見出し画像

#53 確実に人生観が変わる場所!地球を1/3以上旅したうえで厳選

「人生を変えた海外体験」が今回のテーマです。4年間NYに住んでいたとき、中南米にたくさん行きました。旅行でも行きましたし、仕事でも行きました。

赴任直後に自分が担当するエリアにはどんな国々があるんだろう、と改めて地図を見ていたら「ガラパゴス諸島」という文字が目に入りました。恥ずかしながら、こんなとこにあるんだ、と初めて知りました。これは行ってみたい!ということで、その年の夏に旅行でいきました。

ちなみに、NYからでもめちゃめちゃ遠いです。

日本から行くと3日以上かかります。NYから行くにしたって2日はかかります。というのも、エクアドルという国にまず飛ぶのですが、そこから船に乗り換える必要があるからです。

今は1日クルーズというのもあるみたいですが、当時はそのような短いツアーがなくて、4泊5日とかでクルーズ船に乗っていきました。というのも、島々は勝手に上陸はできないんですね。政府から認定を受けたクルーズ船のみいくことができます。

そして島にはホテルなどの宿泊施設がないので、その船に宿泊しながら回っていきます。非常に効率がよくて、食事をしている間に、船が次の島に移動します。そして、ちょっと遠い島に行くときは寝ている間に移動してくれます。だから時間が全くもって無駄にならないんですね。

で、着いたら島に上陸して、ガイドとともに回っていく。

アオアシカツオドリ

何がすごいかというと、ググると写真がたくさん出てきますが、アシカだったり、イグアナだったり、グンカンドリとか、NHKの「ダーウィンが来た」などで見たことがあるような動物が山ほどいるわけです。そして、彼ら動物たちは一切、逃げないんですよ。人がすぐ数十センチの横を通っても知らん顔。全くもって気にしてない。そこにある草木のように人の存在をまったくもって恐れないんですね。

なぜかというと、ルールで人間は動植物に触れてはいけない、と決められています。残していいのは足跡だけ。持ち帰るのは思い出だけ。

なので動物たちからすると、ここ何十年もそうしたルールの上で観光客が来ているので「人間は危害を加える存在ではない」ということがわかってるんです。だから、私達が行ったとしても、まったくもって逃げないんです。

このときに、環境によって動物たちもこんなに変わるんだ、と考えさせられました。動物園に行くと動物が人によってきたりします。それは餌をくれるからです。逆に一方で、いじめられていたりすると人を見たら逃げていきます。

イグアナ

自然環境の中でまったくもって人の存在を気にしない動物がいるガラパゴス。とても衝撃を受けた旅でした。

南米のおおらかさ イグアスの滝を貸切で

南米の有名な観光地、イグアスの滝に行きました。
飛行機が予定通りつかなくて1日遅れで着いたり、荷物はもちろんなくなっていたり、本当に南米というのはいろんなトラブルが毎日のように起こるのですが、このあたりの珍道中はぜひ「#15 適当すぎる!中南米のおおらかさから学ぶべきもの」を読んでもらえたら嬉しいです。

イグアスの滝って国立公園になっていて公園に入っていい時間が決まってるんですね。ツアー客はその閉園時間を迎えると出なくてはいけないんです。
ただひとつだけ、国立公園の中にホテルがあるんです。しかも滝のすぐ近く。

このホテルが当然ながら高いんです。当初泊まる予定ではなかったのですが、飛行機のトラブルがあって、宿泊できる期間が短くなってしまい、そのホテル1泊分が泊まる予定だった安いホテル3泊分に匹敵したので、その高級ホテルに変更しました。

これがまさに災い転じて、というやつで泊まってみて初めてすごい事実を知るわけです。国立公園の中にあるから閉園時間とか関係ないんですよ。むしろこの公園は閉園時間を迎えてからこそがすごい。

イグアスの滝 この景色を独り占め

日本は杓子定規な国だから、閉園時間を迎えるとホテルの外に出ては駄目なんじゃないか、などと思ってしまうのですが、南米はそんなこと気にしません。

閉園時間をむかえたあとの公園を歩いてみました。だんだん薄暗くなっていくジャングルです。つまり閉園時間を迎えた後は、そのホテル専用の超広大な庭みたいになるわけです。イグアスの滝の周辺、ジャングルの大自然、動植物を独り占めできるのです。

日中はもうすごい人なんですよ。写真見ればわかりますが、遊歩道はぎゅうぎゅう詰めです。そういう場所に1人で立ち、滝を見ているとむしろ空恐ろしくも感じてきます。大自然を前にすると、なんて自分は非力で無力なんだと。なかなかそこまで感じられる自然に相対することってないですよね。

なんて僕はひとりぼっちなんだろう、と思ったのと同時に、日々の小さな出来事って本当にしょうもないな、とも感じました。

そこからの学びとしては、そういう大自然であったり、本当に人間の手が加えられていない、もしくは人がいない、そういうところにちょっとでもいいから身を置いてみる。するといろんなものがリセットされる。そんな体験ができました。

キューバでヘラヘラついてきた男性

キューバに行ったこともあります。観光客専用のレストランで有名なところがありました。そこのお店出身のバンドグループがCDを出して、世界的ヒットになり有名になったのですが、そこまでの道がわからなくなってしまい、街を歩く現地のキューバ人に聞きました。

するとそのお店は現地でも有名だから、すぐにわかり「こっちだよ」みたい感じで歩き出しました。お兄さん、大体いくつぐらいだろう、20代半ばぐらいかな。ニコニコして人が良さそうだったから聞いてみたのですが、実際に優しくて、すぐ到着しました。で「ありがとうございます」といって別れようとしたら、レストランに一緒に入ってくるのです。で、何事もなかったかのように私達のテーブルに座って「じゃあとりあえずビール」みたいな感じになりまして「おいおい、そこまで呼んでない」と。レストランの人を呼んで「この人、私は知り合いでも何でもない」と伝えたら男性はつまみ出されました。要は、観光客と一緒じゃないと入れないわけです。観光客専用だから。

それぐらい適当な感じなんです。

でもね、悪い人ではないんですよ。たぶん。ニコニコヘラヘラして何かそっか日本から来たのか、じゃ一緒に、みたいな。

キューバ 首都ハバナ

NYの地下鉄は突然駅を飛ばし出す

東京で暮らしてるとそんな人と出会うことはありませんが、NYも本当に適当です。地下鉄に「普通」と「急行」があるのですが、ある日地下鉄の「普通」に乗っていたら何か車内アナウンスが流れ出しました。でも、聞き取れないんですよ。何言ってるのかわからない。スピーカーの質も悪いし滑舌も悪いし。で、隣のニューヨーカーに「今何て言ったかわかる?」と聞いたら「俺にもわからない」と。

つまりアメリカ人にも聞き取れない車内アナウンスがあって、その車内アナウンス何だったのか、というのは後でわかったのですが、「この電車は急行に変わります」というアナウンスだったんですよ。信じられますか。乗っている途中に、ですよ。駅で止まってから、とかではなくて、乗ってる最中に「この電車を急行に切り替えます」と突然言い放ち、止まるはずだった駅を一気に3つくらい飛ばしていくんですよ。車内騒然です。そういう国なんです。

でも、こうしたことって、ひょっとしたら世界中であちこち普通に起きていることで、日本みたいに1,2分遅れただけで、車内で謝罪アナウンスが流れるなんて、地球上にこの国しかないと思うんですよ。

完璧だからこそのストレス

これだけきっちりしてる国はノーストレスかと思いきや、皆さんすごくストレスをいろいろ抱えている。それは完璧を求めるがゆえに、少しでも何かがずれるとみんなイライラするんですよ。

飛行機の発着時間だってそうなんですけど、日本って、一番下の桁ってゼロじゃないですか。12分に出発、とか24分に出発とは表示されていない。アメリカは一番下の位って分単位できっちり決まっています。9時12分出発、とか。でもその通りに飛ぶことなんてほぼ100%ないんです。なんなら2時間ぐらい平気で遅れるんです。分単位で決めといて、そんな適当なんです。

でも、ああいう適当な国で生きてると、自分自身も何かリラックスといいますか、そこまで何かいろいろ追い詰めたりする必要ないんだな、と思うわけです。

なので、先進国であるがゆえの、このきっちりさって、何をもたらしてるんだろうか、と逆に考えてしまったりもするんですよね。

ある意味適当であったり、ゆったりした時間だったり、そういったものを大切にする社会であってもいいのかな、ということを、こうした中南米の国々を見て回って思ったのでした。

(voicy 2022年7月12日配信)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?