーが好きな方には、ぜひ読んでいただきたい作家さんです。
今回は、兄と妹をテーマにしたお話でした。血縁関係がない二人なのですが、表面には出さないものの、絆が強く、素敵な関係だなと思えました。
お互いが、「自分」を持っていて、意見をはっきりと伝えるんだけど、相手の意見は尊重していて。否定はしない。
いいですよね。程よい距離感と仲の良さを保てる関係。
いい意味で、相手に興味を持たない。そして、何よりもお互いを信頼しているからこそ、こんな素敵な関係が成り立つんじゃないかなと、小説を読んでて思いました。
私も、家族と、こんな素敵な関係を築きたいなと思いました。同時に、やっぱり相手に干渉しすぎるのはよくないのかな、とも考えさせられました。

私のように、兄も妹もいない方には、ぜひ読んでほしい作品です。










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