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#42 誤った〝時短〟の使い方は本質を見誤る!ここに気をつけて効率アップをはかろう

今回は「時短」による効率化をテーマにお話をしたいと思います。
以前ファスト映画の話がニュースに出てきました。2時間ほどあるものを、10分ぐらいにしてしまう。勝手に編集してネット上に挙げたことで、逮捕者も出ています。そして巨額の損害賠償を求める裁判も映画会社などによって起こされています。

このニュースを見て、ちょっと昔のこと思い出しました。「24」というドラマがあったのですがご存じでしょうか。24時間で、一つのシーズンが終わります。20年ほど前のアメリカのドラマなんですが、ジャック=バウアーという名前の男性の対テロスペシャリストが、アメリカ合衆国を危険に陥れるテロリスト集団から祖国を守っていくというのが大筋。

アメリカ大統領が殺されそうになったり、米国本土が核攻撃を受けそうになる。ありとあらゆる手でアメリカ合衆国を崩壊させようとする奴らがいるんですが、ジャック=バウアーがほぼ1人で戦っていきます。

2001年にアナウンサーになったとき、先輩の笠井アナがいわゆる映画とかドラマにすごく通じてる方だったので「何か面白い話題作ありませんか」と聞いたら、今めちゃくちゃ流行っているからこれ見た方がいいよ、ということで、「24」のDVDボックスをお借りしました。

確かに、手に汗握る凄まじいアクション、そして飽きさせない展開の速さ
一時間ごとにいろんな問題が次から次へと起きていきます。24時間、リアルタイムでジャック=バウアーとその仲間たちが不眠不休で戦います。

シーズン1が終わりました。すごい勢いで見ましたよ。毎日、早く仕事終わってくれないかなと、ともう完全にはまりました。

その後、シーズン2に突入。シーズン1の終わりの時、果たしてこの政府側にいた黒人の議員は大丈夫だったのか…みたいな感じで終わったかと思ったら、シーズン2の一発目でその人が大統領としてアメリカを指揮しているわけです。

「24」では冒頭、「前回のあらすじ」として、数分かけて前回を振りかります。で、シーズン2の1作目をみたときの「振り返り映像」で、僕が見たこともないような大爆破シーンとか、黒人大統領誕生の瞬間とかの映像があったのですが、僕は確実にそれを見てないんです。だから、このドラマってすごいなと思いました。振り返りだけのためにこんな映像を撮影しちゃうのか、めちゃめちゃ金かかってるな、と、当時すごく話題になったドラマでしたから、なるほど、ここまでするのか。あらすじで見ている人たちに対して、本編では言ってないけれども、こういうことが起きたんだ、というこことを想像させる。

ワシントンD.C

改めてすごく新しいドラマだなと思ったのですが、いや、それにしても、大統領誕生の瞬間がないのはどうなんだ、と思い、あ、と気づいたわけですよ。

24時間で終わるはずなのに俺、12時間で見終わってる…DVDディスクなんですが、1作終わりますよね。次を見たくて仕方ないから、すぐ交換するわけです。次に。そう…1枚あたり2話入ってたんです。なのに1話が終わるたびにディスクを交換しちゃってたから。奇数回しか見てなかったんです。
1、3、5、7、9…だから24は見てないんですよ。23話を見終わって、で、シーズン2に突入してたんです。

でもまったく気づかなかった。「前回までのあらすじ」で、基本的なことがわかってるのと、なんせ飛ばしていたのは「1時間」だから、所詮1時間で起きることなんてたかが知れているので、なんとなくついていけてたわけです。これ僕、ファスト映画の先駆けだったと思ってるんですけど。

24時間見なくても12時間で十分楽しめて、20年経ってこうしてネタになってるんだから良かったな、と思うんですけれども、そういうことを話したいわけではなくて。

「時短」の向き不向き

「時短」もやっていい場合と悪い場合というのがあって、このファスト映画というのは、2時間の映画を10分にしてるわけですよね。映画は、映像に対してのこだわりがたくさんあって、僕はテレビマンなので、なおさらそういう視点でみることが多いのですが、例えばちょっとした目線が交差するシーンとか、ひとつひとつの映像に意味や思いが込められているわけです。それを全部かっ飛ばして、ストーリーのみを知る、それはいかがなものかと。

少し前の映画、シン・ゴジラとかも短くしちゃっています。ゴジラの起承転結なんてもうわかってるじゃないですか。ゴジラが出てきて町を壊して、で、やっつけられて終わる。でも、その途中、途中にいろんな人の葛藤であったりとかもあるし、映像シーンでも、たとえば役所ごとに使われてるパソコンのメーカーの違いとかがきちんと再現されているわけです。文部科学省ではこのパソコン、国交省ではこのパソコン、とか。このあたりまでリアルに再現してるんです。見る人が見たらわかる。

そうしてどんどん没入していくことができる。その世界観に浸っていけるわけです。

でもそういうのを全部カットしちゃったら、起承転結が理解できたとしてもそれは「映画を観た」ということには絶対ならないんですね。

一方でvoicyを使ってみて初めて知ったのですが、1.2倍1.5倍2倍、とスピードを選んで再生ができます。
確かに話してる側は、大まかにこういうことを話そうかな、と思ってからこの収録に臨んでいますが、それでもやっぱり途中途中思い出したり考えたりしてるから、少し話すスピードが遅くなると思うんですよ。

僕へのコメントで「1. 5倍速で聞くのがおすすめです」とあったので、もうちょっと早く喋った方がいいのかなと思ってなるべく早く、早口で喋るように心がけているのですが、それでもやっぱり自分で改めて聞き直してみるとまだ遅いかな、とすら思います。なので、聞く側はこうした「情報」に関しては、話すよりも脳で処理できるスピードの方が速いので、1.5倍でいいと思うんです。特に、僕の話の場合は「情感」を訴えたり、間合いを意識しているものでは全くないので。

生活に役立つ情報とか、ニュースであったり、そういったものは全然いいと思うんです。僕もテレビのニュースは「早聞き」で見ています。

だから「使い分けが重要」ということを声を大にして言いたいのです。

( voicy 2022年6月16日配信)

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