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#76 〝失明する病気〟費用や日々の生活は?三年間の詳細リポ

どのようにして緑内障、失明する病気と向き合っているのか、向き合ってきたのか。この2年半の話をしたいと思います。少しだけ前回のおさらいになりますが、僕の場合は毎年受けている人間ドックで「疑いあり」という診断が出ました。

そして、友人のおすすめの緑内障をほぼ専門にやってる眼科に行きました。ポイントとなるのは、まずは通いやすいところ。診断を受けて精密検査が必要ですよ、と言われて行く時点で、ひょっとしたらその可能性があるということは、そこの病院に通い続けなくてはいけなくなる可能性がある。なので通いやすさを考慮したほうがいい。

診察に行った時点では、僕自身の中では「疑いがあり」だから大丈夫だろう、なんて思っていました。僕の会社の同僚にもいたんですよ。「緑内障の疑いがあり」と診断されたのだけれど、精密検査にいかなかった、と。何で行かなかったんですか、と聞いたら、翌年の人間ドックで消えたから、と言っていました。でもそれは結構危険で、前回の記事でもお伝えした通り、診断する人によって疑いありかどうか、判断がわかれるんです。

だから一度「疑いあり」が出たならば、必ず精密検査を受けるべきであって、消えたから、それイコール治ったってわけではないんですね。緑内障は治ることはないので。

先ほどもお伝えした通り、僕の中では「いやいや大丈夫だろう」、そういう気持ちが大体6、7割ありました。まさか自分が失明する病気になるなんて微塵も考えたことがなかったので「いやいやそんなことはないだろう」と思って行ったのですが、結果は緑内障でした。

ちょっとショックな診断の流れ

この診断の流れは、今から思うともう少し工夫してほしいな、と患者側としては思いました。

検査を受けますよね。検査は、自分の視野が欠けているかどうか、視野検査というものをします。詳しい話は前回記事をぜひ見ていただきたいと思うのですが、その視野検査の結果をみて、先生が診断をします。待たされるんですよね。そのときにタブレットを渡されました。大手製薬会社、目薬を作ってる会社が作成したVTRだったのですが、これが「豊かな老後、実りある生活のために」みたいな流れで始まっていくわけですよ。

老後、ハイキングや趣味、そうしたものを自らの目で見て、きちんと楽しんでいきたいと思いませんか、とか。お孫さんと一緒に、自分の目で見て遊んであげたいと思いませんか。60、70、80そのときまで、ちゃんと視力を保っていたいですよね、ものをちゃんと見ていたいですよね。大丈夫ですよ。
そんなVTRなんですよ。いやいや僕まだ診断を受けてないし失明が前提かよ、という僕の中でツッコミがありまして、おいおいと何だろうこの過剰ないたわり、僕自身はそこまで深刻にまだ捉えていなかったのに、過剰ないたわり、寄り添いによって、俺ってそんな深刻なものになっちゃったのと改めて気付かされる。そこから始まりました。

その後、先生のお話を聞きに行くんですけれども、やはり緑内障の疑いが強い、ちょっと目薬さしましょうか、という流れになっていきました。どうやって、そのジャッジを下すかというと、視野検査でわかることは、今実は本当は見えていない箇所があることがわかる。その見えてない場所は、人によってもちろん変わるのですが、僕の場合は、ちょっと左斜め上のところが集中して見えていませんでした。

ひょっとしたら、視野検査の機械に慣れていないから自分がうまく反応できなかったからではないか、という可能性もあるので視神経も調べます。

視神経というのは目の裏側の神経ですね。神経の束。そこに異常がないかどうか、眼底の奥を写真に撮ることができます。すると、自分が見えていないとされている場所の神経に異常があるわけです。このように疑いようがない事実を突きつけられます。

目薬を毎日さす必要があります

あれから2年半が経ちました。いまは日常生活の一部として毎日目薬をさしています。あのタブレットでもずっとね、繰り返し言うんですよ。目薬忘れないようにしてください、初めはご家族の方に協力を仰ぎましょう、目薬さしたかどうか、確認してもらいましょう、と。そんなに必ず毎日目薬をさしていかなくてはいけないのか、なんてショックを受けました。

歯磨きをするのと一緒です。皆さん歯磨きしますよね、顔洗いますよね。シャワーを浴びますよね。一緒です。目薬をさしてください。そんな流れでした。

ちなみに費用に関しては、さほど心配は要りません。保険が適用されます。
目薬をこの前もらってきたばかりですが、2ヶ月分で、500円。検査に関しては、3000円ぐらいだったかな。数ヶ月に一度、進行しているかどうか、目薬が効いているかどうか調べます。

なんせ、失明を防ぐためですからね。結局、その日から目薬をさす日々が始まりました。やっぱり、忘れてしまうことはあります。僕、お酒飲むの大好きなので、酔っ払って帰ってきちゃうと、例えば夜にさす、と決めていたら忘れてしまいますし、朝と決めていた場合は急いでいたら、それはそれでやっぱり忘れてしまう。

さすのはいつでもいいんです。夜寝る前でもいいし、朝起きたときでもいい。自分が一番覚えやすいとタイミングを決めてやっていきます。僕の場合は、今は朝に落ち着いています。

目薬は20種類から30種類ぐらいあると先生がおっしゃっていました。どれが自分の目に合うか、これを一つ一つ調べていかなくてはいけないのですが、僕の場合は1年から1年半ぐらいかけてようやく自分に合う目薬が決まりました。それをさし続けているのですが、いずれ効かなくなるときがあるかもしれない、とついこないだ先生がおっしゃっていました。つまり、目薬もずっとずっとさし続けていると、やがて効きが悪くなってくることがあるらしいのです。

となると、また1から自分に合う目薬を探さなくてはいけない。それで少し気が滅入ってしまいました。本当に長く長く付き合っていかなくてはいけない病気なんです。

おそらくこの記事を読んでくださっている方の中にも、確率からいったら、緑内障の人はいるはずです。気づいていないだけで。だから、まず、お伝えしたいのは、知ることが大事。知ることができることが、最も大事なんです。

20年30年かけてゆっくり進行していく病気です。でも、いずれやがて必ず失明してしまう。でも失明する前に寿命を迎えれば、何かなんかこんな言い方が適切かどうかわかりませんけれども、要は死ぬまでの間ちゃんと視力・視野を保つことができれていればいいわけです。

だから、そのためには、進行を遅らせる必要がある。そのためには早く知ることが大事。

自分がそうだと知った時、ショックです。ショックなんだけど、仕方ない。目薬を探していくしかない。そして、時間はかかります。時間がかかる、ということは覚悟を決めて向き合っていくしかない。

僕は緑内障とされた時、病気の知識がまったくなくて、身近でそういう話をしたこともありませんでした。調べたこともなかった。この2、3年を振り返って思うのは、とにかく時間がかかるということ。でも確実に何か糸口となる可能性があるものは見つかるということ。それを信じて、向き合っていただきたい。

一つ補足すると、親族に緑内障の人がいました。遺伝的な可能性もある、ということで僕が子供のころ親が調べたそうです。僕は記憶ないのですが、その時は緑内障は大丈夫という診断だったそうです。

でも、40近くなって見つかった。だから、改めてもう一度、いま一度、診察を受けてみる。その一歩が大事なのかもしれません。

(voicy 2022年9月13日配信)

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