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#note珍百景 暇を持て余したnoterたちの遊び

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「せんせー!noteで変な遊びしてる人たちがいますー!」 見て楽しい、やって楽しい、noteの斬新な遊び方。 この人たち何をやっているんだろう…が永遠に楽しめる。 凹んだときに読…
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#小説

『ミナト植物園』

「別れよう」 突然、告げられた。 長く育む関係ではないと、最初からわかっていた。それでも二年、続いた。 シーツに染み込んだ、外国製のタバコの香り。何度洗っても消えない。甘ったるい洗剤の匂い、太陽の日差し。それよりわたしが求めるのは、あの人のタバコの香りだった。 水曜の夜がぽっかり空いた。木曜日、寝不足の顔で電車に乗り、会社へ出るのが楽しかった。誰も知らない、あの人との関係。二人きりの秘密。 仕事を休んで、反対方向の電車に乗った。あの人が綺麗だと褒めてくれた、真っ白のワ

[実験] 有名小説のタイトルの一部を変えてどこまで面白くできるか?(1)

先日、こんな実験をした。 『誰もが知っているあの小説のタイトルに 「ゾンビ」が侵入したらどうなるか? 』 実験結果は「別の話になる」だった。 よくよく考えてみたら、 当たり前である。 「ゾンビ」なんていう強くて クセのあるワードを引っ張ってきたら、 物語の世界や雰囲気がガラッと変わるに決まってるやん。 (ま、わかっててやったんだけども) そこで、言葉の強さに頼りすぎない 実験がしてみたくなった。 [実験] 誰もが知っている あの小説のタイトルの一部を ちょっとだ

【Letter】 卒業式シリーズ フィクション #ハゲ杯

今、思い出しています。先生の最後の授業の日のこと。 少し人生に行き詰まって、やっと先生の言葉が分かった気がします。 * * * はーい、みなさん、席についてください。卒業式素晴らしかった!本当に立派な姿でした!先生、なんだか嬉しくて寂しくて、涙が出ました! 感謝を込めて、先生の最後の授業を始めます。ホラ、加藤、席についてください。そうです、席に着くと書いて着席と言います。この【着く】という漢字から、今日は漢字について学んでいきます。 ついて離れないという意味で【着】。

呪いの藁人形に幸せな思いをさせて、生まれも育ちも関係ないことを証明した話

こんにちは。天竜川ナコンと申します。 突然ですが、「呪いの藁人形」をご存知でしょうか。 呪いたい相手を想像して、 夜中に釘を打てば呪いがかかる、 といった趣旨のものです。 呪いの藁人形、かわいそう。 単純に、そう思いましたね。 呪いの藁人形として生まれ、 呪いの藁人形として育ち。 それ以外の選択肢はない。 そんなこと、あっていいはずがありません。 なので今日は、呪いの藁人形に幸せな思いをさせてあげたいと思います。 早速、クルマの後部座席に乗せていきましょう。

外出せずにできる「不要不急な夢」を、全て叶えた話。

初めまして。天竜川ナコンと申します。 突然ですが最近、自宅からあまり出ないようにしています。 言うまでもありません。 ウイルスの予防と対策の観点で それが非常に重要だからです。 一方で、フラストレーションも溜まります。我慢して家にいるのは辛いです。 なので今日は「自宅にいないといけない」という事態を逆手に取り、普段やりたくてもできなかった「不要不急な夢」を、全て叶えたい。そう考えたわけです。 1. ストローだけで、人間は水中で何時間活動できるのか 最初の「不要不急

【検証】ディズニーランドは1日で最大何周できるのか

いつもお世話になっております。 天竜川ナコンと申します。 突然ですが、私は 自分の限界を越えたことがありません。 「いつもそこそこやって、おしまい」 そんな自分に嫌気がさしていたのです。 なので今日は、 「開演8:00〜閉園22:00までの間で、ディズニーランドを何周できるのか」 という検証を通じ、 自分の限界を超えたい。 と考えたわけです。 もちろん 他の方には決して迷惑をかけない、 ということは大前提。 普通に歩く範囲内での 限界を目指します。 そして、まだ

【2021もやるよ!!!】#パルプアドベントカレンダー2019 やります

2020/11/2更新: 2020年もやることにしました! 本記事の引用通知、およびこの告知文を以って、前回参加者の皆様への通知に替えさせていただきます。詳細は以下の記事をご参照ください🍑  よくきたな🍑  年末のこの時期になるとnoteとかQiitaとかでアドベントカレンダーってやつやってるじゃないですか。クリスマスまで持ち回りで記事書くやつ。  あれをやってみたいんですよ! クリスマスまであと10日しかないから突貫工事でやることになるけど!  ということでこの記事

とある女性起業家の独演会の記録

 みなさんは信じないかもしれませんが、実は私は、もともと魔女だったのです。 (会場笑)  決して冗談ではありません(笑)。本当のことです。黒猫のしゃべる言葉が聞き取れたりしたのですよ。  私が生まれ育った村では、13歳に達した魔女の少女は、成人の儀式として、村を出て独り立ちしなければなりませんでした。私は決して優秀な魔女ではなく、できることといえば、ほうきで空をとぶくらいのことでした。私は偶然行き着いた海辺のまちで、これまた偶然出会ったパン屋のご主人の家に、店番をかねて

「想像上の妻子」と結婚したら、自己肯定感が上がった話

いつもお世話になってます。 天竜川ナコンと申します。 突然ですが、私は自分に自信がありません。 たとえばこの前、カフェで「オレンジジュース」を頼んだところ、声が小さすぎたのか「ブレンドコーヒー」が出てきた時。 「オ、オレンジジュースを頼んだのですが…?」と言ったのですが、「ハ〜イ?」みたいな高圧顔を店員さんがするので「ブ、ブレンドでもいいですが…w」と、引き下がってしまいました。 そんな毎日ですが、ふと気づきを得ます。 「既婚者からは、自信や余裕を感じる人が多いな」と

継母の連れ子がスヌープ・ドッグだった

 ヨー、ワッサー。俺の名前は遊佐正郎。今年の1月に俺の父さんが政府の高官とウワサの人と結婚した。その名も遊佐(旧姓伊藤)美紀子。  そこまではいい。父さんも俺が高校に入ったことでようやく自分のことに向き合えたって感じだ。でも、問題がひとつある。それは継母の美紀子さん、彼女の連れ子だ。曰く、彼女もバツイチ子持ちであり、そのこともあって父さんと意気投合したようなのだ。だがしかし、その連れ子というのがどうみてもヒップホップMCとして有名なスヌープ・ドッグなのだ。  明らかに人種が違

【短編小説】ハコダテのがごめ    ~読む小説×聴く小説~

「読む小説×聴く小説」おまゆさんと幸野つみとのコラボ企画のために短編小説を書きました! 幸野つみが書いた物語を、おまゆさんが朗読し音声配信します。 また、今回、おまゆさんがとってもかわいい挿し絵を描いてくださいました! 音声配信は、この小説の投稿と同時におまゆさんのアカウントで投稿されます。 音声配信から聴いても構いません。こちらの文章から読んでも構いません。パソコンでウィンドウやタブを複数開いて、聴きながら読むのもオススメです♪ おまゆさんによる朗読 前編↓ おまゆさ

縄文人の俺が弥生人のアイツに土器土器するなんて  ☆連載開始☆第1〜第3章セット(2章まで無料です!)

                第一章 ストーンサークル       「歩いて縄文遺跡に行こうとした、僕がバカだった……」  晩夏の蝉が鳴いている。自分の息が暑苦しく湯気になってまとわりつく。9月末の青森とはいえまだ秋とは呼べない残暑の中、僕は青森の山中にある遺跡を目指して歩いていた。『空港から車で15分』というのは、土地勘のない人間が歩いて一体、何時間かかるんだろうか……。重いナップザックがじっとりと汗で濡れている。畑仕事をしていた地元のじいさんはここから歩いて30分、

¥300

中学のとき教室内にアイコラ会社ができた話

鬼束ちひろさんが好きだった。 アーティストとしてもだけど、もう女として好きだった。 会えもしないし、よく知らない。 それでも僕は鬼束ちひろさんが大好きだった。 中学一年生。そんなガキだった。 芸能界にはたくさんの美女がいた。 友人たちは後藤真希や大塚愛、深田恭子に加藤あい、松浦亜弥などに夢中だった。その中で『鬼束さんフリーク』はマイノリティと言えた。 「なぜあえて鬼束ちひろなのか?」と問われ続けた。 好きなものに理由など無い。何もかもが好きだった。 中学生と

【エピローグ】 旅する日本語 六月柿シリーズ まとめ

六月柿シリーズをまとめました 旅する日本語の400文字縛りから大きく外れた最後の2話はこのお題に参加しておりませんので、直接クリオネのアカウントから見つけていただくしかありません。それでは不便ですのでまとめた次第です でもこのノート自体は400文字以内(+リンク)なのでお題に参加可能です 旅の途中、六月柿というトマトの呼び名をきっかけに起こる数々の物語 はじまり〜 ヘイ、浩一! 返事が遅れたよ、すまない ちょっと遠くに行ってたんだ、遠くへさ それに、Siriに人生相