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子供が布団をはいじゃう理由。

夏を感じる日も増えてきたけれど。

夜になって窓をあけていると、ソヨソヨソヨソヨとひんやりした風が部屋の中に入ってくる。

1日の疲れが、スーっと癒えていく瞬間だ。





わが家の薄手の掛け布団は、4月の中頃くらいにサラッとした綿のシーツに着替えた。

それでも体温の高い5歳の息子にとっては、もうすでに暑いらしい。

でも、タオルケットにするにはまだ早い気もする。






「あつーい!」

寝かしつけ中、息子はそう言いながら、布団をバサッとはいだ。


「まだひんやりするし、風邪ひいちゃうよ。お布団かけときな。」

私はバサッと息子に布団をかけなおした。




「あつーい!」

10秒もしないうちに、また布団をはぐ息子。


「りんりーん・・・お腹だけでもいいからかけときな。足を布団から出しておいたら涼しいよ。」

私はバサッと息子のお腹に布団をかける。



「おやすみ、りんりん。」

「おやすみ、母ちゃん。」


もう布団をはごうとはしなかったので、どうやら納得してくれたようだ。しばらくしたら、スヤスヤと寝息が聞こえてきて、私は寝室を離れた。




夜中の12時頃に、そろそろ寝ようと寝室に戻った。

お腹の上にかけられていた掛け布団が、
なぜか息子の敷布団になっていた。

ふわふわの掛け布団の上で、大の字になって、気持ちよさそうにスヤスヤ眠っている。


なんて気持ちよさそうに眠るんだろう。
なんて愛おしい顔をして眠るんだろう。





でも窓からは相変わらず、ひんやりとした風が入ってきている。


「やはり、お腹だけでもお布団をかけとかないと!」



そう思ったけれど、あまりに気持ちよさそうに眠っている息子を、掛け布団の上から移動させるのも可哀相な気がした。



仕方なく、息子の横にぴったりとくっついて添い寝して、いっしょに掛け布団の上に寝転がって。

私の掛け布団を、
息子と自分にフワッとかけた。



掛け布団の上で、掛け布団にくるまって。

フワフワとフワフワにサンドイッチされていて、なかなか心地よい感覚だ。




掛け布団がペチャンコになっちゃう。

でもたまには悪くないな。



そんなことを思いながら、ウトウトしていたら・・・





バサッ!


息子が、いっしょにかぶっていた掛け布団をはいだ。



息子の顔をのぞきこむと、
変わらずスヤスヤと眠っている。

無意識で、
布団をはいでいるということなのか。






バサッ!


私は負けじと息子に掛け布団をかけ直す。


バサッ!


息子はまた寝たままで、掛け布団をはぐ。


バサッ!

私は布団をかけ直す。


バサッ!

息子が布団をはぐ。




それを何回繰り返しただろうか。もうここまできたら、なんだか"負けたくない!"という気持ちさえ湧いてきて、意地になって布団をかけ続けたけれど。




だんだん笑いがこみ上げてきて、

1人でクックックッと笑ってしまった。




寝ているのに、意識はないはずなのに、眉をちょっぴりしかめながら、布団をはぎつづける息子の様子を見ていると、「もういいよ。好きにしな。風邪ひいても知らないからね。」という気持ちになってきた。


そもそも眠っている息子の耳には、
私が何を言っても何も届かないのだから。

無意識で布団をはぐのなら、
もうどうしようもない気がした。

私だってこれから眠って無意識になってしまう。無意識で息子に布団をかけ直すことができればいいけれど、さすがにその自信はない。






息子から離れて、自分の敷布団の上に戻って、寝転がって。

自分の掛け布団を、自分だけにかけた。




いつも通り左を向いて寝てしまうと、掛け布団のかかっていない息子の姿が目に入って気になってしまうので、その日はクルッと息子に背を向けて、右を向いて寝た。







朝ハッと目がさめると、息子の姿が目に入る。

こっぽりと布団にくるまっている。

ちゃんと敷布団の上で、掛け布団をかけて、寝ているのだ。





あれ?
夜に寒くなって起きちゃって、自分で布団に入ったのかな?それとも無意識で入ったのかな?


まだ寝起きのボンヤリとした頭でそんなことを考えながら、息子をボンヤリと眺めていた。






まだ5歳だけど

ぼくの体に今必要なことは
ぼくが1番よくわかっているよ。

暑かったら布団をはぐし
寒かったら布団をかぶるから安心して。




息子のかわいい寝顔が、そんなことを伝えているような気がした。




寒くなりそうだから、
ちょっと暑く感じても
布団をかけておくのが大人だとしたら

寒いと感じたらその瞬間に
布団にくるまるのが子供。


暑くなりそうだから、
ちょっと寒く感じても
布団を薄くしておくのが大人だとしたら

暑いと感じたらその瞬間に
布団をベリッとはぐのが子供。




予想とか予防も大切だけど

そのために、今この瞬間が"不快"になるのも、なんだかちがうような気がする。


布団をかぶるかかぶらないかの判断は、
"息子の体"と"息子の無意識"にまかせよう。




そのときは確かにそう思ったのに。



次の日からも
お腹丸出しの息子が目に入るとついつい
フワッと布団をかけてしまう。


そして、またバサッ!と無意識に布団をはぐ息子は、なんてブレない男だろうかと、そのつどクスッと笑う。



お母さんという生き物は、
子供という生き物に、
反射的に布団をかけてしまう生き物らしい。

そして、

自分より先に眠ってしまった愛おしい人に
フワフワとした温かいものをかけてあげるのは、どうやら人間の習性らしい。

何も掛けないで寝落ちてしまった人を見ると、ほとんど無意識に、布団やらブランケットやらをかけたくなってしまうのがその証拠だ。



暑さと涼しさが混ざる季節。

せっせと布団をかける母ちゃんと
容赦なく布団をはぐ息子との戦いは

もうしばらく続きそうだ。

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