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HSPママが、ゴールデンウィークを終えて感じていること。

ゴールデンウィーク目前。
またまた幼稚園が休園になって。

朝はのんびりお家で遊んで、
お弁当を作って近所の公園に出かけた。


平日だからか、ひとっこひとりいない公園。
川あり林あり。休日は大人気の公園がガラガラで、なんだか得した気分。


川沿いに並んで座って、お弁当を食べた。
気持ちがいい。太陽が頭の真上にあって、ちょっと暑いけれど。



「今日は公園2人占めだねぇ。」

と息子に言うと、

「2人占めって何?」

と返事が返ってきた。


「川も林も砂もトイレも遊具も、母ちゃんとりんりん2人だけで使い放題ってこと!」

テンション高めでそう言ってみたけれど、息子は「ふーん・・・」という感じでノリが悪い。



子供というものは、公園に行けばブランコや滑り台に直行するものなのだと思っていたけれど、息子は遊具であまり遊ばない。どんなに遊具が充実している公園に行ってもすぐに飽きて、土をいじったり、虫を探したりしている。


まだまだダンゴムシくらいしかいない時期だし、人がいなくて活気はないし、遊ぶ友達もいないし、テンションも上がりづらいだろうな、と思った。



お弁当を食べ終わって後片付けをしていると、息子が急にダダダダダッと走り出した。


「母ちゃん!早く来て!早く!」


遠くの方で、息子が大声で私を呼んでいる。

空っぽの弁当箱をリュックに荒っぽく放り込んで、息子のいる方へ小走りで向かう。

ゆっくりゆったりまったりと流れていた時間が、急にシャキッと動き出したような気がした。

だれもいない、特に何もすることのない公園では、「ほんのささいなこと」だって「大事件」になりうる。





小さな小さな雛鳥が、そこにいた。

何もない広場のド真ん中にいたので、より小さく頼りなく見えた。

ギラギラと照りつける太陽の光が、容赦なく雛鳥を攻撃しているように見えた。



「こんな暑い場所で一人ぼっちで、この子大丈夫かなぁ?お母さんはどこにいるんだろう?」


息子と2人でウンコ座りをして、しばらくその雛鳥を見ていると、犬の散歩中のおばちゃんが通りかかった。


「あら!そんなところにいたら、干からびちゃうねぇ。」


おばちゃんはリュックからお水の入ったペットボトルを取り出して、雛鳥の口をめがけて、チョロチョロとお水を流した。

雛鳥は口をパクパクさせて、そのお水を飲んでいた。


「飲んでる飲んでる!」


私と息子とおばちゃんは、わぁ!っと歓声をあげた。


「なんとか日陰に連れていってあげたいけど、お母さんがどこかにいるはずだから、あんまり遠くに連れていってもはぐれちゃいそうだしねぇ。あの岩場の陰くらいなら大丈夫かなぁ?」


おばちゃんが5メートルくらい先の岩場を指さして言った。


「よしっ!僕が案内する!おーい、ことりさん!こっちだよ〜こっちだよ〜!」


息子が雛鳥を手招きして、岩場に移動させようとする。雛鳥はじっとしたまま動かない。


私も息子の隣に並んで、手招きした。でも雛鳥は「この人たち何をしているの?」というような目で、私たちを見つめている。



そんな私たちを見ていたおばちゃんは、しびれを切らしたのか、強行突破に出た。


「ほれほれ!ほれほれ!」


スニーカーでドシドシと雛鳥の方へ迫っていって、雛鳥はそのスニーカーから逃げるように、バタバタと羽を動かしながら岩場の方へ進んでいく。まだ上手に飛べないようだ。


私と息子は「もうちょっともうちょっと〜!」と拍手しながら、おばちゃんと雛鳥を応援する。


雛鳥はついに岩場の陰まで到着した。



「よし!やれるだけのことはしたわ。お母さんとはぐれてなかったらいいけどねぇ。だれかに食べられなかったらいいんだけどねぇ。かわいそうだけど、自然界は厳しいからね。じゃ、私は行くね〜!」


おばちゃんは、カラッと明るくそう言って、颯爽とその場を立ち去った。か、カッコイイ。



「母ちゃん、この子大丈夫かなぁ。ぼく心配だから、お母さんが来るまで見張っとく。」


怖がりな息子は、雛鳥から1メートルくらい離れた場所でしゃがみこんで、じーっと雛鳥を見つめている。


「母ちゃん、この子お腹すいていないかなぁ?さっき僕が落とした卵焼きとか食べないかなぁ。ぼく見張っとくから、母ちゃん卵焼き拾ってきてくれる?」


私は川沿いまで戻り、息子が落とした卵焼きのカケラと、その近くに落ちていたミミズみたいな虫を落ち葉に乗せて、息子のところに戻った。






「食べたかったら食べなね。」


息子は優しい優しい声でそう言いながら、ちょっぴりビクビクしながら、雛鳥の目の前にそれを置いて、ダッシュでまた1メートルくらいの距離をとった。


ガンとしてその場を離れない息子の横で、私はスマホを開き、「雛鳥 迷子」と検索してみた。


"野鳥のヒナを拾わないでください!"


そんな言葉がドーン!と表示された。読み進めていくと、雛鳥は独り立ちするとき、親鳥から少し離れて、飛ぶ練習をしたり、エサのとり方を学んだり、仲間とのコミュニケーションのし方を学んだりするそうだ。

そして、人間が近くにいると、親鳥が雛鳥に近づけない、とも書かれていた。




「りんりん!その子から離れよう!母ちゃん今スマホで調べてんけどさ、人間が近くにいたら、お母さんが近づけないねんて。」


息子はその言葉を聞くやいなや、雛鳥から遠ざかるようにダッシュした。25メートルくらい離れた大きな木に隠れたかと思うと、ヒョコッと顔を出した。


「母ちゃん、こっちこっち!このへんからなら大丈夫ちゃう?食べられそうになったら、ぼくが走って助けにいく。」


雛鳥が豆粒くらいの大きさに見えるその場所で、結局そこから2時間も雛鳥を見守った。

時間はたっぷりあるので、息子が帰ろうと言うまで付き合うつもりだったけれど、さすがに3時を過ぎた頃、声をかけた。



「髪の毛、切りに行かない?」


息子が食いつきそうな予定を提案してみたけれど、首を横にふって断られた。前髪が目に入りそうだし、息子は美容院に行くのがわりと好きだ。


「じゃあさ、髪の毛切りに行ってから、もう1回ここに戻ってこようよ。1時間くらいやったらきっと大丈夫だよ。もしかしたら、母ちゃんとりんりんがここにいることをお母さんは気づいていて、出てこれないのかもしれへんし。」


そう言うと、「そうだね。」と同意してくれた。


髪を切って1時間後、その場所に戻ってみると、雛鳥はいなくなっていた。





「お母さんのところに戻れたってことだよね?食べられちゃってないよね?」


「きっとお母さんところに戻れてるよ。食べられちゃってなかったらいいね。」






息子の問いかけに曖昧な返事をした。ホッとしたような、ちょっとさみしいような、胸がギュンッとしめつけられるような。


複雑な気持ちのまま、息子を自転車の前に乗せる。もう5歳なのに、息子は自転車の前に乗りたがる。後ろに乗ると、母ちゃんの声が聞こえなくておしゃべりできないからイヤだと言う。


そんな息子が帰り道、一言も言葉を発さなかった。

息子の小さな小さな後頭部を見つめながら。その小さな小さな頭でどんなことを考えているんだろうかと、思いを馳せる。

息子がしゃべらないと調子がくるう。だから何か話しかけようかと思ったけれど、息子の頭の中で大切な作業が行われているような気がして、やめた。





今日は公園に行ってよかった。


オレンジ色の夕日に向かうように自転車をこぎながら、しみじみとそう思った。


公園に向かう自転車では、今日という日がこんな素敵な1日になるなんて想像もしていなかった。楽しみにしていた平日のお休みが休園になってしまって、一人で過ごす自由時間を奪われた!最悪!というダルい気持ちと共に、公園に向かっていたのに。


あの小さな小さな雛鳥が、私と息子の1日をちょっぴりドラマチックにしてくれた。







ゴールデンウィークを終えて、「そろそろnote書きたいな。何を書こうかな。」と考えていると、なぜかこの日のことがポンッと浮かんできた。


ゴールデンウィークには、家族で「宇宙万博」というイベントに行ったり、ショッピングモールに行ったり、おいしいものを食べたりもした。

もちろん非日常を楽しめたけれど、
正直なところ、人ごみと慣れない場所にやられて、今ドッと疲れが押し寄せてきている。


それに案外、雛鳥と出会った日ほどに、印象に残っていないのだ。「その日のことについて書きたい!」と思えるほどに、心が動いていない証拠だとも言える。




だれかを楽しませるために、だれかが準備してくれた"イベント"や"場所"や"食べ物"などを求めて、「楽しむ前提」でそこに訪れるのも楽しいけれど。

そういう場所は、なんせ人で溢れすぎている。

みんな"楽しみたい"のだ。




でも。


なんてことない日に
なんの期待もせずに訪れた誰もいない公園で
予想外の"出会い"があったりする。

そして、心を動かされる。考えさせられる。


人ごみが苦手で、慣れない場所に行くとすぐに疲れてしまう私にとっては、そんな時間の方を魅力的に感じる。ホッとする。キュンッとする。





ゴールデンウィークだから、何かそれらしいことをしなきゃ。子供をどこか楽しいところに連れていかなきゃ。楽しまなくちゃ。

たとえば、何かのイベントとか、遊園地とか、水族館とか、キャンプとか、旅行とか。そんな誰もが「楽しい」と知っている非日常的な場所へ。


周りの雰囲気に流されて、無理して"それらしい予定"を入れてしまいそうになるけれど。


無理して遠くにいかなくても、
たくさんお金をつかわなくても、
人ごみをガマンして出かけなくても、


自転車で行けるくらいの見慣れた世界の中にだって、"小さな出会い"がたくさんあって、"おもしろい物語"があふれている。




はじめて訪れる刺激的な場所も
たまにはいいけれど、


私は私の居心地のいい見慣れた場所で、
ブラブラお散歩しながら


"小さな小さな事件"をおもしろがったり

だれかとバッタリ会って一緒に遊んだり

店員さんの顔を知っているコンビニで、アイスを買って公園で食べたり

岩の形や並び方をおおよそ覚えている川で、水あそびをしたり。




そんな過ごし方が愛おしい。

そんな過ごし方の方が、性に合っている。



なんだかお疲れモードの今、そんなことを思っている。

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